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BERLIN ATONAL 19 / 音を楽しむとは何だろう、ベルリンのベルリンらしい夏フェス。

こちらベルリン、9月に入り夏の暑さが嘘のように涼しくなって来ました。

今回は、今までベルリンに住んでいながらベルリンの事について何一つ書いていなかったので、先日行ったベルリンのフェスについて取り上げたいと思います。

さてみなさん、ベルリンという街をどうイメージされているでしょうか?最近は少しずつメディアでも取り上げられ出してはいるようですが、まだまだヨーロッパの旅行先として日本では馴染みの薄い場所ですよね。

ただミュージックシーンという観点から言うと、ベルリンの代名詞である、クラブカルチャーが世界的に有名だと言うことは結構知られているのではないでしょうか。実際ここベルリンは世界でも有数なテクノクラブが軒を連ねる、クラバー天国の一つです。

今回紹介するベルリンアトナルというフェスティバルはこのクラブカルチャーの土壌をうまく使って、サウンドやビジュアルアートを中心に5日間に渡って行われるサウンドアートフェスティバルです。

ちなみに僕はベルリンに来てからアトナルには毎年参加しています。

このフェスについて

開催時期
2019年8月28日-9月1日(例年8月後半の週末含む、5日間)

フェスの歴史
ベルリン アトナル / BERLIN ATONAL

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Atonalとはドイツ語で「無調整の音楽(音)」と言う意味です。そういった意味からも、アトナルというフェスティバルを簡潔に説明するのは難しいのですが、サウンドとビジュアル、メディアアートやインスタレーションなどを複合的にパフォーマンスするフェスティバルというところでしょうか?すみませんずいぶんモヤっとしてますね。

ただ音楽(ミュージック)というよりは音(サウンド)を聞くという部分が純粋な音楽フェスとは方向性が違う部分かと思います。

アトナルの歴史には2つのフェーズがあり、最初1982年から90年にかけて第1期が開催されていました。1980年代を通じて、プログレッシブな電子音楽や実験音楽のフェスとして開催してきましたが、創業者のディミトリ・ヘーゲマンがテクノクラブ Tresor の設立に焦点を当てたため、アトナルは一度90年に終了しました。その後、2013年に新たな方向性の下、今の大規模発電所の跡地を開催地として再始動。以後現在まで続くフェスティバルとなっています。

音楽ジャンル
電子音楽、実験音楽によるサウンドアートとDJによるクラブサウンドがメインです。またメインステージではサウンドだけでなくビジュアルアートや、ダンサーなどのパフォーマンスも一緒に行われることが多いです。

アトナルの大事な要素として、初演(ワールドプレミア)というのが大きな特徴です。つまりアーティストはそれぞれの新作を、世界に先駆けてこのフェスティバルで初めて演奏します。こんなところからもアトナルがこういったサウンドアート分野の先端に位置するフェスティバルというのがお分りいただけるかと思います。

チケット購入

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5日間開催されるので1日券全日程パスがあります。

2019年 / 一日券:37€〜(曜日によって違います)

すみません、全日程パスは価格を調べる時点で、サイトから消えてしまっていたためわかりません。。

*金曜、土曜、全日程パスは毎年早い段階で売り切れます。週末に行きたい方は早めに購入しておくことをお勧めします。また入れるスペースが曜日によって違います。(Trasorは一部日程のみ)

チケットはウェブサイトの指示に従って購入します。すぐに支払い完了メールとともにE-Ticketが届きます。こちらを見せて会場でリストバンドと交換してください。(プリントアウトする必要はありません)

開催場所

会場となるのはKraftwerk Berlin(クラフトヴェルクベルリン)。ここは元々発電所として使われていた所で、現在も外観は発電所そのまま、内部もコンクリート丸出しで天井まで吹き抜けになっており、インダストリアル感満載のいかにもベルリンらしい、雰囲気満点の会場です。また建物の一部は知る人ぞ知る、有名テクノクラブ Trasor(トレゾア)があり、アトナル期間中も曜日によってオープンします。

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会場の位置するクロイツベルク地区はクラブが多く点在しており、夜も若者で溢れている地域です。ちなみにこの辺は僕が住んでいるところのご近所です。

 現地到着から会場周辺まで

ベルリンには2つの空港があります。国際線やナショナルキャリアが多く発着し、街から近いテーゲル空港とLCCやヨーロッパ各地の便が多い、少し離れたシェーネフェルト空港です。日本からベルリンへは直行便がないので乗り継ぎで来ることになります。到着はどちらかというとテーゲルが多いと思います。

テーゲル空港に到着した場合、空港には鉄道駅がないため、中心部まではバスでの移動になります。ZOO駅クーダムがある、西側に宿をとった場合はX9109番のバスがZOO駅まで走っています。逆に中央駅付近や、東側のアレクサンダープラッツに宿がある場合はTXL番などが中央駅まで行きます。アレクサンダープラッツへは中央駅からSバーンに乗り換えて行けます。

シェーネフェルト空港に到着した場合、最も早く行けるのは鉄道です。SバーンRE7などが中心部を通ります。Sバーンは各駅停車、ドイツ鉄道のREの方が早く行けます。シェーネフェルトはベルリンの南東の先にあるので東側から順番に停まって行きます。(CゾーンなのでABCゾーンチケットが必要)

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ベルリンはゾーン制なのでゾーン内であればどの交通手段(バス、Sバーン、Uバーン、ドイツ鉄道、トラム)に乗っても同一料金です。時間内であれば乗り換えも可能です。また改札などは無いので、切符の検査に当たらなければただ所持しているだけで大丈夫です。(切符は打刻機で忘れずに打刻してください)

会場へは地下鉄Uバーン8番Heinrich-Heine-Straße が最寄駅です。
ベルリンは24時間何かしらの市内交通が動いているので夜中でも移動できます。週末なら地下鉄も動いてますし、平日深夜は、よくできたことにバスが地下鉄と同じ路線を走ってくれます。この辺りがベルリンがクラバー天国と言われる要因を作っている部分だと思います。夜中まで走っていたら遊びに行きやすいですよね。ということでアトナルは朝までDJブースがオープンしていますが、自分のタイミングでいつでも帰ることができます。

フェス情報の必需品

Spotify
アトナルに出演するアーティストを毎年僕はまったく知りませんので、Spotifyのプレイリストを聞いて予習しています。フェスを存分に楽しむなら予習はとっても大事です。Spotifyいつもお世話になっています。

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アトナルは19年現在、Appなどは作っていないようです。またタイムテーブルなどは会場でもらえます。

リストバンド交換

会場入り口で交換するので特に迷うことはありません。メールで届いたE-Ticketを携帯にダウンロードしてその場でQRコードを見せれば大丈夫です。

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大きな荷物などはクロークに預けることになるので、軽装で行った方が効率いいです。また、リストバンドを付けていれば再入場可なので外に出てまた戻ってきても大丈夫です。

会場(ステージ)の様子

前述のように外観そのままなので本当に発電所に入って行くみたいです。

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内部も無骨で雰囲気満点です。

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会場にはインスタレーションなどのアート作品が置いてあります。こちらもアトナルの大切な要素です。

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階段を登るとメインステージ。

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普段クラブ営業時のトレゾアは撮影禁止ですが今回はフェスティバルなので少しだけ。

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外にはフードや飲み物を売ってます。

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個人的ベストパフォーマー

Mixmaster Morris
アンビエント・チルアウトの大御所ミックスマスター・モリス。初日のフェスにピッタリな浮遊感漂う気持ちの良いスタートが切れました。

Marshstepper + Team Rolfes present Deceivers of the Moments 
これ凄かったです。ダンサーがVR装置を付けて、踊りながら、目の前のビジョンにCGで合成されたダンサーの見ている映像が映し出されていきます。サウンドが変わると映像も変化し、まさに映像、音、パフォーマーが一体となったアートショーでした。

 Soho Rezanejad presents Crow Without Mouth
こちらもダンサーが物語を章ごとに演じて行くパフォーマンス。何もない廃屋が劇場になりました。

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Kali Malone + Rainer Kohlberger
アトナルでは彼女のようなサウンドアーティストが多く登場します。よくある音楽フェスとは一線を画す部分はこう言う所ですね。

Function presents Existenz
日曜日メインステージのクロージングに登場した、DJ Function。メインステージでクラブサウンドはあまりブッキングされないので最後にあの広いスペースで踊れて楽しかったです。

僕は行けなかったのですが、金曜日に登場したサウンドクリエイターAlessandro Cortini はアトナルに何度も出演しており、まさにこのフェスを体現するようなアーティストです。ラインナップに彼の名前があれば、その日に行くことを強くお勧めします。

Alessandro Cortini presents Volume Massimo


気候について

夏ではありますが、8月下旬から9月始めは季節の変わり目の時期なので夜になると少し冷えることもあります。軽い上着は用意しておいた方がいいですね。日中は25度前後をうろうろしているくらいなので日本よりははるかに過ごしやすいと思います。

お金について

ドイツですので通貨はユーロです。ちゃんと確認はしていませんが会場にATMは無かったようです。バーなどは現金のみですが、アトナルのグッズ売り場ではクレジットカードが使えました。アトナルのTシャツなんかは毎年カッコいいのでお土産になりますよ。

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食事について

会場にフードは売っていますが、一度外に出てご飯を食べに行くのもいいんじゃないでしょうか。ベルリンの名物は何と言ってもケバブです。(こちらではドナーって言ってます)ケバブ肉をパンに挟み出したのはベルリンが発祥なのだとか。なので日本で食べるよりも数倍安くて美味しいです。ケバブ屋は本当にあちこちにありますし、夜中じゅうやっているので、ぜひ一度はトライして見てください。

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インターネット

会場はフリーWifiがあります。会場内は広いので椅子や腰掛けるところがありますし、暗いのでみんな後ろの方で地べたに寝転がって休憩している人も沢山います。

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泊まるところ

会場であるクロイツベルク地区はベルリンの真ん中から東側に位置しています。深夜もバスが必ず走っているので帰れなくなるということはありませんが、東側の中心駅である、アレクサンダープラッツあたりはホテルも沢山あり、距離も近い方だと思います。20分ちょっと掛かりますが、最悪歩いても帰れます。

困ったこと

近所に住んでいるということもあり、僕自身は困ったことがないのですが、治安について言うなら、この辺りは暗い道が結構あるので、明るい所を歩いた方がいいに越したことはないのですが、正直夜歩いても比較的安全な街です。バスや地下鉄で移動すれば、なんら心配はいらないと思います。もし心配であればタクシーを利用してください。運転手にTrasorまでと言えばみんなわかります。

チケットのところでも書きましたが、例年のチケットセールスで、金曜日と土曜日のチケットそして、All dayパスはいつも売り切れ時期が早いです。例えば僕は7月後半にチケットを探しましたが、すでにこの3つのチケットは売り切れていました。他の日のチケットはわりかし当日まで販売していますが、金曜日と土曜日はメインアクトが登場しますし、何より、入れるエリアが多いです。今年トレゾアにはこの金土と水曜日のみ入場可能でした。(金土はさらにトレゾアの上の階にもう一つDJブースがオープンします。)

最後に

サウンドアートとヴィジュアルパフォーマンスなどの分野でアトナルは世界でも代表的なフェスティバルだと思います。しかしこういったフェスティバルを日本で開催するとしたらいったいどれくらいの人が集まるでしょうか?実際数年前にアトナルが東京でサテライト開催されましたが、どちらかと言うとサウンドアートというよりはクラブミュージックに偏ったイベントでした。

やはりベルリンという地がこういった尖ったフェスを長く開催できている要因だと思います。海外フェスは、いかにもな大型ロックフェスに行くのも魅力的ですが、こういったその地で味わってこそのフェスがまだまだ沢山あるので、僕は最近そういったフェスに結構魅力を感じています。

またフェスティバルの多様性という面からもアトナルのような確かなコンセプトを持つフェスティバルはとても貴重だと感じます。

観光の面ではまだまだマイナーな街ですが、僕はこの街に愛着があるので、アトナルがベルリンに訪れるキッカケの一つになればいいなと思っています。

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