【通信講座】 小説「破片」 質疑応答①
kobayakawa noriko
川光先生! ありがとうございます。教えてくださった視点を持ち、再度読み返します。
川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu
不明な点、不本意な評価などありましたら
ご質問、ご意見ください!!
kobayakawa noriko
良いのですか! では、折角の機会ですのでよろしくお願いいたします。
①
『すばらしい文章です。
正確な、しかも個性的な描写を自分のものにしていながら
「プロローグ」は一体どうしたことでしょう。
文学的体裁をととのえるために、苦手でいやだけれどがまんしながら書いたのか
なにか理由があると思います。』
はい。
「プロローグ」は仰るとおり、誰の言葉でもなく、私自身の言葉でもありません。状況を説明しなければという気持ちで描きました。当時の資料や取材させていただいた方々の声を反映させました。脳内で映像化した場面をそのまま文章にしました。
「第二話」は、トウコの視点で描いたものです。トウコも千代も空想の人物ですが、完全に人物に憑依している状況で描いています。
川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu
やはりそうでしたか。
「第二話」の
「千代の手の皮膚」の描写
「トウコは千代の首の皺が狭くなったり広くなったりするのをじっと見つめた」など
すばらしい観察力です。
このような細部のかがやきこそが小早川さん本来の作風です。
通読してから全体の構成についてはアドバイスしますが
関係性も空間的広がりも限定した世界観、設定において
深く掘りさげ、普遍性に到達することができるのではないでしょうか。
kobayakawa noriko
②
主要人物以外の「顔が見えない」。
紋切り、類型的な人形芝居の動きしかしないため
非常に大味、粗雑な描写で
状況、心理、動作、言語が一致せず
演劇でたとえれば「芝居くさい」のです。
つまり、表現上の「嘘」になっています。』
この辺りが、大変難しいと感じました。
表現上の「嘘」とは、どういったものでしょうか。
お勧めの本などがあれば、教えてください。
③
「不正確な描写」
きわめて特殊な心情をこんなに粗雑な説明で終わらせるのはもったいない。
何度か、このご指摘がございまた。特殊な心情だと思わずに描いていたので、まずそのことに気付くということが必要なようです。どうしましょう……。
取り急ぎではございますが、この三点をお伝えしたいと思いました。ありがとうございます。
kobayakawa noriko
『関係性も空間的広がりも限定した世界観、設定において
深く掘りさげ、普遍性に到達することができるのではないでしょうか』
②③の質問も、このアドバイスで理解できるような気がしました。限定して、描いたことがありませんでした。目標とすべきお言葉ちょうだいいたしまいた! ありがとうございます。この後も、どうぞよろしくお願いいたします。
川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu
②
むしろ、むずかしく考えすぎではないでしょうか。
坂口安吾「ドストエフスキーとバルザック」
https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45814_34992.html
「所謂名文と呼ばれるものは、右と書くべき場合に、言葉の調子で左と書いたりすることの多いもので、これでは小説にならない。漢文日本には此の弊が多い。」
これにつきると思います。
まったく実感をともなわないにも関わらず「右」を「左」と書くことを許すのが「嘘」です。
③
一般的な性質、状況、心情ではありません。
もし、これが小早川さんの日常的な感覚だとしたら
ことばをつくして描写するだけで
あらたな視角から人間を描いていることになります。
真の文学になりえる材料です。
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