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ポストYMO =URBAN DANCE

1983年のYMO散開から約1年半後、メンバーであった細野晴臣さんがテイチク・レコード内に「NON STANDARD」なるレーベルを設立しました。
1985年にそのレーベルから「ポストYMO」という触れ込みで、ある新人グループがデビューしたのですが、ファーストアルバムのプロデュースは高橋幸宏さんでメンバーも3人だったこともあり、「ポストYMO」というキャッチが付けられていたと思います。

そのグループ『URBAN DANCE(アーバン・ダンス)』(以下、UD)は成田忍さん(ギター、ヴォーカル)、小山謙吾さん(ベース)、松本浩一さん(ビート・コンストラクション=ドラム、パーカッション)の3人。関西出身のユニットとなります。

1986年までの2年間に2枚のフル・アルバムと1枚のミニ・アルバム、カセット・ブック1本を残しています。

とは言え、メンバーはそれ以前からも活動しており、成田さんは1982年に上方フュージョン・バンド『99.99(フォーナイン)』に参加、2枚のアルバムを発表、同時期、後にP-MODELOのメンバーにもなる小西健司さん、横川理彦さん(99.99にも参加)と共に「4-D mode1」を結成、その作品音源をソノシートで発表、無料配布するなど戦略的な活動をし、一躍、関西アンダーグラウンド・ニュー・ウェイヴ・シーンで脚光を浴びます。
小山さんはすでに伊藤銀次さんのプロデュースによるバンド『ハイウェイ』でもデビューしていました。

そして成田さんを中心とした、サイド・プロジェクトというべき『SHINOBU』名義で1984年にソノシート「CERAMIC LOVE」を発表、4-D mode1のライブや後にUDでも再録される代表曲となります。
『SHINOBU』はライブ活動のため、当初、成田さん、横川理彦さん(ベース、ヴァイオリン)、松本浩一さん(ドラムス)の3人で編成されましたが、横川さんがP-MODELへ加入することになったため、小山さんが加入、
しばらくは『SHINOBU』名義での活動を続けますが、デビューにあたり『URBAN DANCE』に改名します。

成田さんは、幸宏さんにプロデュースを希望していたと後に語っており、そのとおり、ファースト・アルバム『URBAN DANCE』はノンスタンダード・レーベルの第1弾アーティストとして、1985年4月に発表されました。

収録された全9曲のほとんどは「SHINOBU」時代のレパートリーでしたが、幸宏さんが提供した「HAMMER」や細野さんがノンスタンダード・レーベルから発表した12インチシングルからの楽曲のリメイクしたものも含まれています。

翌1986年1月に細野さんとの共作曲「ALIENLOVER」を含む、4曲入り12インチシングル『CERAMIC DANCER』を発表、松本さんによる名曲「A MOMENT'S PLEASURE」も収録されています。

6月には布袋寅泰さんや横川理彦さん、作詞で前作にも参加していた吉田美奈子さんや鈴木博文さん(ムーンライダーズ)、作曲で伊藤銀次さんが参加し、幸宏さん提供曲「CAMP」も含むアルバム『2 1/2 (TWO HALF)』を発表、年末のライブ終了後、活動を停止しています。

その後、成田さんは土屋昌巳さんや布袋寅泰さんのバックとしても活躍し、遊佐未森さんやCoccoさん、
ヴィジュアル系バンドのプロデューサーとしても活動、松本さんはDJ活動や『Soul Bossa Trio』への参加、自己のユニット『sonicballoon』として、近年は『千のアカシ』で活動しています。

そして、2015年には、オリジナル・メンバーで再結成し、前述のアルバム、カセット・ブック+αによる2枚組CDアルバムを発表、ライブも行い、高橋幸宏さんもゲスト参加した会場もありました。
2016年には過去作品を新録したものと、UDを敬愛するアーティストらによるカヴァーを収録した2枚組アルバム『U-DNA』を発表しています。

なお、UDライブ時のサポート・キーボーディストとして、『SOFT
BALLET』の森岡賢さんが参加していますが、このアルバム製作中、急逝、彼に捧げられたアルバムにもなりました。

2023年には、ファッションブランド「KENZO PARIS」の2023Fall-Winter CollectionPVに、1985年のファースト・アルバムの収録曲「Dreamer」が使用されています。

現在は、再び活動停止に入っていますが、エレクトリックでありながら、非常にロック的な唯一無二のユニットだったと思います。再びの活動を期待したいところです。

追記:最後のKENZOの動画以外はメンバーの松本浩一さんの公式YouTubeから引用させていただいております。

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