『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』と「SHADOWS ON THE GROUND」

坂本龍一さんの最晩年までの活動をまとめた自伝『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』がついに発表され、昨日手に入れました。

本書は主に2009年以降から亡くなる直前までの活動が記述されたものですが、YMOファンの自分にとっては、どうしても幸宏さん、細野さんに関する記述はないか、と探してしまうのですが、当然ありました。特に幸宏さんに関しては坂本さんと同じく闘病され、坂本さんより少し早く旅立ちましたのでいくつか記述がありました。幸宏さんが旅立ったことが公表された時に、Twitter上で灰色の画像のみを掲載していたのは多くの人にとっても坂本さんの悲しみを知ることになりました。

2000年代のYMOは実質的には2012年の「WORLD HAPPINESS 2012」で一区切りとし、活動停止した形になっています。しかし、2013年には「NO NUKES 2013」「WORLD HAPPINES 2013」など、それ以降もYMOと名乗らなくても3人の揃った姿を見られたのは、多くのYMOファンにとっては幸福感を感じるものだったかと思います。

YMOの楽曲は個人作、2人での共作、3人での共作のパターンがあります。2人での共作曲が一番多いのは、坂本さんと幸宏さんのコンビです。
その中で一番好きなのは1983年の散開記念アルバム『サーヴィス』に収録された「SHADOWS ON THE GROUND」という曲です。

今回、坂本さんの自伝タイトルにある"満月”のイメージと、この曲の曲調が自分にとっては重なったのです。

I want to love everybody
I want to hurt no one

この歌詞の部分がとても好きで、印象に残っています。

1980年代のYMOは、特に後期、The Beatlesの後期と同じようにメンバー全員での録音されていない曲もあったようですが、この曲も細野さんの関与はあまりなかったようです。そのことは細野さん監修・選曲のベストアルバム「YMO GO HOME!」で細野さん自身のライナーノーツにも記されていますが、収録曲として選曲されています。細野さんはYMOが散開してから再生するまでの間に行われたインタビューにおいて「幸宏と教授の才能にはずいぶん助けられた」(大意)と語っています。幸宏さんと坂本さんのコンビネーションが最良に表れた1曲、と言えるかと思います。

坂本さんが亡くなった時、今度は細野さんがTwitter上で灰色の画像のみを掲載しました。
そして、自身のラジオ番組で「高橋幸宏、坂本龍一への追悼は一生続くんだと思います」と悼んでいます。

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