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図書館の図書館《小説(文庫)編》

図書館が出てくる本の紹介、小説(文庫)編です。
片手に乗る小さな本に詰まった、広い世界の断片を繋ぎ合わせる感覚。

図書館がメインの作品だけでなく、ちらっと出てきただけのものも含まれています。

随時更新中。

【最終更新 2021/03/18】


1『凍りのくじら』
辻村深月
講談社
2011年
ある7月の放課後、学校の図書室で、主人公の理帆子は、新聞部の別所あきらに「写真のモデル」になってくれないかと頼まれる。(P51)


2『希望の国のエクソダス』
村上龍
文藝春秋
2002年
主人公(関口テツジ)の同棲者 由美子は、経済専門のフリーの取材記者だ。元々は出版業界のスタイリストだった彼女は、堕胎の三週間後、半年の休暇を取り、大学図書館に通ってマルクスやケインズを読み始める。その三年後、経済ジャーナリストとして自立できるようになった。(P31)
主人公がパキスタン行きの飛行機で出会った少年、中村君の母は読書好きで、図書館でパートの仕事をしている。母親の影響で中村君はよく本を読んだ。(P50)
主人公は中村君から、中学生達のリーダー的存在である「ポンちゃん」の演説を国会でできないか相談される。国会での演説の方法として、証人喚問や参考人招致について調べるが、書店や国会図書館で調べても見つけることができない。(P178)


3『博士の愛した数式』
小川洋子
新潮社
平成17年
事故の後遺症により、記憶が80分しかもたない博士と、家政婦とその息子のおはなし。博士は阪神タイガースのファンだ。でも、野球の試合を一度も見たことがない。なのにどうしてタイガースのファンになれたのか。博士は大学の昼休みに図書館へ行って、新聞のスポーツ欄を読んでいたのだ。それを聞いた家政婦の息子は、当時の選手の情報を、図書館に行って本で調べる。


4『ふしぎな図書館』
村上春樹 文
佐々木マキ 絵
講談社
2015年
市立図書館に本を返しにきた「ぼく」は、新しく本を探すのに地階に案内される。何度も通ったはずの図書館に地階があるなんて初耳だ。案内された部屋で待ちわびていた老人の強硬な態度に流され、少し不思議で恐ろしい体験をする。


5『殺人を呼んだ本』
赤川次郎
角川書店
平成8年
松永三記子は、私立野々宮図書館で住み込みの管理人として働くことになる。野々宮図書館は、ちょっと大きめの家、程度の大きさの建物で、地上階は住居、地下が広い書庫のある図書館になっている。所蔵されている本は統一感がなく、利用者を想定した造りにもなっていない。しかし元の持ち主の遺言で、図書館をずっと開けていなくてはいけない。三記子の取次をした弁護士の田所は、この図書館は事件や殺人に関わったいわくつきの本が集められた場所で、幽霊も出るのだという。


6『本屋さんのアンソロジー』
光文社
2014年
書店を題材にした作品を集めた、短編アンソロジー。
『国会図書館のボルト』坂木司
商店街の外れにある古い本屋は、グラビア写真集にビニールがかかっておらず、常連客のオアシスともいえる場所だ。ある時から写真集の万引きが多発し、店長と常連客たちは犯人を捕まえようと団結する。万引き犯は写真集を「図書館にも入らないような、いやらしい本」だから、役にも立たない、無くてもいいと宣うが、取り押さえたお巡りさんは反論する。(P79)

「国会図書館って図書館に入ってます。閲覧だってできますよ」

「日本国内で出版されたすべての出版物は、あそこで収集・保存されてるんだよ。そこに芸術的写真集とグラビア写真集の線引きはない」


7『火車』
宮部みゆき
新潮社
平成10年
休職中の刑事・本間は、遠縁の親戚の栗坂和也から、行方不明の婚約者・関根彰子を探してほしいと頼まれる。調査を続けるうちに、新城喬子という人物に辿り着く。かつて喬子と結婚していた男に話を聞こうと、本間は図書館で電話帳をめくって彼の所在を突き止める。(P421)
喬子は失踪した父親が残した借金の取り立てに悩んでいた。法的には、借金は個人のもので、娘である喬子に支払いを命じることはできないはずだ。喬子は相続放棄の手続きのために、図書館で官報をめくり、父親の消息を探す。(P455)


8『スプートニクの恋人』
村上春樹
講談社
2001年
すみれは22歳の春、従姉の結婚披露宴で同じテーブルについていた「ミュウ」という女性に激しい恋をする。初めての場で世間の人々が一般的にそうするように、まず名前を名乗りあう出会いから始まった。すみれは自分の名前が嫌いだった。亡くなった母親がモーツァルトの「すみれ」という歌曲が好きで、前々からその名前をつけようと決めていたのだという。きっと野原に咲くすみれの花の美しさを歌ったものにちがいないと想像していたすみれだが、中学生のときに学校の図書館で歌詞の日本語訳を見つけて、その救いも教訓もない内容にショックを受ける。(P29)


9『恋愛教室 図書館』
南潔
徳間書店
2014年
図書委員長のゆかりは生徒会長の直人とそりが合わない。顔を合わせればいがみ合う毎日。ある日、図書委員会の予算請求を受ける代わりに提示された条件を実行したゆかりに浴びせられたきつい一言。もうすぐ終わる高校生活を思い、提案された和解。直人は何を考えているのか。同時期に、ゆかりの本を持っていき、メールアドレスを残していった謎の人物とのメールでの交流が始まる。生徒会の役員や委員会の後輩など、複数の間で渦巻く人間関係。


10『図書館は、いつも静かに騒がしい』
端島凛
三交社
2017年
就活に失敗し続け、やぶれかぶれの気持ちで受けた図書館の面接に通った麻衣。職場となる区立詩島図書館には、多彩な個性を持った変人ばかり。ネガティブで本にはあまり興味のなかった麻衣は、日々の業務で図書館の役割を知り、職員や利用者とふれあううちに、面白さややりがいを感じてくる。


11『春へつづく』
加藤千恵
ポプラ社
2013年
卒業式の朝だけあかずの教室が開いていて、窓の外に向かって願い事を唱え何かしらのポーズをとると叶うというジンクスがある学校。そこを舞台に描かれる8つの連作短編集。
この学校の図書室には、自称「本の森の番人であるフクロウの化身で千二百歳」の学校司書がいる。彼女も、ジンクスの噂を聞き、連想するように自身の過去に思いを馳せる。


12『はじまりは、図書室』
虹月一兎
スターツ出版
2018年
高校の図書室を舞台にした三編の物語。体育会系のはずの幼馴染の裕司が図書室で本を読むという、珍しい姿を目にした図書委員の智沙都。部長としてのし掛かる重圧に悩み、ふと図書室を訪れた胡桃と、そんな胡桃が何気なく手に取った本を見て声をかける龍野くん。卒業式を終え、学生生活で長い時間を過ごした図書室に別れを告げにきた野村くんと、いつか図書室でマフラーを編んでいた少女。ほんのり甘酸っぱい恋のはじまりのおはなし。


13『恋のかけら』
幻冬舎
平成24年
恋愛をテーマにしたアンソロジー。
『無人島』小手鞠るい
町立図書館で働く“わたし”は、癌におかされた妻をもつ男性と不倫していた。単身赴任でこの町へやってきた彼とは、いつか別れの日がやってくる。そしてその時彼女は、彼に本を渡すのだ。その本の著者の訃報を知り、思い返す過去の愛のはなし。


14『自殺倶楽部』
谷村志穂
集英社
1997年
図書館で毎日1冊の本を借りていく“わたし”は、ある日「海の泡同盟」という詩を読む会に誘われる。しかしそれは表向きの顔で、実際は死にたい者たちの集まりだった。死を見守り、そこに至るまでの過程を胸におさめる「記録係」になってほしいと頼まれる。


15『阪急電車』
有川浩
幻冬舎
平成22年
片道わずか15分、各駅停車のローカル線で起きる、いくつかの小さな奇跡の物語。
その日、電車で隣に座ったのは、通っている図書館でよく見かける女性だった。好みの本をいつも目の前でかっさらっていく女。好みのタイプなので余計に悔しい。競っていない本のセンスも良い。つい意識してしまう征志は、ふと窓の外を見た女性の目線を辿る。そこには…



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この目録作成は私のライフワークです。
絶賛読書中なので今後も増えていきます。
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