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3.1 アンダルシアへ

朝。無愛想だが実はいい人だった受付のオジサンとお別れしホテルをチェックアウト。メトロでEstación Sur de autobusというバスターミナルまで移動した。

グラナダ行きのバスはすぐに見つかり窓口で片道チケットを購入。
乗車しようとすると、アンダルシアから来たという日本人旅行者から話しかけられ

「グラナダに着いたら3番の市バスに乗り換えれば街の中心地まで行けるよ。」

と教えられた。

ピンポイントで情報をくれ、なんだかドラクエっぽくて面白いななどと謎の妄想をしながらバスに乗り込み、5分遅れで出発。
日本では「5分も!?」となるがスペインでは全然許容範囲内である。

大都市マドリッドと別れ一気に南下しグラナダに向かった。グラナダまでの道は、アラビア語で「乾いた土地」を意味する「ラ・マンチャ」とかいう大平原を通過しひたすら南下。

赤茶の荒野が延々と続き、景色が変わらないので途中で寝落ちしてしまったが、爆睡して目が覚めても景色が全く変わらないというほどの大平原だった。

途中の休憩を含めて約5時間でグラナダに到着。距離でいうと東京-米原間くらいの距離か。

寝ぼけていて市バスの3番乗り場のことはすっかり忘れターミナル出入口で地図をクルクル回していると、10mほど離れた所にお世辞にも清潔とは言えないアジア人バックパッカーが佇んでいて目が合った。

ボロボロのリュック、ヴィンテージデニムなのかただ単に長い間洗ってないだけなのか分からない履き古したようなデニムパンツ。丸いサングラスを額にかけ長髪のボサボサ頭で身長170cm程のどう見てもベテラン旅行者の雰囲気を感じさせる風貌。

声をかけると予想通り日本人で、彼は自分より1時間程前にグラナダに着き、西の方角にあるユースホステルまで行こうと30分歩いたが見つからず、東に向きを変え同じく30分かけて歩いてターミナルまで戻ってきたところだった。

「...。なかったね(ユースホステル)...。」

悪い人ではなさそうだ。

街行きのバスが3番乗り場から出ていることを思い出しデニムさんと一緒に乗車し、街の中心地らしき所で下車。トレドやセゴビアにもあったように「Centro」と書いてる場所が街の中心部のようだ。英語では 「Central」だと思う。

道を歩いていた第一グラナダ人に今いる場所を確認し、2人で安宿を探した。彼はユースホステルに泊まりたがっていたが2人で泊まれば安くなるかもと言うと

「それ...、いいじゃん(節約できそう)。」

自分が調べた限りではユースホステルも安く泊まれるが、街中の安宿もそれほど変わらないと感じていた。

ホテル探し1軒目、PENCION MUNOSというホテルへ。

「Do you have a room?」

英語が通じる爽やかな笑顔のセニョーラ(女性)が出迎えてくれた。階段を上り2階へ。

ダブルの部屋は空いているか尋ねたが残念ながら空いていなく、ツインの部屋なら空いているとのこと。

さすがにそれは遠慮し、結局1,500Ptsのシングルに別々に止まることになった。マドリードの相場に比べたら1泊1,500は安い。

自分の部屋(217号室)は、ドアノブがヨレヨレで今にもノブごと外れそうだがなぜか機能していた。安宿なのでこれくらいのことは気にしてはいけない。

部屋に荷物を置いて2人で街に出てみたが、マドリードから来ただけあって街がかなり小さく感じた。逆にデニムさんはマラガから来たので大きく感じると言っていた。

日が傾いてきた19時頃、見晴らしのいいところから夕陽を見ようということになりこの街の名所であるアルハンブラの方に向かってみた。

しかし登る坂道を1本間違えていたらしく並行線で一向に着く気配がない。

「...。着かないね(アルハンブラ見えるのに)...。」

諦めて無言でひき返した。

街に戻り2人でワインでも飲もうということになり適当にバルに入ってみた。

デニムさんは見た目30歳くらいで、昨年の12月に会社を辞め1月末からイタリア、スペインを貧乏旅行しているとのことだった。ワインが進むと口数が増えはじめ、会社に勤めていた頃の営業職の苦労話や接待で行ったキャバクラでの女性の会話のうまさなどいろいろ熱く語ってくれた。

ワインのおかわりを注文すると、熱く話す彼の気迫が伝わったのかは謎だが、お店の人がトルティーリャをおごってくれた。

会計は2人で約2,000Pts。貧乏旅行している二人には高い会計に思えたが一般的にはかなり安いバルだったと思う。雰囲気はすごく良い店だった。

ほろ酔いでホテルに戻るとデニムさんは自分に「ハポン広場」とかいうスペイン在住の日本人向けの雑誌と洗濯用洗剤をくれた。無口だがいい人だ。

デニムさんは明日9時から名所を見て周り午後には長距離バスでバルセロナまで移動し、3月初旬にバルセロナから日本に帰るとのこと。

グラナダはのんびりしていて、治安はマドリッドより良さそうで小さな街の割にはアジア人を多く見かけた。この街に2日間滞在した後は、デニムさんが先週まで滞在していてのんびりすることが出来たというコスタデルソルの西の端にある「エスヒポナ」とかいう小さな街に行ってみようと思う。

その先はポルトガルまで行ってもいいし船の料金が安ければモロッコに行ってみてもいいかもしれない。元々マドリードの街に滞在し続ける予定だったのが、今は遠く離れたアンダルシアの街にいる。

この先東に行ってもいいし西に行ってもいい。
どこにでも行けると改めて気づき羽根が生えたような感覚になった。

まぁ、何が起きても自己責任だが...。

しかし12日から始まるというバレンシアのお祭りは、一生に一度は見ておいた方がいいと聞いたので絶対に観てみたい。祭りの最中は宿の値段が6500Pts位に跳ね上がり空室もなくなるらしいので、少し早めに行ったほうがいいかも。

どちらにしても時間はあるので、エスヒポナに行ってから考えよう。

本日の出費

朝食 500Pts
夕食 1,600Pts
Hostel arcasal(マドリッド) 8,000Pts
Pension munos(グラナダ) 3,000Pts
長距離バス 1,940Pts
市バス 60Pts

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