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【ショート・ショート】問答無用

長谷川は、タイムリープ試作機をテストするため未来の世界にタイムリープした。

2100年に到着した長谷川は、尿意を催してしまった。ドラム洗濯機型タイムリープ装置でこの時代に到着した長谷川だったが、尿意を我慢できず、タイムリープ装置を街に残したまま、到着場所近くのビルのトイレに駆け込んだ。男子トイレを探した長谷川だったが、トイレは男女の区別がなく、個室のトイレのみになっていた。

「ふう。しかし、結構未来に来たのに、洋式トイレの中は、あまり変化ないな」

用をたし終えた長谷川は、トイレの中を見回した。すると、突然、警報音が鳴り始めるとともに女性のアナウンスが始まった。

「あなたの尿から癌の可能性を検出しました。速やかな治療が必要です。ただ、あなたの体を構成する炭素原子からすると、あなたは今、この世界で生存しているはずの存在ではありません。この時代の医療技術で、税を負担していないあなたを治療することは不適切です。よって、医療サービスの公正・公平な提供に関する法律に基づき、炭素原子の分析で判明した、あなたの生まれた年に強制転送します。あなたが生まれた可能性が高い年は1980年です」

「え、ちょっまって。おれが生まれたのは199・・」

長谷川は問答無用で転送された。

(終わり)

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