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【ショート・ショート】へんな部活

今日からショート・ショートにも挑戦してみます。文字数の定義はないようなので、一応、500文字程度を目安に書こうかと思ってます。

「失礼します・・・」

三上春香はおそるおそる物理室の引き戸をスライドさせた。

春香は順風高校の新入生。授業が始まってからまだ1週間も経っていない。

春香は、放課後、興味を持った部活をいくつか回っていた。春香が中に入ろうとしている物理室は「貴宅部」の部室。部活一覧に掲載されている部活の中で、唯一名前から何をやっているのかがわからない部活だ。

「あの・・・私、1年の・・・あれ?」

室内に誰もいない。部活一覧にはここだと書いてあったはずだ。

「物理室に用?」

後ろから声がした。

「きみ、もしかして『貴宅部』に来たの?」

「はい。そうですが・・・。どんな部活なのか聞きに来たのですが、誰もいないのです」

「私は顧問の大貫。物理を教えてます。今、16時半だから誰もいないよ」

「みなさん早く帰ったんですか」

「まあ、そういう部活だからねぇ」

大貫が苦笑しながらいう

「?」

「家に帰るという『帰宅』とはちょっと違う」

「??」

「みんな、お家が大好きでね。自分の家とか部屋が好きすぎる人がそれを語り合うだけの部活。で、家が好きだからあっという間に帰っちゃう」

「???」

「まあ、普通はそういう反応だよね」

「????」

「君、名前とクラスは?」

「三上春香です。クラスは1年3組」

「じゃあ、入部ね。明日、放課後すぐにここに来て。部長には君が入部したって言っておくから。じゃあね」

「え?いや、あの・・・」

春香は呆然と大貫の背中を見つめていた。

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