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旅先でもらったクーポン持て余し米を30キロ買い帰る

「だからね、少ないお金で暮らすのは技術なんだよ。
例えば、君がある地方へ旅行に行ったとするだろう。
その町のホテルで支払いを済ませると、その町でしか使えないクーポン券を
思いがけず受け取る。そんな時に、君は何を買う?」
彼はそれだけ言うと、スッと消えた。

リビングに降りて、一晩中暖房がつけっぱなしになっていたことに気付く。
コツコツと節約した成果は、一度のミスによっておジャンになる。
そういうのなんて言うんだったっけ。そうだ、元の木阿弥。
一晩の浪費の結果は、それまでの節約の金額を上回るかもしれない。
そうなったらもう、元の木阿弥以下。

「でもね、そういう習慣っていうのは意外と体に染み付いてるものなの。
だから、それはそれで無駄ではないわ。
節約の習慣はついている。寝る前に暖房を消す習慣さえつければ、
あとはもう・・・。
わかるでしょ。」
彼女はそれだけ言うとスッと消えた。

僕は冷蔵庫を開けてタッパを取り出すと
中に入った"白菜とベーコンの煮物"をご飯の上に装った。

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