シュペルターと歩む15年記 #26
コミュ障の服屋さん
注)内容にシュペルター製作記事が含まれます。
こびとの靴屋
一月往ぬる二月逃げる三月去る、といいますが、
2024年になって早くも一カ月半が経ちました。
そういえばお正月は何をしていたっけ?
ああ、そうだった!
ゼニファーのお父さんが年末に突然亡くなって、
大晦日がお葬式という大変な年明けだったのです。
(”あぁ、そうだった!”で語り出すようなことではありませんが)
それから、おおよそ7週間が過ぎ、先週日曜日が四十九日法要でした。
本当に時が経つのは早い。
と、このnoteを書き始めてから、早くも10日間が経ってしまいました。
実に時が経つのは早い。
四十九日法要では、こんなことがありました。
ゼニファーの実家コネリー家の法要にいらっしゃるのは
当然トトム家のあのご住職とは違う住職様。
たまたま宗派は浄土真宗で同じです。
同じはずなのですが、読経はコネリー家の方がだいぶ長いのです。
長いだけでなく、熱く歌い上げる風。
そうムスクの香りが漂うが如く。
それを自覚してかどうか法要が始まる前に、
やたらと足を崩してくださいと勧めるご住職。
とはいっても最初から足を崩す人はいない。
それでは、とご住職、
足の痺れにくい座布団の座り方
それでも痺れが切れた時の対処法
正座のプロたるお坊さんの脚の特徴
さらには
カラオケでスローソングを歌うときは正座のほうが声が出やすい
という自説まで披露いただく。
(やはりあのムスク読経法はカラオケで鍛えたものだったのか!)
簡単なお経であれば終わってしまうくらいの長さの
前説が終わり、やっと法要が始まる。
親切で親しみ易いのは大変良いのだが、みんな法要が始まる前に
既に足に痺れがきれ始めているのでは、と心配になる。
こういうと、なにやら自分は大丈夫という、
上から目線のように聞こえますが、
実は最初からギブアップしてトトム一人がイスに座っていたのです。
やはり今回もお経が長い。
目の前で痺れが切れてしまったと思われる甥、姪の足がモゾモゾと
動くのをボーと眺めながら、無我の境地で過ごすトトム。
お経もやっと中盤を超えたと思われる頃、ピンポーンとチャイムが鳴る。
誰だ!こんな時に。
まぁ玄関に”Don‘tDisturb”の札は掛けていないので仕方ないのですが。
ゼニファーが足の痺れと悪戦苦闘しながら立ち上がり、
よろよろと玄関の方へ!
と下手へ退場。
あれれ、ゼニファーなかなか帰ってこないな、誰が何の用事だろう
と思っているうちに、
とうとう長かったお経も終わり、
それに合わせてお茶を持ったゼニファー、上手から登場。
あぁ、ややこしい用件の人が訪ねてきたのではなく、
ついでにお茶の準備をしていたのね。
ところで誰だったの?
『自治会長さんがやってきて、今年も民生委員をお願いできないかって。』
『えっ!誰に民生委員になってほしいとお願いに来たの?
まさか旦那さんを亡くしたばかりのお義母さん?(この町内会、鬼か⁉)』
『いや、パパ(トトムからいえば義父)に。』
『”パパに”って!今ここに遺影の中で穏やかに微笑んでますやん。』
『いや、パパが亡くなったの知らなかったみたいで、』
そりゃー自治会長さんもさぞかしびっくりしただろう。
「すみません、なかなか引き受けていただける方が居なくて、
今年もお父様に民生委員を…」と尋ねて来て
喪服を着て玄関に現れたゼニファーを見るや
お願いの言葉もフェードアウトしたに違いない。
でどうなったの?
『「昨年末に亡くなりまして、
今(まさに)四十九日法要をしているんです。」と言ったわさ』
そしたら?
『そうですか、それは失礼しました!失礼します。』
(響きは変だが、意味としては正しい日本語だ)
ゼニファーパパは密葬だったので、
ほとんどご近所様にもお知らせしていないのですが、
『あー、市から自治会長には連絡が行くかと思ってたけど、
連絡行かないんやねぇ。』
と割と呑気に構えるコネリー家であった。
そんな自治会長さんも、あわただしく動き回る年度末!
トトムも色々ありまして、今落ち着きなく過ごしています。
昨年からシュペルターと歩む15年記の完結を目指して、
noteに全力を注いでいますので
ほとんどプラモデルにいそしむ余裕もないのですが、
もしプラモをしていたら
磨き作業は寝ている間に小人さんにお願いしたいくらいです。
いやあのシコシコと磨く単純作業をしていると
いつも催眠術にかかったように眠くてしょうがなくなるのです。
もしかしたら一部は小人さんが磨いてくれていたかもしれません。
でも、いくら楽で便利とはいっても
noteの文章はChat GPT小人には絶対に任せたくないですね。
人間は言語を獲得した時点で動物とは一線を画するのですが、
さらに発声を記号で表記する文字言語を発明したことで、
文字言語は口頭言語にも影響し、
ひいては筆記は思考の一部となって文明を進化させたのです。
言語学者ではないので正確にはわかりませんが、
確かに文章を書くことで思考を深めることができるのは経験上間違いない。
Chat GPTの普及は人類に何をもたらすのか?
ワープロが普及しても漢字を少し忘れただけで、
文章自体はより早く書けるようになり、
それに伴う思考もまた効率的になったと思いますし、
デジタル技術は漫画や映画のクオリティを革新し、
それがまたより効果的なデジタル技術の開発というサイクルになっている。
ではChat GPTに頼り、文章を書かなくなった人類は
果たして思考力が退化するのか?
はたまた新たな思考方式の地平を切り拓くのか?
◇
コミュ障の服屋さん
急な冠婚葬祭といえば、慌てるのは服です。
どんな服を着て行こうか?ということではなく
黒のネクタイ何処へ行ったっけ?
とか
無地のワイシャツ、アイロンが掛かってない!
くらいなら良いのですが、
最悪、着るのが久しぶり過ぎて、サイズが合わねぇ!
という事態も。
特に最近は、同じ職場というだけでは結婚式にも葬儀にも
参列することがほとんどなくなったので、なおさらです。
最近の略礼服(喪服)関係の状況を振り返ると
父の葬儀(2023年4月)
白のワイシャツがない!
とある理由でトトムはワイシャツの消耗が激しいのですが、
最近補充する時は、
薄いブルーのものや、白でも着やすいジャージ生地のものを
買っていたのでした。
ということでワイシャツは実家にある父(故人)のものを着用!
父の四十九日法要(2023年5月)
例のワイシャツはそのまま遺品の一つとして(?)譲り受けていたので
あわてることもなくクリア。
そもそも四十九日は急な法要じゃないし。
父の初盆(2023年8月)
トトム父の初盆は、Mission Rin-Possible Dead Returningに書いたように
準備万端で臨んだのに、結果は上下ともユニクロになってしまいました。
あのワイシャツは四十九日から3ヶ月しか経っていないにも関わらず
ちょっと行方がわからない。(あの後実家に置いて帰ったかも)
でもちゃんとユニクロで白のワイシャツを買っていたのです。
スラックスは手違いでユニクロパンツを穿いてしまっただけ。
ゼニファーパパの葬儀(2023年12月)
本当に急なことで慌てました。
まずゼニファーが実家に駆け付け、
トトムはポコぞうと後から斎場へ向かったのだが
出発直前にポコぞうが
『それユニクロのズボンじゃん!』
『いかにもユニクロだが!色は黒だし、
この間のお盆の時も穿いたものだそ!』
『でも上下で色が違ってる!』
そんなハズは…
あっ!実際に上下で着てみると
礼服の”墨黒”とユニクロの”ほぼ黒”がこんなにも違うとは。
お盆の時は暑いのでジャケットは着てませんでした!テヘペロ
何処を探しても礼服のスラックスがない。
まさか父の初盆で穿かれなかったので拗ねたのか?
いや、実家に置いてきた?
ゼニファーに電話して、聞いてみるが
心当たりなし。とのこと。
ただ電話した甲斐はあり、ゼニファーパパのスラックスを
お借りできることになり一安心。
しかしまた葬送される当の故人の服を着て
葬儀に参列することになろうとは。
斎場に到着し、控室で着替える。
ゼニファーパパのスラックスはサイズもピッタリで
むしろ少し窮屈な自分のスラックスよりも具合が良い。
『ではもらってくださいな。』とお義母さんに言っていただき
お言葉に甘える。
もうすぐ、お通夜が始まろうと言うときに
ゼニファーがそそと近寄って来て
『トトムのスラックス、
私が自分の喪服と一緒に知らずに持って来とったわ!』
ゼニファーパパの四十九日法要(2024年2月)
クローゼットに吊るされていたスラックスを無造作に取ると
いただいたゼニファーパパのではなく、もともとの自分のもの。
少しきついかもしれないが、ここで腹囲を甘やかしてはいけない。
敢えて着る!
意外とイケるではないか!
あとは安定のユニクロワイシャツを着て、note冒頭の場面へ。
この後3月に父の1周忌、8月にゼニファーパパの初盆と続きますので
慌てないように準備しておかなくては。
ところで冠婚葬祭のお供に、あるいは不意を突いてくる刺客としても
大活躍のユニクロ。
いまさら言うような事でもありませんが、
ユニクロは着心地と機能性が魅力。
以前ならユニクロで買うものといえば
ヒートテックの下着や軽量で極彩色のナイロンのダウンジャケット
(わかります?)
くらいだったのですが、
だんだんワイシャツなどのフォーマル系もユニクロにシフトしています。
理由はせっかく買ってもワイシャツがすぐに傷んでしまうこと。
トトムは髪の毛が硬いので、刈り上げた襟足はちくちくで
さながらヤスリか剣山か!
シャツは毎日ちくちく、ちくちく髪の毛に刺され続ける
襟の折り返しのところが、いの一番に破れてしまうのです。
また白いシャツはどうしても黄ばみが出てしまうので
ワンシーズン用と割り切り、ワイシャツ部門もユニクロの軍門に下る。
いざ着てみると適度な伸縮性で着心地も良く
アイロン不要なのでゼニファーもお気に入り。
今ではジーパンもスラックスも全部ユニクロのストレッチ素材になり、
あー上から下までユニクロ楽チン暮らし。
でもユニクロは唯一、シャツがイマひとつだと思う。
ラインナップはだいたいダンガリーシャツかネルのチェックくらい、
ドレッシーなのが無いんですよね。
フラワープリントとかそういうのが好きなんですがねぇ。
そんなわけで、久しぶりに学校の保護者参観にも着ていける
ビシッと決まった洒落たシャツを買おう!
と、ポコぞうと父娘二人して神戸大丸へ。
エスカレーターで紳士服の階まで上がり、
メインの周回路をくるりと見て回わる。
やっぱり大丸でもチェック柄とかが多いな。
今一つピンとこない。
メインの周回路からトイレの方へと伸びる枝道に入る。
ん?花柄とかちょっとイイ感じのシャツを置いているお店を発見。
ちょっと寄ってみよう。
無地のシャツもなかなか良さげな生地である。
実際に着るなら無地のほうが良いかな?
『いや、こっちも良いかも。ポコぞう、どう思う?』
とか言いつつ、服を交互に手に取り、
”買おうかなシグナル”をビンビンに発信するのだが、
すぐそこにいる店員さんは一向に話しかけてくる気配なし。
なぜだ?確かにお客様に自由に商品をご覧いただく余裕が
一流百貨店の店員というものだが
”自由にご覧あれ”という段階は既に過ぎ去り、
何を買おうか迷っているぞ!
仕方ないのでこちらから、
『こっちの柄のあるのと、無地のと迷っているのですが、
無地だとやっぱりフォーマルですかね?』
とたわいもないことを尋ねる。
例えば”どのような時に着るんですか?”とか
”どういうのがお好みですかとか?”などと
当然話が進むと思うのだが
『ええ、無地だとやっぱりフォーマルですね。
もちろんチノパンとかと合わせていただいても大丈夫です。』
・・・
思ったより話が広がらない。
柄の方はどうですかね?
『やっぱり柄があるとカジュアルです。』
・・・
おっしゃるとおり!
でもぐっともうひと押しして
購買意欲を高めるようなセールストークのテクニック無いんかな?
なぜ客がこうもやきもきしないといけないのだろう?
埒が明かないので、こちらから第2段階へ進める。
ちょっと無地のやつ、着てみていいですか?
どうぞ。
とさすがにハンガーからシャツを取ってくれるが、
その場で広げて”袖をお通し”サイン。
えー?ズボンの履き替えはないとはいえ、
試着室で今着ているシャツを脱いでちゃんと合わせたいのですが・・・
まぁいいや。
まさかのシャツonシャツ
ただシャツの上から着たとはいえ、なかなか仕立てが良い
特に襟の形がスタイリッシュに思う。
襟が少し高いデザインですか?
『そうですね、高くも、低くもないですかね。』
おーい!セールストークカモーン! щ(゚Д゚щ)カモーン
まぁ店員さんが”ある意味”面白いので買うとしよう。
これください。
はい、ありがとうございます。
ちなみに店員さんはおじさん二人いるのだが、
一人は一生懸命キャッシュカードで支払いの手続き、
一方はせっせと服の包装に精を出し、静かな時が流れる。
トトムとポコぞうは二人でポツリん。
お話に夢中になって手が止まるのは困るが、
もうちょっとしゃべってもらってもよいよ。
店を出て、ポコぞうが開口一番、言った言葉、
コミュ障の服屋さんだったね。
それな!
ええ、当然ノーコミュセールスが大丸の標準的商法ではありませんよ。
トトムがユニクロに走る前は、
実は行きつけの服屋というのがあったのです。
結婚したばかりの頃ジェニファーと大丸へ行って、
たまたま見つけたDaniel Cremieux(ダニエル・クレミュー)。
それまでは、社会人になったあとも
好き好んで自分で服など買う事はほとんどなかったのですが。
独身時代の写真を見返すと、自分が着ているのは
・バーバリーの偽物みたいなチェックのシャツ、
(ボビーロンドンほど胡散臭くはないが)
・ぼやっとした黄色とわさび色の無地シャツ。
(こういう色好きだったんかな?)
・やっぱりわさび色のコールテンのシャツ、
(昔はコーデュロイのことをコールテンと言ったんだな!)
・それから緑のポロシャツ 等。
まぁオタク御用達服常用とまではいえないが、
褒められたものでもないな。
クレミューで、最初は普通のチェックのシャツを買ったのですが、
イタリア産生地の風合いと仕立てが非常に良く一目で気に入ったのです。
ポロシャツというは以前着ていた緑色のシャツの
ダラっとした印象が潜在意識にあり
それまであまり好きではなかったのですが、
クレミューのポロシャツはシルエットがすっきりとしている。
何着かそこで買ううちに、
店員さん(セールス主任?店長さん?)と顔見知りになり、
大丸に行ったついでに顔を出すと、
色々とお薦めしてくれるようになりました。
『トトムさん、これなんかどうですか?』
『あー花柄ですか?結構思い切った柄ですね。ホントに男物?』
『トトムさん、着てみられたら、意外としっくりくると思いますよ。』
と自然に試着を促すこのテクニックに刮目せよ。
こうして自分一人であれば、決して選ぶことのないような
おしゃれ服も少しずつ着るようになったのです。
ポコぞうが生まれた後もゼニファー、ベイビーポコぞうと3人で
何度もお店に遊びに行きました。
おっかなびっくりでポコぞうを抱っこする店長さんの必死の表情の
写真が残っていたり。
トトム一家が中国へ行くのと時同じくして
ダニエル・クレミューは日本から撤退しましたが、
三ノ宮そごうのポール・スミスに異動された店長さんとは
長いお付き合い。
中国へ赴任しても一時帰国したときには時々お店に顔を出して服の相談。
『今度ドバイへ行ってバージュ・アル・アラブに泊まるんですけど、
どんなのがいいですかね?』
と相談してシックなシャツや軽快なジャケットを選んでもらったり。
中国から帰っても
『ポコぞうちゃん大きくなったねー、今お父さんが試着している服どう?』
『ボタンのところが変だねぇ』
『あっ、そこがこの服のポイントなんだけど』
『トトはもっと痩せないと何を着ても似合わないよ!』
『相変わらず、お父さんと仲がいいねぇ。』(;^_^A
買った服とともにたくさんの思い出があり、
そして買った服の多くには、ニクい工夫というか
ちょっとした仕掛けがあるのです。
最初のころはボタンの色がちょっとずつ違うとか、そんなところですが
だんだんと、ディティールにこだわるようになり…。
その店長さんも京都のお店に移ったりして、
あまりおしゃれ服を買う事が無くなりました。
いやそれ以前に体型の問題から以前の服が着れなくなったのですが、
これは世を忍ぶ仮の姿、
この姿のうちはユニクロで買おうという言い訳が結局、
ユニクロ派になるきっかけなのである。
ただし今でも服を買うときには
ゼニファーに『どうなん?』と言われると、
『うーん、なんか普通やね。』
『”普通”って!服は普通、”普通なの”を着るんとちがうの?
だったらどういいうのがいいの?』
『なんていうか、”面白いところ”がないと…』
『面白さで服買うんじゃないでしょ!』
という会話をしてしまうのである。
◇
ボロは着てても心は錦
いやいや、ダニエル・クレミューもポール・スミスも
”ボロ”どころか高級ブランドなのですが、
内に秘めたる”スピリッツ”が必要!という例えでして。
”神は細部に宿る”といいますが、それとはちょっと違う。
脚部の関節にしても、腰部フレームや胸の内蔵部品の再現にしても
結果的にはほとんど見えなくなってしまうのですが、
つくっているときは主役として徹底的に細部にこだわって作っています。
しかし、上腕から先の腕部については、
ルミナスミラージュの腕フレームの複製品と
キットオリジナルの部品を使うことで
自作部分を最小限に抑えて作るつもりです。
さて、一体どこで”スピリッツ”を発揮させるか?
それが今回の主題となるテーマなのです。
製作期間は2015年9月~2018年10月
なんだかんだで3年間かかっています。
腕の骨格
ルミナスミラージュ腕フレームを上腕部品にどのようにつなぐか?
以下の2つの条件を考えます。
・取り付けた時の腕の角度が目指すポーズと一致すること。
・シュペルターの上腕とルミナス腕フレームの接合部が
デザイン的に違和感がないこと。
1つ目の条件
左腕は設定画のポーズ再現のため、
剣先(正確には鞘の先なので鐺[こじり]という)を
地面につけて剣を立て、柄の頭(かしら)に掌を載せます。
ここで満足すべき条件はなんでしょう?
このポーズを満足するために、
”剣の長さと掌から地面までの高さが同じでなければならない”ということ。
多少は剣の傾きで調整できるとしても、精々10度まで、
許される誤差は1.5%です(COS10deg=0.9848)
なぜこれが難しいのか?
1つは、未だ脚の各部品を固定していないので、
まずもって腕の付け根である胸の地面からの高さが正確にわからない。
(未知数a)
2つめは脚をだいぶ長くしたのだが、剣は延長しなくても良いのか?
という迷いがあるわけです。
スラっとした足長のシュペルターには
スラっとした長剣を持ってほしいのだが、キットのままで良いのだろうか?
長さを変えるとしたら、最適な剣の長さは?
(未知数b)
最後は肩部品も、腕フレームもルミナスミラージュの複製品であり、
基本的な腕の角度は、ルミナスミラージュのポーズ次第であること。
肩の取り付け角度(α、β)を変えるのはほぼ不可能で、
肘の曲げ角度(θ)を変える場合にはかなりの改造が必要となる。
(よってα、βは既知の固定値、θはオリジナル状態を初期値とする変数)
さてさて、未知数が二つで、変数が一つの方程式を解くようなものである。
要はこのままでは解を求めることはできない。
どうしたものか?
幸いにもルミナスミラージュの左手が持っているのは剣ならぬ盾なのだが
剣を持ってだらりと下げた右腕に対して、
左手は縦を構えるために脇を少し開き、肘を曲げているのである。
要は立てた剣の柄に掌を載せるポーズと似通っている。
それならば発想の転換!
まずはルミナスの腕フレームをそのままの形で
上腕に対して自然体で取り付けるのである。
すなわち肘の曲げ角度という変数θは、初期値θ(0)とする。
脚部も腕部も完全に組立て、aの値が確定した後で、
掌から地面までの距離を測って、
それに剣の長さbを合わせれば良いのである。
腕の角度が自然であれば、きっとその掌の下にあるべき剣の長さも
最適なものになるに違いない。
2つ目の条件
これはルミナスの肩部品をシュペルターの胸部に取り付けた時と
同じ悩みである。
違うキットの部品をつなぎ合わせるのであるから、
接合部の形状的な観点で、物理的に取り付けることは出来ても
必ずしも接合部周辺を含めた全体のデザインが
馴染んでいるとは限らないい。
いわゆる”取って付けた感”が残るという奴です。
実際に取って来て(複製して)付けたのであるからそれも仕方ないのだが。
ルミナス肩部品のシュペルター胸への取り付けでは、
繋がりが自然に見えるように表面ディティールで
辻褄を合わせるのではなく、
腕の取り付け部である胸の側面を彫り込んで、
肩から胸内部へと繋がる内部構造を実際に再現しました。
繋がっているように見せるのではなく、
実際に繋げてやるという、手間はかかるが確実な方法。
腕ではこれとは違うアプローチとします。
ルミナス腕フレームとシュペルター上腕をつなげてみて、
どこがどのように不自然なのかを確認し、
それを解消するようなデザインアレンジをするという
真っ当な方法で解決を試みます。
このルミナス腕フレーム、
永野護氏のモーターヘッド内部構造図の肘関節の意匠を
うまく取り入れながら、一つの塊の部品として仕上げられています。
せっかくこれだけよく出来ているルミナスの腕フレームを
流用したのだから、形状の修正はせずにそのまま使用し、
むしろシュペルターのキットオリジナル部品のほうのデザインを
アレンジするという、主客転倒で行きましょう。
デザイン戦国時代。世は下剋上なのです。
しかし、いくらデザインの調和を取る為とはいえ、
”シュペルターはシュペルター!”
勝手にデザインを変えても良いのでしょうか?
良いのです!(即答)
”変える”も何も、実は上腕部のデザインは、
肩部装甲から懸垂される翼型形状の装甲によってほとんど隠されており
設定画でも、漫画本編でもほとんど見えません。
キットのものは、ほぼボークスさんの想像の産物で、
しかもプラナリアのようなヘンテコな形。
これは形を変えても文句は言われますまい。
誰にも創造する権利があるということなのです。
実際にくっつけてみて、まず問題となるのはプラナリアの顔。
これが腕フレームの肘外側のブロックと干渉して
そもそも、くっつけることができないのである。
やはりこのプラナリアの顔は排除される運命だったのだな。
ただし何かの機会に使えることもあるかもしれないので、
精密のこぎりをつかって、設定した位置で丁寧に切断
これでやっと実際に上腕に腕フレームを取り付けすることができました。
(ここから後は塗装後にしか写真を撮影していないので、
いきなり作業が進んでいるように見えますがご容赦を。
塗装に関する説明は今回はありません。)
どうも肘外側ブロック(赤い丸ポッチのあるところ)と上腕部品
との間のディティールが間延びしているように見えます。
また設定としても、防御の観点でここが剥き出しなのはマズい。
一方肘内側のディティールはうまい具合に上腕部と一体感がでているので、
本来この部分に取り付けられる部品番号64を
薄く加工して肘外側の増加装甲とします。
見栄えはこれでよくなりましたが、
この小さな増加装甲だけで防御が十分だろうか?
やはり肘関節全体を覆うような、カバーがあったようが良いだろう。
カバーをプラ板のヒートプレスか何かで自作するか?
いやここはダニエル・クレミューのジャケットの
裾の裏地側からチンストラップを取り出してくるという仕掛け
を見習って、自前でカバーを供給するとしよう。
ちょうど例の上腕部から切断して仮保管しているプラナリアの顔が
手元にあります。
それを利用してみてはどうだろう。
腕フレームの肘外側ブロックと前腕甲アーマーの間に
少し隙間がありますので、ここに仕込むことができないだろうか?
肘外側ブロックにもとのキットとは逆向きに取り付けると
甲アーマーの上端部形状とうまくマッチして多重化装甲のように見えます。
また肘を曲げた時には、
このプラナリア装甲(もうメンドクサイので今後こう呼ぼう)
がスライド伸展し、
露出する肘関節を覆うような機構を持たせてみればなお良し。
実は上の写真の肘外側ブロックには
プラナリア装甲が円弧状に可動するような
スライドレールのディティールを追加加工しているのが
写っています。(ゴールドで塗装した縞模様のある溝)
ほぼ肘を伸ばした右手と
少し曲げた左手でこのプラナリア装甲の伸展具合を変えることで、
模型的にも面白い表現となるはず!
あつ残念!シュペルターもガワラ曲げでした。
ガワラ曲げしている左腕も、
プラナリア装甲を一生懸命伸展してみたのですが、
結果はこの通り。
思ったほど、というか思った通り効果は今一つでした。
その他部品の取り付けなど
シュペルター#18では肩関節と上腕のフレームを仕上げるところまで
作業が進んでいました。
上腕部品はキットのような
ボールジョイントになっている上部を肩のポリキャップ受部に
差し込むのではなく、
上腕部品の上部を臼状に掘り込んで、
上腕フレームをその中に差し込みます。
奇しくも、L.E.DミラージュV3と同様の構造になります。
もともとはブロック状だったものを彫り込んで、
端部に装甲の厚みというものを表現するのですがから、
厚みだけでなく装甲自体の構造まで表現しなくてはなりません。
ここは表は無地でも裏地はフラワープリントというのが
常套手段のダニエル・クレミューのシャツを見習って、
装甲端部に複合装甲が露出したような模様を再現してみます。
折角小技を利かせたのですが、あまり良い写真が残っていません。
上の写真の上腕部上端にひっそりと刻まれた
小さな台形が並んだような彫刻をみてやってください。
次は手首です。
手首にもルミナス・ミラージュのものを流用使用すれば、
当然同じルミナスの部品同士なので
腕フレームとのつながりはバッチリになるでしょう。
しかし掌のデザインが違い過ぎる。
ここはシュペルターの手首の取付部を改造して使用することにします。
注意しないといけないのは腕フレーム先端と手首が
ドン付けとなってはいけないことです。
手首を曲げたり、各指を動かす機構が内部を通っているのですから、
それらのすべては再現できずとも、
手首部品と腕フレーム部には機構的な繋がりがあるように
見せることが必要で、
そのためにオーバーラップした部分を設ける必要がある。
もとよりルミナスの手首はそのようになっているのですが、
シュペルターの手首は(MMなので当然ではありますが)、
その端部にまた能天気にもボールジョイントが付いているのである。
またまたボールジョイントを削除するとともに、
シュペルターの腕フレーム先端が嵌り込む四角いくぼみをつくります。
すべての指用のパワーシリンダーはとても再現できませが、
親指側と小指側のものくらいは真鍮パイプと真鍮線で製作します。
親指側は単なるパイプではなく、
親指の第一関節になるようなブロックをプラ棒からつくってやります。
ガレージキット製作と全く関係ありませんが、こうして手首を
いろいろな角度から並べた写真を見ると
ガンダムのオープニング曲を思い出しますね。ますよね!
あとは前腕フレームに甲側と内側の装甲を取り付けるだけ!
もとの部品は肘部と手首部にポリキャップを挟み込む
くぼみが付いたブロック状部品ですが、
内側装甲をコの字形断面に削り込んで、
ルミナスミラージュの腕フレームを内部に通してやります。
まずルミナスミラージュの前腕フレームをシェイプアップ。
装甲に隠れて見えなくなるところのディティールは犠牲にして
スッキリとした棒状に削る。
次に前腕内側の装甲部品を掘って、彫って、またほって!
ハイ チェック!
まだ干渉してる。
掘って、彫って、まだほって、ハイ
もう少し!
気が付けば内側装甲の厚みが紙のように薄くなって
太陽に透かして見れば、真っ赤に流れる血潮は見えないが、
光が透けて見えるくらいになっちまった。
これ以上やると穴が開いてしまう。
ここが潮時。
これでどうかな?と前腕フレームをサンドイッチして
内側装甲と甲アーマーを取り付けてみる。
いや困りましたね、ぜんぜん隙間が空いたままです。
どうしましょう。
そうだ!
”社会の窓”を閉め忘れた時でも、
お茶目にクレミュー犬が(✿✪‿✪。)ノ コンチャ♡する
ダニエル・クレミューのショートパンツを見習えばよいのだ。
隙間があるなら、そこから何かをのぞかせることにしよう。
さすがに犬というわけにもいくまいが。
そもそもこの甲アーマー、ずいぶんと厚みがある、
対戦相手の少々の斬撃ならば受け止められるようなものなのかな?
しかし甲アーマー自体は斬撃に耐えられたとしても、
装甲が取り付けられている細い腕は、
そんな衝撃を直接伝えられたのでは、たまったものではありません。
そんなことを考えながら、甲アーマー内部を透視してみる。
さすがに金属の塊を腕に取り付けるのは重た過ぎる。
内部には空間があり、腕と接続される構造が納まっているはず。
う~ん、ボンヤリと内部構造が浮かんできました。
甲アーマーはスライド式の支持架で支えられており、
ある程度以上の荷重が加わると、
腕本体への荷重伝達を遮断するような
クラッチ的な機構が備わっているというのはどうだろうか?
ちょっとプラ板を細切れにして作ってみました。
うん、それっぽい。
その機構を外からチラ見できるようにすれば、万事解決。
よしこれでほぼ完成!と思ったら剣の柄の頭に
脱力して乗せられたような左手首は
思ったより親指側に屈曲しており、前腕内側装甲と干渉しております。
これはわざと曲げたのではなく、もともとルミナスのフレームが
そんな風な角度になっていたのです。
またどうもルミナスの前腕フレームの長さが
前腕内側装甲部品に対して少しだけ短かったようで、
装甲に手首が埋もれ気味であることも一因です。
ただこのいい感じの手首の曲がり具合は活かしたいですし、
前腕フレームを延長して
手首が前腕内側装甲から飛び出すようにするのも
手首という弱点を晒すようで何のための装甲なのだか、
わからなくなってしまう。
よく見ると、干渉する部分がパネルのような形状となっていることから、
手首を大きく曲げた時には
干渉を避けるように可動する別部品だと見立て、
潔く切り離します。
切ったはよいが、この四角形どうしよう?
そうだな、干渉しないように角度をつけて再接着してやろう。
ただ取り付け角度を変えただけでは面白くない。
実際にパタパタと動くものを参考に
ちょっとしたディティールアップをするとしよう。
モデルにしたのはF16のエアブレーキ
アップの写真がありましたので、補強のリブなどを
参考にしたいと思います。
かなりの極小部品なのでディティールは0.1㎜の極薄真鍮板から切り出し
これまた極小の0.5㎜、0.7㎜の穴を開ける。
パネル本体にも穴を開けたいのですが、0.5㎜では大きすぎる。
わざわざ0.3㎜のドリル刃を買いに行きました。
左右の腕の各内側と外側で合計4枚のパネルのうち、
切り離したのは左手内側の1枚のみですが
正面から覗いた時に(誰も覗かないって)
「中は空っぽだぞ~」とならないよう
他の3か所にも、ダミーの真鍮線受けは取り付けますが
絶対に見えるハズのない真鍮板のリブまでは作りませんよ。
最後にちょっとインチキですが、
前腕フレームに斜めに穴を開けて、
0.5㎜真鍮線で切り離したパネルを固定しました。
本当は前腕内側装甲の方に
パネル可動軸を取り付ける部分を設けるべきなのでしょうが、
そこはお天道様も、極楽浄土のご尊父様達も
きっと大目に見てくださることだろう。
あっ、手術をしたとは言え、お二人とも白内障でした。
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