見出し画像

彼女と僕の蜂蜜



『 蜂蜜みたいな味がしたよ』
そんなふうに言って彼女は苦笑いした。
苦学生の僕が行ったピンサロには、僕の元カノにとても良く似てる子がいた。
口でしてもらっている時にふと、元カノの事を思い出した。

僕らは大学2年生の時から付き合い始めた。
きっかけは彼女から告白されたことで、そんなに好きでも無かったけど、成り行きで付き合った。彼女に押されて、同棲もしていた。大学2年の終わりごろから段々と僕達はそっけなくなっていった。部屋には誰のものかわからない男物の下着や、買った覚えのないブランド物のバッグ、香水。
彼女から別れを切り出されたのは、それからすぐの事だった。
でも、そうなっても仕方がないと思った。
僕は彼女をほんとに好きになれなかったのだ、いくらキスやハグをしても心の底から好きとは思えず、いつも苦笑いをしながら誤魔化していた。1度だけ彼女に誘われたことがある。しかし、結局できなかった。いくらキスしても僕のそれは使い物にならなかった。
使い物にならないそれこそが、僕の本当の気持ちだと彼女も気づいたのだろう。

そんな思い出を思い出しながら、口でしてもらっている人が、元カノに似てるなんて、皮肉だ。『 蜂蜜みたいな味がしたよ』
彼女もそう言ってくれただろうか、確かめる術もなく僕はピンサロを出た。


#クリープハイプ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?