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風刺画で世界史の問題を作ってみた(解答編)

本日は下の記事の続きです。

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 前回、この風刺画の読み解きを出題しました。

 1850年、落馬事故で亡くなった元首相ロバート・ピール(在任1834~1835、1841~1846)の追悼のために掲載されました。

 結論を言いますと、この絵は「穀物法の廃止」というピールの功績を顕しています。

穀物法とは?

 イギリスの穀物法は、ナポレオン戦争が終わった1815年に制定されました。目的は、海外から安い穀物が流入し、農業に打撃を与えるのを防ぐためです。これは地主階級の利害を反映した政策です。

 一方、穀物の価格が高額に保たれたため、パンなどの価格も高いままであるという弊害も生じました。

反穀物法同盟

 穀物法は、産業資本家(工場主など)にとっても評判が悪いものでした。食料の価格が高いと労働者の賃金を下げられず、工業の発展にも影響が出るからです。

 1839年、実業家のコブデンとブライトらが反穀物法同盟を結成。彼らは政界にも進出し、議会で穀物法廃止運動を展開しました。

 そして1846年、時のピール内閣は穀物法の廃止を決定しました。穀物法の廃止は、イギリスの自由貿易主義を象徴するできごとであり、世界史教科書の重要事項です。

 問題の風刺画は、ピールが決断した穀物法廃止のおかげでパンが安くなり、労働者階級の暮らしが楽になったことを示しているのです。

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