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奄美大島の夏、果物と言えば……

暑い。
毎日暑い。

それでも、大阪や東京より涼しいらしいから驚く。
こちらの暑さは、蒸し暑い感じ。
午後の日差しは肌を突き刺す勢い。日焼け止め必須。

なのにこちらのマダムたち、とても色が白い。特にお顔。
殿方が真っ黒なのと対照的。

オセロやな。

市場で見かける人々の違いに驚く心の声

若手の方々は、男女問わず結構日焼けしているのだけれど。
マダムたちにどうやって日焼けを防いでいるのかを聞いた。

帰って来た言葉は、
「太陽傾くまで外に出ない」、「ゴーヤを食べる」だった。

なるほど。
そう言えば、近くのドラゴンフルーツ畑、夕方6時を過ぎるころからおばあが収穫をしている。この暑さで昼間に外に出たら、熱中症間違いなし。

ゴーヤのビタミンCは、レモン果汁より100ℊあたりの含有率が高いらしい。
抗酸化ビタミンの宝庫ゴーヤさんや、彩り豊かな夏野菜が、ごろごろと並ぶ市場。
ゴーヤ3個で100円とか、いいんでしょうか。なすびなんて、8個入30円とか価格破壊が激しすぎる。確かに小ぶりではあるけれども。

「これ安すぎませんか?」と生産者さんに聞いたら、「どこの家にも普通にあるもの売ってるから、これでも高いよ」とのこと。

どこの家にも普通にある……って?

意味が分からない時の心の声

どうやら、家で食べる野菜は、「買うものでは無く、作るもの」らしい。
よほど身体が動かなくなるまでは、家で食べるものくらいは、家の横の畑で育て、新鮮な旬の無農薬野菜を毎日口にする。

お隣同士で、収穫した違う種類の野菜を交換する。
そうやって、お隣さんが今日も元気なことを確認し合う。
そんなことが自然に行われている村。
ここの人たちの健康は、人同士が作り合っているのかもしれない。

どこの、誰が、何を、作っている。
ということをほとんどの人が把握していることに驚く日々。
いやもう、この暑さの中、納品してくれる生産者の皆さま、感謝しかございません。

暑い中、「暑い時はこれを食べなさい」と、次から次から何かを頂くので、ここのところ食費がほぼかかっていない。

せめてもの御礼に市場で何か買い物をしようと思っていたら、珍しいものが納品された。野菜ではないのだが……。

「もずくパン」

え……っと。

商品を見て固まった時の心の声

しかもなかなかの大きさ。ベーグルの3倍以上はある。
一緒にいた人が、「私買うから、半分あげる。おっきすぎるもんねぇ」と、顔位ある大きさのパンの半分をくれた。

時間もちょうどランチ時、ちょっとだけ味見してみようと恐る恐る口にしたら、そのおいしさにひっくり返った。

断面に見える細かな黒いもずく。表面のカリカリのチーズ。
ふわふわの食感。絶妙の塩加減。焼き立てのせいでなお美味しい。

半分くれた人、温かいふわふわパンに我慢できず、速攻食べ始めた。
そして、「おいしいわぁ♡」と、あっという間に平らげた。
納品された数は僅か。

それをじっと見つめる半分くれた人。
珍しさに手に取って買って行くお客様。
それを見て立ち上がる半分くれた人。

「もう一個買うわ!」

半分もらってしまってごめんなさい……。

美味しすぎて、その気持ちがわかる時の心の声

市場で目にすることが出来たら、是非お買い求めを。
後悔はさせません、お客様。
(小麦粉アレルギーの方、すいません。インしてます)

さて、ここには、南国らしいフルーツがいっぱい。
タイトル写真は、言わずと知れたゴーヤの完熟。

ドラマ「凪のお暇」を見て、家で育てたゴーヤを完熟させた人も多いのではなかろうか。
中村倫也さんの雰囲気に惚れたドラマ。少ない台詞であんな雰囲気出る?
惚れてまうやろ。
黒木華さんが、可愛すぎて、たまらんかった。

シマの人曰く、「完熟ゴーヤなんてそんなに美味しいもんでもない」のだけれど。食べてみたら、あの苦いゴーヤの種がこんな風になるのね。と感心するはず。

実は、パンを半分くれた人から、ゴーヤのフルーツジュースももらった。
ゴーヤのミックスバナナジュースなのだけれど。
やはり黄色ゴーヤでつくるらしい。
飲んだ後にほんのり苦実があったけど、口の中がさっぱりする。

夏野菜で溢れる市場、納品される人も、それを買う人も口々に、その食材で作るメニューを新参者に教えてくれる。

揚げピーマンの煮びたし。
しぶり(島うり)の甘酢漬け。
赤うりの煮物。
シマもずくと桜エビの天ぷら。
茄子とショウガの漬物。
きゅうりと島こしょうのピリ辛醤油漬け
(所謂、きゅうりのキューちゃんみたいなやつ)etc……。

市場でお惣菜にして売ってください、お願いします。

包丁さえ買ったばかりの人の心の声

「ここにいたら料理上手にならない方がおかしいよ。おかずもお菓子もパンも自分で作るんだから」

あいすいません。

まだまだ、買う側の人から脱出できない人の心の声


ところで、最近市場にやって来る人々(村外の)が一様に言う言葉がある。それは、

「パッションフルーツある?」

さすがになかなか家で作る人が少ない商品とあってか、市内からも買い求めに来る人、多数。入荷してもしても、売れていく。
「大和(本土)に就職した子供に送るのよ」と大量購入される方も。
先日は「この台に乗っているもの全部買うから」という方もいた。

出始めのハウス栽培の物を購入して大阪の友人に送ったら、大感激しているらしいメールが届いた。

「こんなに美味しいパッションフルーツある?」と。

いや、本当に美味しい。
収穫して間がないせいもあるのか、みずみずしい。

酸味がたまらない。酸味嫌いの人は少し皺が入ったくらいのものの方が美味しいと思うらしいけれど、私は酸味が好き。
キウイフルーツだって、緑で固いやつが好き。

そんな話をしていたら、半端だから、形が悪いからと、パッションを作っている人から沢山頂くようになった。皆で分けてもあまりあるくらいの量。
「買いますから!」と言っても、「売り物じゃないから!」と仰る。

売るにしては、農家さんのプライドが許さない、所謂《きずもの》らしい。
素人目には、普通に売れると思えるものばかり。
もはや、私の冷蔵庫の野菜室にはパッションフルーツしかいない。

冷蔵庫に入れちゃ駄目だよと言われたけど、入れないと家中が甘い香りで包まれて、ありんこ集団攻撃されることは間違いない。

そうして一日2個のパッションフルーツを食べるのが日課になった。
ゴーヤとパッションのおかげか、こんなに暑いのに夏バテ知らず。

観光でいらっしゃる方で「食べたことなくて」という方が、「どうやって皮を向くんですか?」と聞かれるので、写真付きで説明するようになった。

どうやら、マンゴーのように皮を向くものと思われている。

食べ方は簡単。

真ん中で半分に切って。

路地物パッションフルーツ 種ごと食べ(飲み)ます

中の種を、スプーンでぐるぐるかき混ぜて。
(個人的には、周りの薄皮まで剝ぐのが好き)

ぐるぐるかき混ぜたらこんな感じ

食べる(飲む)だけ。

「ここに《れんと》いれたら最高じゃ」
シマの人たちが口を揃えて、観光客に薦める。

そうこれをそのままカップがわりにして、黒糖焼酎を入れてさらに混ぜる。
そして、パッションチューハイにして飲む。
間違いない旨さ。

この季節だけの贅沢。

ハウスものはもうすぐ終わるけれど、路地物がまだあるとのことで。
この時期奄美大島に来られる皆さま、機会がありましたら、是非、南国の熱い太陽を目いっぱい浴びたパッションチューハイ、ではなくて、パッションフルーツをお召し上がりください。

市場の冷蔵庫の中、ふと見たら、ここにも新製品が。

パッションフルーツパンナコッタ。

パッションフルーツパンナコッタ(ガラス瓶入り)

買うしかないでしょ。

ここのプリン、ラム酒のような香りの黒糖焼酎紅さんご入りで、とても美味しい。味が異なるプリンの種類毎に、瓶の蓋(赤、緑、茶)の色が違う。
3種類の味が出ているけれど、やっぱりスタンダードなカスタードプリンに戻る。
プリンを食べ終わった後、細々したものを保存するのにちょうどいい小瓶は、冷蔵庫で有効活用できる。

けれど、この新製品、プリンではない。パンナコッタ。
でも、新色の白い蓋。買わずにはいられない。

ランチ後に食べようと思って買ったものの、もずくパンがお腹の中でゴーヤのバナナジュースと合体して、お腹パンパン。

もずく、チーズ、ゴーヤ、バナナ……。
普通に考えたら、これ全部混ぜたら、食欲なくなる味やねんけど。
これにパンナコッタは、今はあかんな。

自分の胃の中を想像した時の心の声


仕事終わり、疲れた身体に鞭打って通訳研修を1時間受けて、更に夜の華道教室まで戦い抜いて、ようやく家に戻った。
が、昼に食べ過ぎたせいか食欲がなかった。

夕食は、パッションフルーツと、パッションパンナコッタになった。
いや、マジで旨いから。

パッションパンナコッタは、最初上だけ掬って一口。
それから下のパッションソースをぐるぐる混ぜて食べる。

ほんのり甘いパンナコッタの後、パッションフルーツをぐるぐるぐるぐる。
日本一のスピリッツ賞、黒糖焼酎の紅さんごを少し。
ぐるぐるぐるぐる。
ぐいっ!

ああ、たまらない。疲れた身体が癒される。
後は寝るだけ。

宇検村へ夏に来たなら、ぜひ一度召し上がってみて。
皆様のお越しをお待ちしております。

大きすぎて買えないかぼちゃ カットして売って欲しい






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