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一寸先は闇‥ではどうする?[20240417]


今や「VUCAの時代」だと言う。

VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味する。

簡単に言うと「一寸先は闇」ということだ。

コロナ禍は象徴的だが、30年以上ぶりの円安、物価高、ウクライナやイスラエルの紛争もある意味予期できなかった事態であろう。

いつの時代も何が起きるのかわからない要素はあるものの、コロナ禍以降の変化には目を見張るモノがある。

なのにVUCAだと大騒ぎしつつ3年後の目標を定めて、それに向かう方法を考えようという戦略は如何なモノだろうか?

今や一寸先は闇なのである。

3年後の目標に対する計画を立ててどうするつもりだろうか?

「フォーキャストが当たらない」と嘆く経営者は少なく無い。

今やVUCAの時代なのだからフォーキャストは当たらなくて当然である。

3年も先の話を、さも見てきたかのように語って計画を練るのは滑稽ではないだろうか。

ではどうする?

一つはカナダのマギル大学経営大学院H.ミンツバーグ教授が提唱する「創発戦略」である。

創発的戦略とは、時間の経過とともに「出現、発現」してくるか、もしくは当初実行に移されたときの戦略とは原型をとどめないほどに変容した競争優位獲得のための戦略や打ち手のことを指す。

創発的戦略では、経営が策定した戦略を「仮説」と見做し、それを実行することを「検証」と考える。

「仮説検証型」と聞いた事があると思うが、昔々にそんな話が流行ったよね…と言う方、典型的日本人かもしれない。

実は、創発戦略の最大の特徴が「仮説戦略」であり、経営の役割はあらかじめ計画的な戦略を作り上げることではなく、新しい戦略が出現するように、学習する組織としてのプロセスをマネジメントすることである。

私の知る限り、学習する組織をマネジメントすることに長けている企業は非常に少ない。

「3年中期を毎年見直してローリングプランにしているから」と高を括っている企業もあるが、本質は「学習する組織」なのである。

創発戦略については、また何処かで詳しく説明したいと思うが、ビジネスアーキテクトのビジネス戦略に関するスキルはここまで必要なのかと問われると、答えは「Yes」である。

「VUCAの時代」に対する回答は「創発戦略」一択と言って良いだろう。

知らないでは済まされないのだ。

もう一つ、「シナリオプランニング」による組織学習である。

「シナリオプランニング」自体は戦略でも何でも無い。

どちらかというとマネジメントのトレーニング(研修)くらいに考えても良い。

しかし「シナリオプランニング」のワークショップを実施することで、想定しない事態に陥った時に各部署が何をすべきか、何が死守するラインなのかを想定しておけるのだ。

シナリオプランニングも組織学習の為の施策である。

一度やったら終了するのではなく、様々な有り得なシナリオで企業は何を、部門・部署は何をすべきかを論ずるのだ。

未知の伝染病蔓延などは、圧倒的に想定外だと思う。

しかし、コロナ禍が起きた以上は、シナリオプランニングの題材にしてみても良いのではないだろうか?

創発戦略にしろシナリオプランニングにしろ、組織学習が基本なのだ。

合同会社タッチコア 小西一有

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