おすすめマンガ感想②青のフラッグ

大人になる一歩手前、高校生たちの痛く切ない青春を描いた大人気漫画「青のフラッグ」。人を好きになるとはどういうことか、男女間の友情はあるのかなど、”恋愛””友情”をテーマに描かれた作品です。

今回は青のフラッグのあらすじや面白さをどどどんと語ります!

あらすじ

クラスでは目立たないグループに属する一ノ瀬太一。
高校3年生に進級し、幼馴染の三田桃真と同じクラスになります。


しかし桃真は人当たりがよく人望が厚い学校中の人気者。クラスでも目立たない太一は、子供の頃のように桃真とうまく接することができずにいました。
ある日、太一はクラスメイトの女子・空勢二葉から「三田君ってどんな人ですか?」と相談を受けます。二葉は桃真に恋心を寄せていたのです。はじめは適当に接する太一ですが、二葉のまっすぐな姿を見て、2人の中を協力することに――――

ひょんなことから始まった3人の関係。ジャンプの恋愛漫画というと「いちご100%」や「TOLOVEる」「ニセコイ」といったコメディ色の強いポップな恋愛漫画が特徴的ですが、本作はこれまでのジャンプにはなかったリアルで切ない恋愛ストーリー。

良い意味で「ジャンプっぽくない」作品です。

青のフラッグの面白さ①登場人物たちの心理描写が見事

青のフラッグを読んでいてまず引き込まれるポイントが「人物たちの繊細な心理描写」です。例えば、太一が二葉に「なんでトーマ(桃真)のこと好きになったの?」と尋ねるシーン。二葉はトーマを好きになったきっかけを照れながら口にします。その時の表情が↓

白黒の線と2行のセリフから、二葉の中にあふれる桃真への「好き」が目いっぱいに溢れています。まるでこのコマの空気そのものが恋に落ちた瞬間のように暖かく、二葉の気持ちで満たされている。

「青のフラッグ」はこういった丁寧な心理描写が本当に見事です。第3者として漫画を読んでいるはずなのに、いつの間にか「自分の物語か」と思うほど人物に感情移入してしまいます。

青のフラッグの面白さ②見事な伏線

「ただの青春漫画」と思われがちな本作。正直私もあらすじを読んでいる段階では「普遍的な青春漫画なのかな?」と思っていました。しかし第1巻の第5話で物語は一変します。


初めて読んだときは「え、え、え、まさかこれって」と戸惑いました。ネタバレになるので深追いできませんが、そこまでのストーリーがすべて「あぁ、そういうことだったのか」とつながり、本作の沼にハマってしまいました。


「好き」と「辛さ」に均一な物差しはない

「青のフラッグ」の登場人物たちは、みんな人に言えない悩みを抱えています。恋に関する悩みや友情に関する悩み、それぞれ悩みのタネはさまざまですが、なかでも本作で頻繁に描かれるのが桃真です。


普段は明るい桃真ですが、実は誰にも言えない悩みを抱えています。家族にもクラスメイトにも太一にも打ち明けられない深い苦しみ。

本作では全体を通して「好き」と「辛い」で溢れていますが、感情は目に見えないから測れない。自分の持っている物差しがその人に当てはまるわけではない。だから他者の感情を完全に理解することはできない。

ただ、相手を知り認めたり受け入れたりすることはできる。本当に大切なのは、ありのままの相手を「認める」ことなのかもしれません。

エモい青春漫画が好きな方におすすめの作品です。


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