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目の届く範囲に

秀と大澤と良介は俺の話を聞いて

驚いた表情を見せる。


「えっ?!義旭が?!
明日香ちゃんに指輪?!」

「あぁ。」


軽く頷いた俺を良介は

信じられない、とゆう顔で見てくる。


「お前、本当に買ったのかよ??」


俺に指輪を買うように言った張本人の秀も
驚いた顔をしてくるので

やや意味が分からず眉をひそめる。


「なんだ??
買えって言ったのはお前だろ。」

「いや、確かに勧めたけど…、

まさか本当に買うとは
思わなかったっつーか、」


思ってないことを言うのは

面倒だから辞めてほしい。


「よっちゃん、皆川の指のサイズ
どうやって計ったの??」

「知らない。

店員がフリーサイズとかゆうのを勧めてきた。」


俺の言葉に大澤は

あぁ、と納得する。


「お揃いなの??」

「フクにそう言われたからな。」

「…どんだけ周りの支えによって
成り立ってるの、二人。」


大澤は少し呆れた様に言われたが
まぁ、否定はしない。


実際、あのデートも
ほとんど周りの意見を参考にした。


「で?!
その指輪、見せろよ!!」


秀は楽しそうに騒ぎながら
俺の指を触ろうとするので
サッと払った。


「やめろ、触るな。」

「つけてねーじゃんか。」

「そんなチャラチャラしたもの
つける訳無いだろう。」


すると秀はわざとらしく
俺に手の甲をみせてくる。

右薬指には主張するように
キラリ、と指輪が輝く。


「チャラチャラしてねーもん!!」

「練習の邪魔になる。」


俺の言葉を聞いて大澤も

わざとらしくネックレスを見せてくる。


「じゃあ、よっちゃんも
ネックレスにすれば??

俺もスティック当たって
カチカチなっちゃうから
首からさげてるよ。」


銀色のチェーンにぶら下がる指輪に
俺は冷めた視線を送る。


「あぁ、良いな。

だけどどっちにしろ
試合の時は付けられない。」


とゆうかそもそも

身につけるつもりはない。


「皆川、かわいそう。

あいつは絶対毎日毎日
特別な理由がない限り
指輪を指に通して
暇さえあれば眺めるだろうに。」


大澤はそう言って
俺の部屋に寝転がる。


「…あ、義旭、これ、」


俺の部屋を物色していた良介が
見つけてしまったと言わんばかりに
俺のことを見てくるから

立ち上がって、良介の手から
サッと指輪を奪った。


「なんだよ、カクー。」


秀の言葉に良介は
少し笑いながら首を振る。


「いや、別に何でもない。

義旭も暇さえあれば
眺めてるのか、ってね。」


秀は首を傾げて興味なさげに頷き、

俺は窓辺の景色に馴染んだ指輪を
もう一度、置き直した。



目の届く範囲に







**

丁寧に扱うのもおかしいし

かと言って、棚にしまうのは
なんだ、アレだ、


見れなくなるのは

勿体ないだろう。






2011.07.13
【hakusei】サマ
095/365「窓辺」

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