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【投機の流儀】投資の「終活」をどう進めるか?

第1部;当面の市況

(1)本稿で言っていた「値幅整理でなく、日柄整理だろう」は撤回せざるを得なくなった。結構なことである

先週の週末は久しぶりに下げ相場らしい下げを演じ、▲1011円で週間2456円安の幕を引いた。このレベルは今年1月からの上げ幅の半値押しに当たる。上げ幅は約8000円。その半分は4000円。3月22日の高値41088円−4000円=37088円≒週末の終値37068円。

このレベルは1〜3月の上げ相場の前半である2月9日(36897円)以来、2ヶ月ぶりのレベルである。一日の下げ幅は3年前の2021年2月26日の▲1202円安以来、3年2ヶ月ぶりの大きさだった。

半値押しまで下げたし、100日線に近いところまで来たということは「半値押しは全値押し」などと言う人々が出てくるレベルであり、手を空かせて押し目または突っ込みを待っていた人々の中で、買い出動が少し早過ぎた人々(筆者もその中の一人)に動揺を与えるレベルである。しかし、「半値押しは全値押し」という口伝は論理的な論証もないし、罫線上の実証もない。単なる語呂合わせに過ぎない。

例えば、当時史上最長だった「いざなぎ景気相場」の2年目の10月に「ポンドショック」があって、半値押しを大きく割り込んだ。私事に亘るが、筆者は本店営業部から和歌山支店に転勤した翌年のことであり、日曜日に支店の皆で行ったミカン狩りの帰りの出来事であった。ロンドン市場とは8時間の時差がある。その時に「半値押しは全値押し」の真偽は「昭和40年不況」に向かう下げ相場の途上で、実証的根拠は薄いことを筆者らは知っていた。 
そこで、翌日月曜からは暴落したが、ここが好機と説いて、顧客に無理して資金を調達させて著名優良株を力強く買い、出金を勧めて、結果的には大成功した。「紀州ダラー」などと言われて、社内では有名になり、業界新聞にも出た。

また、87年に日経平均が2万円に乗せた後で順調に上昇したとき、これまた10月に「ブラックマンデー」というアメリカ発の大暴落があって「半値押しは全値押し」という言葉が流行ったが、株式相場という生き物はその口伝を嘲笑うかのように、そこから約2万円上昇して、史上最高値38915円を示現した。

いま引用した二つの例は、海外から来る外部要因だ。今度の3年2ヶ月ぶりの下げ幅は、上昇スピードが速すぎた3ヶ月間のスピード調整であり、言わば相場の自律作用である。無理に言えば「健全な下げである」ということになる。

週末の午前中、イスラエルがイランに攻撃を行ったと報じ、原油高を連想して投資家心理が急速に悪化したが、これは言わば「あと講釈(★註)」であり、相場の自律作用に対するキッカケと同時に来たに過ぎない。前日の米ハイテク株安は日経平均のハイテク株に重荷となったことは事実だ。この点では、外務要因も多少は受けている。

(★註)実は「あと講釈」ではない。原油高とホルムズ海峡閉鎖の実勢悪を恐れたのだ。
中東の緊迫が実勢悪(高インフレ再燃・景気停滞進行、同時に進めば最悪の「スタグフレーション」突入の恐れ)を市場は恐れたのだ。イスラエルVSガザ地区との抗争は産油国でないが、イランは大きな産油国だし、ホルムズ海峡を閉鎖する恐れもある。ここはボタン一つで閉鎖できるであろう。おそらく、ボタン一つで機雷の爆破装置を機能させれば足りるようにしてあるはずだ。

そうすれば、原油高に拍車をかける。特に、日本は喜望峰を回って輸出入をせねばならなくなる。世界中で一番遠回りせねばならなくなる国だ。第1次オイルショック(1973年秋)は第5次中東戦争から始まって、原油が瞬時に6倍になった。そこで、高度成長の立役者であった下村治博士(当時の大蔵官僚)は超弱気に「転向」した。結果的には、的中した。

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