見出し画像

【投機の流儀 セレクション】「落ちていくナイフを途中で掴む」(拙著の言い分)「落ちてゆくナイフを2度掴む」(タワー投資顧問の清原達郎氏の言い分)

どんな相場にも中間反落はあるから、その時に銘柄を絞っていたのでは間に合わない。「落ちていくナイフを途中で掴む」底値を打った後は反発が早いから、下値覚えという病に取りつかれているから手が出なくなる。したがって、落ちていくナイフを途中でつかむ。そして、また落ちたらまたつかむ。これがナンピン買いだ。そのためには、今から銘柄の候補に目を付けておく必要がある。

筆者の大学資金を運用してもらったタワー投資顧問の清原達郎氏の近著『わたしの投資術』では「落ちてゆくナイフを2度掴む」と言っている。
別の角度から述べたい。80年代後半のバブル相場と今回の違いは、34年前はPERが当時は50倍〜60倍だったが、今は16倍〜17倍だということが一つである。
それから、もう一つ大きなのは「人気」である。当時は陶酔的熱病におかされた熱狂的な国内投資家が主体だった。海外投資家は5%前後だった。今はクールでドライな海外投資家が70%前後のシェアを占める。このことは本稿で何度も言った。

ところで、コロナショックで急落している最中は銘柄を選んでいる暇がなかったので、筆者は日経ダブルインバース(1570)を3月19日前後の17000〜18000円のところを一生懸命に買った。その時に「コロナと人類の戦いは必ず人類が勝つ。その時にコロナ後に必ず復活する銘柄」を常識の範囲で選んで買った。それが鉄道株であり、ホテル株であり、ANAであり、百貨店株であった。

今、中国の不振によって中国関連株が冴えない。そこで中国も10年後か20年後かは判らないが、いずれは活気を取り戻すであろう。それを先読みして、中国関連株の売られたものを売られている最中に(落ちていくナイフの途中で)買って、下がったらまたナンピンしておくという手もある。

米ブラックロック(超大手ファンド)は中国関連銘柄とされる銘柄の持ち株を増やしているという。それは日経ヴェリタス紙3月3日号によれば、資生堂(4911)や安川電機(6506)だという。これの持ち高を増やしているという。中国景気の先行き懸念は根強い。だからこそ、安く買える。先行き懸念が根強いところを乗り越えて買わなければ、安いところは買えないという考え方であろう。

オービス・インベストメンツはドラッグストア株に注目している。ツルハホールディングス(3391)やクリエイトSD(3148)を5%以上保有していることを明らかにした。やはり「落ちていくナイフを途中で拾う」のだ。

中東マネーが出遅れている。昔はアラブダラーと言ったものだ。サウジアラビアの政府系ファンドが市場に出てきた。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)「SQに向かって高い。あるいは安い」ということは、しばしばある。
(2)週刊ダイヤモンド誌の3月16日号の表紙が「日本株 沸騰!」「世界3大投資家ジム・ロジャースが今『買いたい株』」というようでは、目先的には調整が近い。但し、騰落レシオも25日線との乖離率も穏健の範囲だ。
(3)中勢的なファンダメンタルな動向と目先的な先物市場が主導する。特に、半導体ハイテク株が主導する場味(ばあじ)を同一視できない。
(4)景気ウォッチャー指数(街角景気先行指数が4カ月連続上昇。一方、1月景気動向指数の一致指数は1年1ヶ月ぶりに下方修正し「足踏み」を示した。
(5)REIT指数が反落、3年4ヶ月ぶり安値
(6)2000年のITバブルに既視感があるが、中身は全く違う。
(7)ROEが18年3月期の10.3%に次ぐ水準
(8)信用買い残が2週連続で4兆円超え
(9)TOPIXバリュー指数と高配当銘柄の先回り買い
(10)全銘柄平均のTOPIXは、1989年の高値に全く届いていない
(11)日本市場の株価は何が決めるか?
(12)短期的には「前半高」と見て、機敏な対応を要する日が来る。
(13)「落ちていくナイフを途中で掴む」(拙著の言い分)「落ちてゆくナイフを2度掴む」(タワー投資顧問の清原達郎氏の言い分)

第2部;中長期の見方
(1)中長期で見れば、今はデフレマインドの呪縛から離れた市場─しかし、TOPIXは34年前の高値を抜いてない。半導体銘柄が主導するメジャーSQ向けの相場だった。
(2)半導体銘柄以外に裾野が広がらないと、大相場にならない。
(3)ふたたび、三たび「もしトラ」─それは、第二次世界大戦前夜と似てきている。
(4)世界中の株式市場が警戒する「もしトラリスク」
(5)「もしトラ」には、こういう見方もある─ウォール街はトランプの就任を歓迎する。
(6)日本は「物価も上がり、金利も上がりそうだという普通の国」に変化しつつある。
(7)中長期の見方
(8)新NISAについて、六つの注意点

第3部;読者との交信蘭
トルコリラ建債券について、無名氏との交信(3月3日 受信)

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
https://amzn.to/2vd0oB4
『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
https://amzn.to/2AeQ7tP
『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
https://amzn.to/2vbXpZm
その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2va3A0d

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?