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【投機の流儀 セレクション】史上高値更新は通過点に過ぎない。「34年2か月を要した壮大なダブルボトム」を脱したが、どんな長期大相場でも必ず中間反落はある。乗り遅れた筋は、そこを買おう。

週末の22日(木)は4営業日ぶりに大幅反発し、837円幅を上げて、史上最高値を34年2ヶ月ぶりに更新した。
さしたることではない。メディアが大騒ぎしているだけに過ぎない。変化は昨年から始まっている。

34年2ヶ月を費やして
1.2003年の7600円(不良債権山積みという、国内要因による日本経済の大底)を一番底とした。

2.小泉郵政改革相場で、日経平均は約2倍半になった中間反騰を経た。

3.アメリカ発の海外要因によるリーマンショックで、2009年に7000円まで下がり、史上最高値の5分の1または5分の1以下になることを二度示現して「壮大なダブルボトム」を形成し、アメリカは1929年10月の当時の史上最高値を更新するのに26年費やした。
日本は34年2ヶ月を費やして、長期壮大なダブルボトムを形成して、史上最高値に戻った。正確に言えば、史上最高値を184円更新した。再び言うが、さしたることではない。通過点に過ぎない。

市場用語で「高値更新に敬意を表して」と言うが、一旦調整を見るか、あるいは単なるプロセスとして通り過ぎて上へ行くか、いずれにしても本稿が去年から言っている「『日本のメガトレンドの変化』を買う相場」のプロセスで起きたことに過ぎない。

この後での調整相場は、短期的に見れば39000円が「34年を要して作られた壮大なるダブルトップの脱出」ということになろうが、どんな長期大相場でも、必ず中間反落はあるという事実を銘記しておきたい。例外はない。その状態は都度異なるが、一定の考え方がある。本稿の第2部(10)項で要約する。

週末の史上最高値更新は、米半導体大手企業が市場予想を上回る好決算を発表したので、日本は半導体関連株に買いが波及したというに過ぎない。言うまでもなく、半導体関連株は日経平均への寄与度が極めて大きい。
週末現在で25日移動平均は0.64%上回ったから、厳密に言えば「やや買われ過ぎ」のレベルまで来たが「過熱」の境地ではない。中長期志向の海外の機関投資家の資金が、中国から日本へ移っているという力学も作用している。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)史上高値更新は通過点に過ぎない。「34年2か月を要した壮大なダブルボトム」を脱したが、どんな長期大相場でも必ず中間反落はある。乗り遅れた筋は、そこを買おう。
(2)「成長と分配の好循環」とは、手っ取り早く言えば「程良いインフレとそれを上回る賃金アップ」である。
(3)取り組みが厚い相場
(4)長期低迷していた中で、株価が10倍以上になった企業が142社あったが、創業者社長の銘柄が圧倒的に多い。
(5)史上最高値更新でも、平均PERは16倍(89年末は61倍)、平均PBRは1.4倍(89年末は5.6倍)。「循環買い」の様相を呈し続け、結果的には「全員参加」の日本株市場となった。
(6)半導体が大フィーバーの日本
(7)1月は海外勢、特に欧州勢が牽引役となったが、オイルダラーは出遅れた。
(8)史場最高値を更新したところで、筆者にしてみればたいした話しではなく、単なるプロセスに過ぎない。そうなれば、当然「調整」というものが有り得るし「中間反落」が有り得る。カラ売り残が3週間連続増えたのは、それを想定する人が多いという事実を指す。
(9)米FRBの量的引き締めの縮小や停止の度合により、日本の半導体関連も影響する。
(10)市場のダイナミズム─「例外は常にある」という命題には例外がない。   
(11)中小型株に割安感─「鳥の眼」VS「虫の眼」

第2部;中長期の見方
(1)植田総裁の前に立ちはだかる0.5%の壁
(2)日銀が買い続けたETFの行方─昨年は日経平均が30%以上も上昇したのに、ETF購入は不要という判断
(3)日本の名目GDPの成長率と株価の連動─自虐的な「実質主義」は止めたい。 
(4)上場企業が3期連続して増益で、しかも創業以来の最高益を出したことを素直に喜ぼう。
(5)コロナ後は、先進国が世界の株高を牽引している。
(6)「2000兆円覚醒」─政府は金融・資産運用特区を作り、海外から投資家や金融機関を呼び込む考えだ。
(7)同じ材料でも、相場の上下が逆に出る場合がある。
(8)あおぞら銀行のこと─自分の流儀を守ることは大事であるが、固執してはいけないことを学んだ銘柄
(9)日本の企業の99%以上が非上場企業であり、地方を潤すのは中小企業であるから、賃上げがそこまで発展しなければ意味がない。
(10)項を改めて述べると言った、調整・反落の型と戻り相場の型
(11)2月16日(金)、ロイター通信のインタビューを受けたので、次のように話した。

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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