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未だ明かされぬ親子の謎〜いつまでサンタクロースを信じていたか?〜

私の母は非常に現実的な人で、父も真面目の上に真面目を着せたような真面目な人だったので、子供の頃から「サンタクロースはいない」と教えられ、「キリスト教信者ではないからクリスマスツリーも買いません」と言われ、ケーキぐらいは食べたのだったか?とにかく、一年に二度、誕生日とクリスマスにはプレゼントを買ってもらえることになっており、「今年のクリスマスにはあれ買って」と、まんま「現実的に」おねだりして一緒にデパートへ行く、そんなふうだった。

それゆえ、私はクリスマスツリーへの憧れが強く、結婚してまず、小さなおもちゃみたいなツリーを買った。(ほとんどのツリーはおもちゃか?)
今のようなおしゃれな電飾ではなく、色のついたプラスチックの花のような形が点滅するだけの安っぽいライト。それでも十分嬉しかった。
そして、子供ができたら、こっそりサンタさんになってツリーの下にプレゼントを置くんだ!そう決めていた。

娘たちがはっきりと「◯◯が欲しい」と言えるようになると、もうすぐクリスマスだから、サンタさんにお願いするものを決めなきゃね、などと誘導して、おしゃべりしたり紙に書かせたりして、娘たちの希望をリサーチ。
年を経るごとに、要求が細かくなっていき、「◯◯色の◯◯がついたワンピース」などとなっていくと、え?え?あるかな?と焦ったものだけど、年に一度、娘たちに内緒でプレゼント探しをするのが楽しかった。
二人が寝静まるのを待って、夫と二人でラッピングし、ツリーの下に置く。
その頃には、オックスフォードにいた時に買った、狭い部屋には不相応な大きなクリスマスツリーを持っていた。
オックスフォードの仮住まいは、日本人仲間に「白亜の御殿」と揶揄されるほど立派な部屋だったので、当時はリビングの隅にちょこんとあったツリーが、いざ帰国したら、これどこに置くのよ?というぐらい大きくて困惑した。部屋の中央に置くしかないような。

ともあれ、幼稚園、小学校低学年と平和に過ぎていき、そろそろサンタさんの正体に気付くかな?と思った頃、「ママは何か欲しいものないの?一緒にサンタさんにお願いしてあげるよ。」など言い出し、(え?まだ気付いてないの?お友達とそういう話してないの?)と狼狽えたのだが、そのまま二人は小学校を卒業し、信じられないことに中学も卒業し。

今更サンタはママとパパだよと打ち明けるのも夢がないので、「高校生になったら、サンタはもう来ないみたいなんだよね。サンタさん忙しいから。代わりにママたちが何か買ってあげるよ。」と言って、サンタ業は強制終了。
驚いたことに、娘たち、通っていた高校が◯◯温泉とも言われるようなほんわかした校風だったせいか、高校生になっても「◯◯ちゃんが寝たふりして薄目あけてたら、サンタクロースが来るのを見たって言うんだよね」「だけど不思議だよね。ママたち、クリスマスイブの日は玄関の鍵あけとくの?煙突ないのにどこから入って来るんだろう」などと言う始末。
夫とピクピクしながら、(大丈夫か、この子たち。バリバリの理系なのに・・)と、どう反応していいやら。

そのまま、娘たちはサンタの正体に気づいたのか?否か?、親子の間でサンタクロースの謎を解き明かすことはしなかった。

そして、今から5年ぐらい前だろうか。
クリスマスの朝、目を覚ますと、夫が、「ツリーの下にプレゼントがある!!」と叫んだ。

いつの間に?
私たちが寝るのを待って、娘たちが置きに来たのか?

私には可愛いぬいぐるみ、夫にはマフラーだったか。

サンタクロースはパパとママだったんだね。ありがとう。

それが娘たちの無言のメッセージだろう。
いつどうやって、娘たちがサンタクロースの正体を知ったのかは、私たち親子にとって、永遠の謎である。

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