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がん専門病院

がん専門病院では、時々「これからパーティーですか?」と言いたくなるほど、ゴージャスに着飾って、髪もきれいにカールして、メイクもバッチリ・・という華やかな方をちらほらお見かけする。
恐らく、厳しい治療に向かう自分を奮い立たせるため、病気には負けない!という断固とした意思表示のため、通院ですら楽しんでやろうじゃないの!という意気込みを示すため・・いろいろな事情はあるだろうけれど、とても力強いオーラをもつ人がいる。基本的に明るい人が多い。
病棟も明るい。
スタッフも明るい。
空気がいいということだろうか。
長く通っていて、嫌な気持ちになったことが一度もない。
一人一人呼び出し機をもたされて、それが鳴るまではどこにいても自由。
カフェにいても、広いフロアのソファでくつろいでいてもO.K.

大病院は待ち時間が長くて嫌とよく聞くけれど、私の主治医は「タムパ重視!」なのか、早めに行ってカフェでお昼を食べながらのんびりしていたら、まだ予約時間前なのに呼び出されてびっくりしたことがある。

「先生、はやっ!」と入って行ったら笑ってたけど。

夫が膵臓の手術をすることになったとき、最初は近所の大学病院に行った。(過去記事あり)そこはまあ旧態依然としたというか、昭和が続いているとでも言うべきか、アナログ文化が健在で、待合室にずらっと並んだ(というより、座る間もない狭い空間に立って待っているありさま)患者を一人一人カルテ繰りながら口頭で呼び出すという。

聞こえないし、とにかく、待てど待てど呼ばれない。

温厚な夫が噴火を起こして絶縁状を突きつけ、二度と足を運ぶことはなかった。
そうして選んだのが、がん専門病院。
夫はがんではないけれど、手術自体が大変高度なものであることと、ごく稀に嚢胞が腫瘍化する可能性もゼロではないということで受け入れてもらえた。
肝胆膵外科にとっては、膵臓がんの兆しを見つけ、膵臓がん未満で治療してしまう意味はとても大きいのだろう。
恐らく日本でいまいちばん忙しいのではないかと思われるダヴィンチオペの第一人者にたまたま主治医になって頂くことができて、夫はいま元気にしている。

私がこのがん専門病院に通うのはあと一回か二回。
十年近く通っていると、なんだか一年に一度の検査日は忘れそうになるし、思い出しても、まるでアドベンチャーワールドにでも行くような気分。
今日はカフェで何飲もうかな、とか、そんなことばかり考えている。
今回も予約時間前に全ての検査が済んでしまった。待ち時間ゼロ!!

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