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本を読む人になる

年末にかけて薬を止めていたのに、元旦の大地震でヒタヒタと不安がやってきて、翌日の飛行機事故でまた怖くなり、挙句、目白御殿の全焼。
地震と火事は怖い。
無理をせず、薬に頼って、とにかくぐっすり眠るのが健康のためだろう。
一応ピルカッターで半分にして飲んでいる。

長らく本を読んでいなかった。
正確には、小説やエッセイなどを。
専門書というより、テキストや問題集ばかり睨んでいた。
そんな生活に区切りをつけて、といっても、まだ完全に勉強をやめたわけではないのだけど、受かるか受からないか、受からない可能性の方が97%ぐらい多いです的な勉強はやめた。
そこまでして仮に合格したとして、本気でその仕事をする気があるのか?と言ったらNoだから。

「耳が悪い」

その一点が、私の希望のほとんどを奪う。
いやいや、耳が悪くたってやる人はやりますよと言う人はいるし、実際に全く聞こえなくてもその職種についている人はいる。
日本に一桁数いるかいないかぐらいだけれど。
そこに割って入るほどの根性は私にはなかった。
手話の使えない難聴者は筆談に頼るしかないわけで、それは社会一般にはえらくめんどくさがられる行為として、さんざん経験済み。
それを常時お願いしながら働きに行く気力はもうない。

同じく耳の悪い父が、70歳過ぎまで頼まれて仕事に行っていた方面の仕事なら、案外需要があるのかも知れぬと、今頃!その方向に手をつけている。
あくまで保険として。

どっちみち、今の私の立場なら、無理をして外に出て行くよりも、せっせと節約に励む方がお得な気がする。
うん十年ぶりに働きに出たら、絶対に疲れてお惣菜を買って帰ることになりそうだから。
それに、家の中のことをする時間を減らしたくない。
バタバタするのは性に合わない。
全くもって贅沢な話。

言い訳や自虐はこの辺にして。

とにもかくにも、長らく本を読んでこなかった。
物語が嫌いなわけではない。
むしろ好きだ。
なのに、時間がなかったのだ、過酷な勉強をしている間は。
それらをやめた今、得られた時間で本を手にする。
気が付くと、昨年からはまっている紙もの沼で出会ったイラストレーターさんたちがカバーを描いておられる作品がいくつもあって、パケ買いというのか、あ!これは誰誰さんの絵!という本に手が伸びてしまう。
元々我が家には大量に本があり、読んでない本も多数あるので、これ以上増やしたくないため、まずは図書館で借りる。
そうして、このイラストレーターさんの表紙は欲しい!&中身も好き♡という本だけ買うことにしている。

既に全巻持っているマカン・マランシリーズのカバーイラストは西淑さん。
現在、日経新聞の若松英輔さんのコラムのイラストも担当されている。
それで、もしや?と思って調べたら、やはり若松さんの「生きていくうえでかけがえのないこと」の表紙絵も西さんだった。
千早茜さんの「さんかく」も描いていらして、文庫版も西さんのカバーなので、近々購入予定。

ワンコにつられて家計簿を買ってしまったてらおかなつみさんは、川上未映子さんのエッセイ集のカバーを描いていらして、これも買ってしまいそう。

とあるひととき」という複数の作家さんによるエッセイ集は、坂内拓さんの画集と言ってもいいほどイラストがたくさん載っているので即買いしてしまった。

本を読む人というより、本を見る人になってしまいそうだが、癒される表紙絵を見て、物語を読んで、その中から好きな言葉を好きな紙にガラスペンで書き写す。
書写の練習、イラストの練習。

そうやって、今までできなかったことをゆるゆるこなしていくうちに、向こう十年の生き方が見えて来るんじゃないかなと思っている。
十年と言ってしまうのは、傲慢ですらあるかもしれない。
先を見据えてというよりは、足元を見て、この日一日一日を静かに刻んで行きたいと思うこの頃である。

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