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【第9話】 南紀ツーリング②〜ちょっと不思議な熊野の巨岩〜

こんにちは、旅する自転車です。
2泊3日の南紀ツーリングが始まりました。昨日は志摩・鵜方駅をスタートし、リアス海岸を走り尾鷲までやって来ました。今日はどこまで行けるでしょうか。そして、どんな景色が待っているでしょうか。

2日目の朝は希望の朝

港の街に静かな朝がやってきた! 7月中旬ということもあり、5時30分にはすでに空は明るくなっていた。早朝でも空気は暖かく、風はなく波は穏やか。宿に別れを告げ、旅の2日目は清々しい気持ちで始まった。この日の行程は、前半はリアス海岸、後半は平坦な海岸の直線路。まずは熊野市までの約55㎞、昨日に引き続きアップダウンの道を進んでいく。尾鷲の街を出発すると、すぐに山道が始まった。木々に囲まれた深い森の道を、朝日が優しく照らす。

尾鷲の朝。早朝だというのに市街には外を歩く人の姿も見られた
出発まもなく、こんなに街が見下ろせるほど標高アップ。尾鷲の街に別れを告げた
民宿の方が親切に経口補水液をプレゼントしてくれた。自転車乗りにはこんなにうれしいことはない

いくつもの集落を越えて…

山を越え、湾に面した小さな港町に降りて来た。九鬼の町。まだ朝の7時前、人の姿は見られない。そしてまた山へ…。そのあとは何度も何度もアップダウンを繰り返した。山、町、山、町、山の繰り返し。ついさっきまで海抜0mの港にいたと思ったら標高100mの断崖から海や港を見下ろしている、それがひたすら続く。昨日と違うのは、山道の見晴らしがよく海がよく見えること、そして朝から昼にかけて日が高くなるにつれ青空が広がってきたことだ。おかげで道は険しいが撮影が捗り、リアス海岸を満喫することができた。

尾鷲を過ぎて一つ目、九鬼の港町。海面にまったく揺らぎがないほど穏やかな空気だった
尾鷲から熊野までの行程のうち、半分より手前にある港町・古江。リアス海岸はまだまだ続く
標高約140mからの景色。断崖絶壁の柱状節理がくっきりと見える

熊野で待っていた奇妙な巨岩たち

リアス海岸の道を抜け、熊野の街に着いたのはもう10時のことだった。約4時間にわたりほとんど休憩なしで走って来たので、もうクタクタだった。熊野に着いてまもなく待っていたのは奇岩・鬼ヶ城だった。荒波で削られた無数の海蝕洞が、地震が起こした隆起により階段上に並び約1.2㎞続く、熊野を代表する景勝地。ここが昨日から走って来たリアス海岸の南端なんだという。観光も楽しみたかったが、いったん食事休憩とすることに。ビジターセンターに小さなカフェがあり、椅子に座ってしばらく休ませてもらった。鬼ヶ城の観光を楽しみ、再び出発した。ここからの景色がつい先ほどまでとはまるで異なり、ゆるやかなカーブを描いた海岸線に沿って平坦な道が延びていた。3㎞も走れば次のみどころ獅子岩へ到着だ。

海に面して大小さまざまな海蝕洞が切り立つように並んでいる鬼ヶ城
鬼ヶ城センターで注文したのは、まさかのパンケーキ。ここに来てかわいいアピール
左手にビーチ、右手に飲食店と、熊野の街はのどかなリゾート地のようだった
紀州灘に向かって吠える獅子岩。鬼ヶ城とともに世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』に登録されている

南紀ツーリングの一日は長い。獅子岩を出発したのが11時、まだ午前だ。このあとは本州最南端に向かってひたすら南下…と行きたいところだが、立ち寄りたい場所があった。内陸にあるその絶景スポットを目指し、山間部へ突入していく…。続きは第10話にて、どうぞお楽しみに。


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