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統合失調症の歩き方 ~プロローグ~(無料版)

写真:コルコバードの丘にそびえ立つキリスト像


今まで普通に生活していた人が、あるとき急にいつもと違う言動や行動を取り始めたと思ったら、実は精神病でした。なんていう話は、ドラマの中だけの話だと思っている人もいるのではないでしょうか。

精神病と聞くと、多くの人は最初に‟うつ病”を思い浮かべるでしょう。多くの現代人が苦しむうつ病はストレスが主な要因とされており、環境や生活を変えることで症状が改善する見込みがあるとされています。また、服薬によって症状を和らげることができ、ゆっくり休めば治る病気ともされています。

今や誰もが知る病気の1つとなっているうつ病の他にも、意外と身近な精神病があります。それが統合失調症です。

統合失調症は、100人に1人が罹患すると言われています。一般的な学校であれば、1学年に1人は統合失調症になってしまうということです。

統合失調症は症状も様々で、日常生活に支障をきたさない程度のものから、精神病院で長年治療をしなければならないという重度の症状を発症する人もいます。‟100人に1人”というこの数字は、軽視できない数字です。その1%に選ばれたのが、23歳の時の僕でした。

その頃僕は外国語大学の3年生で、ブラジルに留学中でした。過去にも父親の転勤でブラジルに住んだことがあった僕にとって、この留学は人生を探しに行く留学でした。僕は、国から奨学金をもらう‟国費留学生”という肩書きを背負い、結果を出して帰国しなければならないと、自分にプレッシャーを掛け続けながら留学生活を送っていました。決して「ブラジルまで遊びに行った」などと言われてはならないと、志を高く臨んだ留学でした。

留学先は、リオデジャネイロ州のニテロイ市という海沿いの、ビーチが美しい街でした。皆さまのご想像の通り、リオデジャネイロといえば、常夏で、ラテンの人々がワーワー言いながら楽しく人生を謳歌しているような場所です。絵葉書にも切り取られるような、風景が美しい街でもあります。そんな楽園のような街で、僕は1年間を過ごすことになったのです。

23歳の僕は、異国での日常を楽しみ、未来の自分への手土産を持って留学を終える予定でした。しかし、現実は期待していたものとは程遠いものとなったのでした。

「お前最近おかしいぞ」

ある日突然、当時一緒に住んでいたブラジル人の友人にこう言われたのです。友人たちとの共同生活も落ち着き始め、やっと留学生活を楽しむ余裕が生まれた矢先の出来事でした。僕は「そんなこと無い」と突っぱねました。しかし後日、僕は目を疑うような場面に遭遇します。

疲れてリビングのソファで寝てしまっていた僕が目を覚ますと、そこには白衣を来た3人の医師が座っていたのです。

「おはよう哲平くん、目覚めはどうだい?」

その瞬間から、僕のセイヨウイガクとの戦いが始まるのでした…

この連載は23歳で統合失調症と診断された僕が、社会人としての第一歩を歩み始めるまでの奮闘の7年間を読み物調にまとめた実録noteです。

身近に統合失調症の人がいる方や、自分が今統合失調症で苦しんでいるという方、また、人口の1%という高確率で罹患する可能性があるこの症状に興味がある方などに是非読んでいただきたい内容になっています。

現在40歳という年齢を迎えようとしていますが、寛解しているとはいえ、月に1回心療内科を受診し、毎日の服薬を続けています。治らないこの病気とどのように向き合えばよいのか。その疑問に対する1つの道しるべになれば嬉しいです。

2020年12月 

哲平

無料版では本編5話まで無料でお読みになれます。6話以降をお読みになりたい方は有料マガジンでお読みいただけます。統合失調症の知られざる精神世界、ブラジルで起こった数々の神秘体験。服薬に葛藤しながらの回復の中で、導き出した答えとは?有料マガジンはこちらから⇩

第1話(無料版)はこちらからお読みになれます↓


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