本と大学と図書館と-43-研究資料の入手 (Fmics Big Egg 2022年11月号)

 退職後も「大学図書館発展の時代」をテーマに研究を継続しています。対象期間は,設置者である大学が発展する戦後から,電子ジャーナル普及に至る2000年まで,対象内容は,学術情報政策,蔵書構築,総合目録,書誌ユーティリティ,機械化,情報検索です。大学図書館の職務や自分の仕事について,何だったのか,どんな成果が達成できたのかを,振り返りたい,明らかにしたい。単純に,何よりも知りたいという個人的な興味なのでしょう。既にライフワークです。
 資料の入手に関して,必要な大学図書館関連資料は,統計と先行研究の図書や雑誌論文です。図書に関しては,何冊かまとめて必要な部分を参照したい時など,地域の公共図書館では,蔵書構成が不十分です。また,資料を所蔵している大学図書館は,思うように利用できません。従って,個人でのネット古書店からの購入と,最寄りの公共図書館を通じて,他地域の図書館の蔵書から借りる「図書館相互貸借」に頼っています。個人利用の範囲で,借りた図書は,自宅のスキャナーによるPDF化で文字検索も可能な個人蔵書とします。
 蔵書数や予算額などの基礎データを掲載する大学図書館統計は,『日本の図書館』と『大学図書館実態調査結果報告』として,1950年代と60年代から発行されています。統計は,図書館では禁帯出資料で借りることができません。データを参照することが多いので,古書店から入手します。図書館情報学分野に強い早川図書と金沢文圃閣を使います。商品評価がしっかりとした価格設定ですがセットでの入手が期待できます。古書市場にない年度は,日本図書館協会の資料室にスキャナーを持ち込んで複写しました。友人の図書館にお願いした年度もありました。
 資料収集は,盛大に脇道に逸れるのが愉しいです。高桑弥須子『学校ブックトーク入門』(教文館 2011)は,かつて見学した学校司書の方の著書です。初谷勇『公共マネジメントとNPO政策』(ぎょうせい 2012)は,執筆した論文に興味を持った方からの寄贈です。金井壽宏;楠見孝『実践知』(有斐閣 2012)は,指導教員からのお薦めです。人材育成の分野なので読むのに苦労しています。木埜有『虎ノ門物語』(ジアース教育新社 2021)は,山本眞一先生の紹介です。宮崎駿製作;高畑勲監督『柳川掘割物語』(スタジオジブリ 1987)は,社会教育研究全国集会での参考資料です。ワンクリックで,つい買ってしまいます。
 必要な資料も揃い,全体構成と各章の概要はできているので,後は書くことだけに注力しなければ・・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?