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【カフェ4分33秒】おバカ妄想エッセイ

俺は今日もあのカフェに向かった。
【カフェ4分33秒】とは妙な店名だが、昭和レトロな感じで気に入っている。4分33秒とはジョン・ケージという作曲家が沈黙の音楽として考案したらしいが無音で俺には理解できない。店内は、店名の如く音楽が流れていない。だが、この沈黙のなかで屁をこきたいという衝動がどうしてもおさえられなくなった。ああ、この沈黙をブチ破りたい。実行すれば出禁になるだろうな。そんな事を考えていたら、マスターがトランペットを演奏し始めた。そもそもマスターは自分の演奏に注目してほしくて音楽を流していないのかもしれない。そうだ、この音階に合わせて尻で演奏しよう。コラボしよう。俺はそう考えた。

マスターとのセッションは見事に成功した。

マスターがふいに俺の席に来た。
「お客さん、見事なトランペットでしたね。お尻の」と言い消臭スプレーを噴射した。
二人の間に沈黙が流れた。



たらはかにさん企画
毎週ショートショートnote
お題【カフェ4分33秒】より

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