【おいしい粉雪】毎週ショートショートnoteお題『会員制の粉雪』より
その男はショーウィンドウに目を止めた。中で粉雪が降り出したからだ。
そこへ店舗のオーナーが来た。
「美しい粉雪でしょう」
「冬服を展示するにいい演出だ」
「商品は粉雪なんです」
「粉雪?」
男はオーナーに促され、店内に案内された。天井から粉雪が降ってくる。刹那、ふわっと甘い香りが漂ってきた。オーナーが口を開け粉雪を味わっている。
「さあ、あなたも」
男も口を開け粉雪を味わった。
それは甘美で濃厚な味わいだった。
「これは、きっと繁盛しますよ」
「ええ、会員制にしようと考えてい