朝。その男の側を近所の少年が通り過ぎた。
男はにこやかに挨拶をする。

「おはよう」

「……」

「おい、君、挨拶は？」

「……」

「どうして挨拶できないんだ？」

「パパが挨拶ばかりして嫌なんだ」

「いいじゃないか、挨拶は何回しても。お父さんは偉いぞ」

「そのうちわかるさ」

その時、少年の背後から坊主頭の父親らしき男が来た。

「こぉんにぃちわぁ〜っ！！」

「もう、パパやめてよそれ」

「な、なんですか、声が大き過ぎますよ、それに朝はおはようでしょ」

「この子のパっパで〜す！挨拶代わりに来ましたー！」

「なんかイライラするなぁ」

「おじさん、だから言ったでしょ」

「これ挨拶代わりのお歳暮でーす！」
（クーラーボックスを渡す父親）

「夏だろ、お中元でしょうが」
（クーラーボックスを開ける）

「錦鯉！？」

「あれ？目が泳いでますよ」

「うまいこと言うなイライラする！
」

END

たらはかにさん企画
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お題【イライラする挨拶代わり】より