貿易保険の概要
貿易保険とは
NEXI(日本貿易保険)が貿易保険の入門動画をアップしてくれていました。わかりやすいです!NEXIについては別記事で紹介します。
海上保険と貿易保険の違い
貿易保険は海上保険とは完全に別の存在である。恥ずかしながらこれまで知りませんでした。
海上保険は気象天候による損害や、船の転覆・座礁などのトラブル、盗難等を保証する。しかし、戦争危険(War Risk)や同盟罷業危険(S.R.C.C つまりストライキや暴動)は対象外。そこで、それらをカバーするのが貿易保険の役割というわけだ。
貿易保険がカバーするのは「非常危険」「信用危険」の二つ。非常危険は、先に挙がった戦争やストライキなどの非常事態のリスク。信用危険は、契約相手の不払い・破産・一方的なキャンセルなど先方都合によるリスク。
決済方法ごとのリスク対応
貿易の決済時にはいくつかの方法があるが、
L/C決済→D/P決済→D/A決済→TT決済の順で、輸出者にとってリスクが高くなる。L/Cが最も低リスク。
L/C(Letter of Credit: 信用状取引)が低リスクなのは輸入者の取引銀行が仲介してくれるため。L/Cは、貿易実務用語の中でも超重要ワードなので認知度は高いと思われる。
次にD/Aは、Documents against Acceptance の略。ついでにD/Pは、Documents against Paymentの略。英語からもなんだかよくわからないですね。この2つは信用状なしで行う荷為替手形決済。どう訳せばそうなるんだ??これらの詳細については、外部サイトにわかりやすいまとめがあるのでそれを見ていただいてもOK。
貿易保険についての記事の説明記事なのに、「なんでいきなりD/AとかD/Pとか出てきたんだ」と怒らないでください。。。D/A、D/Pでの取引時には貿易保険がセットになってくる可能性が高いのです。
D/AやD/Pは信用状を必要としない。もし取引先が支払い不可能になってしまった場合、代金を回収する術がない。そこで登場するのが貿易保険。貿易保険では「信用危険」をカバーしてくれるので、これを利用することによってリスク回避が可能になる。
覚えておかなければならないのは、もし取引先から「L/C決済ではなくD/A決済で対応してほしい」と依頼され受け入れざるを得ない状況であれば、貿易保険の検討が必要になってくるということ。
参考文献
『10分でわかる貿易のプロをめざす人のための貿易保険の実務』
姉崎慶三郎 著
貿易保険の解説書。海上保険ではなく貿易保険についての解説であり、歴史解説が多いなど少しマニアックな内容になっている。
僕自身は歴史の勉強が好きなので、興味深く読ませていただいた。価格も300円程度なのでコスパも素晴らしいです。だけど姉崎先生、10分で読み終わるのはちょっと無理があります。。。少なく見積もっても30分は欲しい内容量です。。。
10分で貿易保険を理解できると思い本書に飛びついてはみたものの、甘くはありませんでした。歴史解説、略語解説、文末クイズとてんこ盛り。良い意味でタイトル詐欺だと思いました。良い意味で。
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