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『ザ・チョイス』ゴールドラット博士の人生訓

『ザ・チョイス』
エリヤフ・ゴールドラット 著

本書の著者であるエリヤフ・ゴールドラット博士は、優れたビジネス理論を多く世に残された。

僕自身、博士の著書からは大いに学ばせていただいていた。過去にいくつか記事も作成したのでぜひこれらにも目を通してほしい。

『ザ・ゴール』についての記事
『チェンジ・ザ・ルール』についての記事

本書はこれまでのゴールドラット博士の著書とは若干形式が異なる。『ザ・ゴール』や『チェンジ・ザ・ルール』がビジネス小説形式だったのに対し、本書は博士と娘の対話形式となっている。

そのため読了後の爽快感は少なく、物語としての面白みを味わうこともできない。一方で娘との対話形式にしたことによって、博士が愛する人に伝えたかった教訓を味わうことができることは魅力だろう。

本書は博士の人生訓であり、ビジネスとプライベート共通して活かせるものだと思う。著者の本を読んだことがある人も、そうでない人も、ぜひ目を通してほしい一冊だ。

博士による教訓

一人の人間はシンプルだが、多くの人が集まる組織は複雑だ。多くの要素が絡み合うことになるからだ。
ただ「複雑」の定義を捉えなおせば、別の考え方もできる。一見複雑に見えるシステムであっても、変動の要因が一つの要素に限られるのであれば、それは実はシンプルだと考えることはできないだろうか?
数多くの問題に対して一つずつ表面上の対立を考えるのではなく、共通する根本的な対立に目を向けようとすることが大切だ。
・現実は複雑だと思い込むこと
・対立は当たり前だと考えること
・問題を相手のせいにすること
これらは問題の解決を遠ざける行動である。
ものごとはシンプルだと考えることが、問題を根本的な解決に導くのだ。

オスカーワイルドの言葉

本書とは直接関わりのないことだが、アイルランドの詩人であるオスカー・ワイルドにも同様の名言がある。

Life is not complex. We are complex. Life is simple, and the simple thing is the right thing.

(人生は複雑じゃない。私たちの方が複雑だ。人生はシンプルで、シンプルなことが正しいことなんだ。)

偉人が考えることは共通しているのかもしれないと思った。(ゴールドラット博士がオスカー・ワイルドの影響を受けている可能性もあるが。)

まとめ

人々、そして組織とは一見にして複雑なものだ。しかし組織を動かすシステムにおいて、問題の根本的原因となる要素は限定できるケースが多いのだろう。

システムを構成する要素を分解し、問題となる要素が特定する。一つの要素が問題の根幹であるとわかったのであれば、それはもう複雑ではなくシンプルだということだ。

だから僕たちは、組織やシステムはシンプルであると信じたほうがよいのだろう。辛抱強く観察を続けることによって、問題を根本的解決に導くことができる。それが数々の問題を解決してきた博士による教訓だ。

次回予告

本書は博士の人生訓をまとめたものであり、内容量も多くないのでやや抽象的になっていると感じた。

より具体的な考え方を知りたいので、「システム思考」について学ぶことにした。後日、以下の本について内容を紹介する予定。

ゴールドラット博士の書籍紹介記事


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