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【エッセイ】娘はすくすくとママの相棒になっていく

先日、2歳半の長女と一緒にお料理をしていた。

娘には、キッチンで踏み台を使ってすっかり上手になったゆで卵の殻剥きをお願いしていた。
その後ろで、母はばたばたと作りおきのおかずをレンジであたためていた。

ばたばたしすぎたせいか、レンジから肉じゃがの入ったタッパを床にぶちまけてしまった。
油っぽい汁が床一面に広がり、全力で萎えた。

しゃがんでキッチンペーパーで床を拭いていると、
キッチンで卵を剥く手を止めないまま、頭上から娘の声が降ってきた。

「だいじょうぶ?」
「ゆっくりゆっくり」
「◯◯ちゃん(娘の名前)も手伝おうか?」

それはまさしく、余裕があるときのママの口調そのものだった(残念ながら、余裕がないときはこんなに優しくない)。

来年4月に育休を終えて復職して、さらにばたばたする夕方の時間帯、そしてそのうちやってくる次女のイヤイヤ期。
そんなときに彼女に助けてもらう近い未来が、床に溢れた肉じゃがの水たまりに映った気がした。

単にお世話するだけの存在だった娘が、すくすくと頼れる相棒になっていく。
嬉しい反面、何もできずに床に転がって泣いていたあの時代が少しだけ恋しくなった。

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