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【エッセイ】娘がこれから出会う「ちょっと違う人たち」

保育園からの帰り道、とある女の子に出会った。

その女の子は車椅子に乗っていて、
表現の仕方に迷うが、ぱっと見て「障がい児だな」と分かる様子だった。

車椅子を押す、おそらくお母さんと思われる女性が女の子に声をかけ、女の子が娘に向かってバイバイと手を振ってくれた。

「バイバイって言ってくれてるよ」
そう娘に声を掛けると、娘は不思議そうな顔をして女の子をじっと見たまま、何もせずすれ違ってしまった。

なんだか少し申し訳ない気持ちになって、すみません、とお母さんに会釈をして娘の後を追いかけた。

なんでバイバイしなかったの?と聞いてみると、
「なんだか、怖かった」と娘。

その言葉を聞いて、何と返したらいいのか分からなくて、ただ、そっか怖かったんだ、と繰り返してその場は終えてしまった。

怖かった。その言葉の理由は、純粋にそのままの意味なのだと思う。
普段見慣れている大人や、保育園で一緒に過ごすお友達とは違った様子の女の子。
娘は、何が違うかはハッキリ分からなかったが、確かに自分たちとは違う何かを感じて怖かったのだろう。
その感情そのものを否定する必要はないと思う。

今はお家と保育園という限られた世界に生きる彼女は、少しずつその足で広い世界に出ていき、色んな人と出会っていく。
そのとき抱く正直な気持ちを受け止めながら、今度こそはきちんと、母として言葉を返せるようになりたいと思う。

世の中には色んな人がいるよ。
パパとママが違う顔をしているように、あなたとお友達が違う背丈をしているように、みんな違ってみんな良いんだよ。

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