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なんらかのレビュー

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2018年2月の記事一覧

無臭の恋人を抱き締める:『青野くんに触りたいから死にたい』レビュー

無臭の恋人を抱き締める:『青野くんに触りたいから死にたい』レビュー

あれほど、物語で容易に人を殺すなと言っただろう。どうして冒頭で早速青野くんは死んでしまうのか。なんで恋人ができて2週間で、交通事故なんかで死んでしまうのか。どうして彼女にとっては初めての彼氏なのに、死んでしまうのか。私は怒っている。

青野くんはこの世に留まり、引き続き優里ちゃんと恋人の時間を楽しもうとする。一緒に歌ったり、家で映画を観たりする。じゃあいいじゃん、めでたしめでたし…とは、ならないよ

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認められカタログ:『初情事まであと1時間』レビュー

認められカタログ:『初情事まであと1時間』レビュー

私が付き合う人にできることなんてほとんどないけど、「とにかくいいと思うところを褒めまくる」って、これだけは決めている。
表情、髪型、ふるまい、服装、発言、プレゼントのセンス、なんでも。

『臨死!江古田ちゃん』の中で江古田ちゃんは言ってた、「愛情は裏返すな」って(たしかね)。
楽しくしあうことも、癒しあうこともできない恋愛なら、時間がかかっても、この先どうしようって不安になっても、どこかで終止符を

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ずるくない人の成功だけ認めるね。:大家さんと僕

ずるくない人の成功だけ認めるね。:大家さんと僕

少し前に、矢部太郎さんの漫画『大家さんと僕』を読んだ。何かを読んだり観たりしたあと、他の人はどんな感想を持ったのか調べるのが好きなので、やっぱりすぐに「大家さんと僕 感想」で検索をかけたのだった。

そこで引っかかったのが、矢部さんのお父さんが絵本作家だ、という情報をめぐってのあれこれだった。

ある人はTwitterで「父親が絵本作家なら、処女作が優れているのも当たり前だ、そういう血筋なんだか

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いい人の外の世界:『凪のお暇』感想

いい人の外の世界:『凪のお暇』感想

空気読みまくり人間だったOLの凪ちゃんが、退社して、家具も人間関係も過去の自分も断捨離して、清貧ライフを満喫しようと奮闘する漫画、「凪のお暇」(おひまではなくおいとま)が、好きだ。

絵がレトロでかわいい(80年代を髣髴とさせる感じ)、 節約レシピを読んでるとアガる(「すてきな奥さん」読む楽しみに近い)、辺りは既に語り尽くされてそうなので、ほかに好きなところを挙げよう。

たぶん私は、この物語が

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