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コンテンツ月記(令和三年、弥生)

読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します(完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします。すでに長めのレビューを書いてるものは、基本的に除いてます…と言いながら、ここで書いてる感想も割と長いんだけど…読んでくださる皆様ありがとうございます…)。

Kindle Unlimitedで読んだ本はその旨書いてますが、Unlimited対象期間から外れちゃってたらすみません。

==評価基準(特に記載したいときだけ)==
\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。
φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)
==ココカラ==

■マンガ

お迎え渋谷くん(1~5巻)

マンガアプリMeeで読む。久しぶりにときめきが摂取できる少女マンガ(?)だったけど、気になるポイントがなかなかに多いのと、だんだん絵が崩れていってしまうのがきつくて途中までで読むのが止まっている(作者さんに何かあったのかもしれない…)。彼氏がいないことを母に心配されているけれど仕事は好きで頑張っている保育士・愛花(28)が、保育園児の妹を送り迎えしていた俳優・渋谷くん(21)と恋に落ちる、という話。

好きなポイント
・渋谷くんがかっこよくてかわいい(個人的に眠そうな目のキャラが好きなので、前半の渋谷くんが好きだ)。メガネの渋谷くんは特にかっこいい。悲しそうなときとか恥ずかしそうなときの渋谷くんは特にかわいい(私は照れている男の人を見るのが好きなんです…)。
・渋谷くんの真っ直ぐな愛情がまぶしい。
・愛花が、「周りは結婚したり子供がいたりで最近はあんまり友達とは会ってないんだよな…」的な設定の人で、共感できる。唯一友達っぽい人で登場するのが男子中学生で、新鮮な友達関係。

気になるポイント
・話が進むごとに愛花という人がからっぽに思えてくるため、なぜ渋谷くんはそんなに彼女に魅かれるのかわからなくなってくる(たぶん読者が自分を投影しやすいようにそうなってるんだと思うけども…)
・「愛花も渋谷くんのこと好きだから許されるけれども…」という、渋谷くんの行動が目立つ。いきなりキスするとか、(住所教えてないのに)愛花の家を知ってるとか。愛花がもし他の人と結婚したとしても絶対あきらめない、とも言ってて、「恋愛はマッチングだから、努力の量に応じて相手が手に入るってものでもないのだが…」と思ってしまってちょっと入り込めなかった。それは、コミュニケーションじゃなくてプレゼンテーション(by桃山商事の清田さん)なのよ!恋愛はコミュニケーションなのよ!!
・事務所の社長に成人祝いとして風俗店に送り込まれ、そこで童貞卒業したという渋谷くんのエピソードが笑えない…(女性をモノ感覚でプレゼントにしないでくれ~、積極的に同意してない渋谷くんを風俗店に送り込むのもセクハラじゃない?と思うんだけど、なぜかギャグっぽく扱われてる…。そういう価値観が感じられる描写が多い…)

途中から気になるポイントの割合が増えてきてしまうのだが…、少なくとも途中まではほっこりときめくので、少女マンガ好きな方におすすめしたい。

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ひみつのローソンスイーツ開発室

Kindle Unlimitedで読む。

コンビニスイーツの走り・プレミアムロールケーキをはじめ、ローソンの様々な甘いもの開発秘話が読める。

絵柄はふんわりしてるんだけど、内容はかなりプロジェクトXっぽい(プロジェクトX観たことないんだけど)。

ロールケーキにはクリームには産地とかメーカーによって「ミルク感が強い」「さっぱり」とか特徴があって、一番おいしく感じられるクリームの配合をじっくり研究してたり、クリームに合う生地を求めてもともと地元企業とだけ取引をしていた粉の会社を一生懸命説得したり、どら焼きの甘さをしつこく残らないものにするために、手間はかかるけれど氷砂糖を使ったり…。

大手コンビニって資本力あるから、つい「敵」みたいな感じがしちゃうんだけど、そこでも人間が働いているんだよね…。
(でも、よりよいおいしさにするために、前述の粉つくってる会社との契約を切って新しいところと契約するようなこともきっとあるだろうから、そういう影響力の怖さみたいなことは考えちゃったな…。商売は慈善事業じゃないから仕方ない部分もあるんだけどさ…)

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きみにかわれるまえに

Kindle Unlimitedで読む。

猫愛が強いマンガ家・カレー沢薰さんの、いろんな立場の人(大体人間嫌いだったり、家族との関係が悪かったりする)のペットとの人生を描いたマンガ。絵が苦手だって方もいそうだけど、内容はかなり胸にくるものだった…。

例えば、保護猫カフェでボランティアをしている人の話。自身が気持ちを入れて育てていた猫が引き取られていって、引き取られた先で去勢手術を受けたところ、すぐに死んでしまう。「どうせすぐに死んでしまうなら、私のしているボランティアには意味がないんだろうか?」ってその人は考えるんだけど、「保護されなかったらひとりぼっちで寒いところで死んでいったかもしれない猫が、誰かに愛されて見守られて死んでいったなら、その時間は短くても無意味じゃないんじゃないか」というようなことを店長が言ってくれるんだよね。

短い1冊だけど、いろんな人(と動物)の生涯を見せてもらえて、不思議な体験になる作品。

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潜熱(1巻)

期間限定で無料お試し版が出ていたので読む。演劇マンガ『ダブル』の作者・野田彩子さんの過去作。

おっとりしていて世間知らずな女子大学生が、バイト先のコンビニに来る中年やくざにどうしても心惹かれていってしまう…という話。終始不穏なにおいがしているんだけど、この人の暗い絵にそれが合うんだよな…。骨が入ってるぅって感じの人体の描き方とか、花火の感じとか、かっこよくて切なくて、心だけ夏に飛び込んだみたいになれる。

絶対に危ない目に遭うってわかってるのに引き返せないときがある。
その人についてわかることはほとんどないのに、「ああ、好きだな」って思っちゃうことがある。
正しいだけじゃいられないのが、人生だよね…。

お試し版の期限が切れちゃった時用に通常版のリンクも貼っておきます↓

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■本

相談の森 φ(..)

Kindle Unlimitedで読む。
あきらめとため息とユーモアでできてる燃え殻さんだからこその、人生相談本(文春オンラインの連載をまとめたものらしい)。何かが解決するわけじゃないかもしれないけど、とりあえず生きていくために必要な温かさをもらえる。疲れている人におすすめの本。

ー以降、特に印象に残った言葉をいくつか、引く。ー

ストレスだと感じられている状態は健全です。叫ぼうが酔おうがストレスなんて解消しないですが、ストレスという荷物を一旦おろす行為は必要だと思います。

(↑私も前から思ってた、ストレス解消は幻想だって(だから私は個人的には「ストレス隠蔽」と呼んでる。解消できるって信じ切っちゃうと、リセットできるような幻想が生まれて危険な気がしますよ、皆さんお気をつけあれ…)

谷川俊太郎さんがおっしゃった「孤独は前提です」という言葉を僕は胸に刻んで生きているんですが「理不尽もまた前提」だと思っています。前提だからって飲み込めるものじゃないことも、40年も生きていると理解はできます。

(↑燃え殻さんの人生相談の髄が詰まってる言葉だ。人間の矛盾とか、ダメなところを「そうなんだよねー…、正解はわかってるんだけどねー…、でもそっちにはいけないんだよね…」って飲みながら、苦笑いしながら、とりあえず否定しないで置いてくれる感じ。しかし、「理不尽は前提」って、めちゃくちゃわかるけど重すぎる笑)

答えが人として間違っていようが、あなたの今日が救われることのほうが大切です。

(↑加害につながっちゃうとよろしくないので、この言葉をかける人(というか状況)は選ばないといけないと思うんだけど、常識に押しつぶされそうになってる人とかがんばりすぎてる人に配りまくりたい金言ですね…)

相手との距離感を快適に取れる人のことを、優しい人というのだと思います。お互いのペースのすり合わせに重点を置いて、接してみてください。
年を取ることは本当に喪失だけでしょうか。20歳のあなたより26歳のあなたは全部が目減りしただけでしょうか。あの頃の自分がボンクラに見えたりしませんか?僕は時々、20歳の頃の自分が言っていたボンクラ発言を思い出して、過去に戻って張り手の一つもしたくなります。通りすがりのような人たちに言われた評価など気にしないでいいと思います。
〔中略〕
あなたは20歳の自分が、いまの自分より全勝していると思うでしょうか?
〔中略〕
ただ年を取っていくだけなのか、ビンテージになれるのかが大切なような気がします。

(↑最近考えていたことに重なって、ぐっときた。体は物体だから絶対に衰えていくけど、経験とか考えた量とかは、絶対過去の自分に負けないよな、って)

人がすぐに言いがちな、「人生は何度でもやり直せる」は嘘だと思っています。でも「人生は何度かやり直せる」は心から信じています。
電気を消して、この一年に起きた出来事をジッと思い出しながら、動いた瞬間に矢が放たれる気配を感じています。でもそんな時、根本敬先生のあの言葉はフッと頭をよぎるんです。「でもやるんだよ」。

(↑え…ちょっとこの言葉…しみますね…「でもやるんだよ」…!私も胸に刻もう…)

ー長過ぎた引用コーナー終わりー

時折挟まれる燃え殻さんの人生のエピソードもしんみり度が高くて、短い文章なのに何度も泣きそうになってしまった(特にご家族とのエピソードの破壊力が高い。人と長時間一緒にいるのが得意じゃない燃え殻さんのおじいさんが、遊びに来てくれた燃え殻さんに「帰りに食べて」って卵サンドと牛乳を持たせてくれて、こわばった笑顔で手を振って見送ってくれた話とか)。

ただ、性的な相談になると急に燃え殻さんのテンションがおかしくなるのでびっくりする。燃え殻さん!!!!(そこもまた燃え殻さんっぽいんだけども…)

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■ドキュメンタリー

トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして\(^o^)/

Netflixで観る。TBSラジオ『アトロク』でごりごりにお勧めされてたから観たんだけど、ほんとに観てよかった…。

海外の映画やドラマの中に出てくるトランスジェンダーについて、それはたしかに変だよね、おかしいと思ってた、ってことから、「そうか…今まで問題だと思ってなかったけど、たしかにそれは変だよね…」ってことまで、紹介されていた。例えば以下のようなこと。

・性転換手術を受けたことを話していなかったら「裏切り」扱いされ、話したら相手が激高したり吐いたり…という展開になる(時にはそれがオチのボケとして使われることも)。
・トランスジェンダーだということを見た目などで強調される(MtFの俳優の声をわざと低く調整する等)。MtFの俳優の見た目がシスジェンダーの女性に見えてトランスジェンダー役だと視聴者にわかりにくいから、シスジェンダーの男性の俳優が演じることになった例もある。
・トランスジェンダーの役は、性転換手術が原因で死ぬという展開が多い。
・「精神異常者」のキャラクター付けとして、異性装が使われることが多い。
・トランスジェンダーの俳優が会話形式のTV番組に出ると、やたら性転換手術と手術後の性行為について質問される。

日本の状況は、もっと悪いなと思いながら観た…。

この間も日本アカデミー賞で草彅剛氏がトランスジェンダー役で授賞したんだけど、トランスジェンダー役をシスジェンダーの俳優が演じることの問題について考えたよ…。

トランスジェンダー(ってわざわざ書くのもさ…いやなんだけどさ…)の能町みね子さん(MtF)の役に、なぜか男性俳優をあてようとするって…。

こう書いてあると、非対称性がわかる。変な話だよね…。

同じ番組の中で紹介されてた、トランスジェンダー役を全部トランスジェンダーの人が演じてるってドラマ、『POSE』も観たい~。

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■映画

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 \(^o^)/

Amazonプライムビデオで観る。

体も心も絶不調で、「生まれることを自分で選んだわけじゃないのに、なんで頑張ることは必須なの~やってられない~」と死にたかった気持ちから少し回復させられた作品。大きなことはできないけどさ、子供たちは私以上に自分の居場所を選ぶことができないんだから、彼女たちにお金を回せるだけは稼がなくちゃ…!って思ったんだよね…。めちゃくちゃ大好きだけど、とってもきつい作品。フィクションだけど、フィクションぽさがまったくない。目の前で、本当に起こってることを見せられてるみたいな気持ちになる映画。

定住する家を失った6歳の少女ムーニーと母親ヘイリーは、フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にあるモーテル「マジック・キャッスル」でその日暮らしの生活を送っている。周囲の大人たちは厳しい現実に苦しんでいたが、ムーニーは同じくモーテルで暮らす子どもたちとともに冒険に満ちた日々を過ごし、管理人ボビーはそんな子どもたちを厳しくも温かく見守っていた。そんなムーニーの日常が、ある出来事をきっかけに大きく変わりはじめる。
映画.comより引用)

ムーニーの目線で作られてる映画で、(たぶんあえて)鮮やかな色調にしてあるので、全体の雰囲気は明るくてポップ(っぽい)。子供たちがとにかくかわいいし(彼女らがしてるいたずらはかなり悪質だが…)、ムーニーとヘイリーは仲良しな親子だし、ヘイリーは茶目っ気があるお母さんだし。でもだからね、物語が進むにつれてつらさがね…うなぎ上りになっていくわけなんだけれども…。最後まで観ると、邦題の『真夏の魔法』の意味がわかる(きつい)。

さらにきついのは、日本だったら「頑張ってないから(あるいは考えが足りないから)低所得なんでしょ?」って、もっと厳しい目が注がれるよな…ってこと。ヘイリーが路上で偽のブランド香水を売りつけようとして失敗した際に「じゃあ、お金を少しくれませんか?」って言ったときとか、ムーニーが「アイスを買うのに小銭が足りないから、少し足してくれない?」って知らない大人に話しかけたときとか、映画の中ではお金をくれる人がいるんだけど、日本だったらきっともらえないだろうな、とか。

この映画のレビューとか読んでると、ヘイリーが「どうしようもないお母さん」だって書いてる意見も多いんだけど、じゃあお父さんは?って思うし、性的な仕事を断ったらもらえる仕事がなくなっちゃった、って彼女のこと、「全部自分が悪いんでしょ」って、私には言えない。

好きなシーンもいっぱいある。あんまり英語が話せない洗濯担当の女性(スペイン語話してるのでたぶんヒスパニック系なのだろう)とヘイリーがハグするシーンとか、ムーニー・ジャンシー・ヘイリーの3人でヒッチハイクして、あるものを見に行くシーンとか。

あと、とにかく管理人のボビーがいいんだよ!!毎日長時間仕事してるのにユーモアと人情があってさ…。子供たちが広場で遊んでるところもペンキとか塗りながらうっすら見てくれていて、彼女らに近づいて手を出そうとしてくる怪しい大人がいたら速やかにスマートに対応してくれてさ。でも実際にの世界にはボビーはいないし、ボビーだけじゃ解決できないんだよね。



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