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BOUM!BOUM!BOUM!香取慎吾NIPPON初個展に行った

亡母がSMAPのファンクラブに入っていた影響(たぶん)で、妹もジャニーズ好きである。彼女のメイン担当は嵐だが、おそらく「新しい地図」のファンクラブに入っており、「香取慎吾の個展に興味があればチケットとるけどどうする?」との連絡が入る。 

私も母に連れられて何度かSMAPのコンサート(ライブ、と呼ぶのはなんか違うのだ、コンサートなのだ)に行ったことがあり、今、慎吾(昔はそう呼んでたから今回もそう書こう)が考えてることとかちょっと知りたいな、と思い、妹にチケットをとってもらって恋人と行った。写真を撮っていいブースがほとんどで、とても今っぽいイベント。

豊洲駅から会場(新市場駅そば。豊洲駅からだと1.3キロくらいだとGoogle Map談)まで歩いたのだけど、駅から少し離れると、もう飲食店がほとんど見当たらない。道がカーンと広くて、「共産主義の国みたいな見た目」と言ったら恋人が笑う。結局展示の会場まで食べ物にありつけず、久しぶりに突き抜けた空腹で、変なテンションになる。入場して早速、会場横のカフェで腹ごしらえ。クラブハウスサンド650円。高い。しかし、買えることは幸せだ。お金で腹は満たされない。

冒頭、10分くらいの映像がある。電気グルーヴのMVを髣髴とさせる雰囲気だなと私は思った(途中、謎に陳腐な時間帯があるがすぐ終わるので安心してほしい)。映像が終わると、「慎吾の中に入っていく」仕組みになっている。最初に入っていく「ステージ」(上の写真)の真ん中に置かれているのが、慎吾の心臓(のリズムを流してるオブジェ)。

映像の中で、頭空っぽにして楽しんでください、と慎吾は言った。大人になると、観てきたものがいろいろあるので、「ただ感じる」ことはとても難しくなる。この色や形がどんな意味なのか、何に影響を受けているのか、考えてしまう。

この展覧会は特に「ただ感じる」のは難しいイベントだった。慎吾がそのとき何を考えていたのかを考えずに観ることは難しかった。それに反発するような、ある作品のキャプション。

展覧会全体で感じたのは、「この人は矛盾の間で思い悩んで、でも開き直って(やけになって?)、『ま、とりあえず、笑い飛ばすか』ってなったのかな」ということ。笑ってるけどどこか乾いてる感じがして不思議な人。対面したら全然とらえどころなくて、怖い、ってなりそう。

すごく死にたそうだったけど、同時に人生の時間の足りなさを嘆いていた。
自分のことが大嫌いで、大好きみたいだった。
(だけど最近は、「大好き」に落ち着きつつあるのかなという感じもした)
みんなに沢山見られたいけど、見られてああだこうだ言われることに心底うんざりしていそうだった。

(このあたりはどっちかというとキャプションを読んで持った感想で、恋人は、絵よりキャプションのほうが面白いのがこの展覧会の問題点だ、と言っていた)

書いてることも、真面目なような不真面目なような、一番大事なことは奥の方にしまわれているような、曖昧だけど実は核心を表しているような、掴みどころのない言葉で、困惑した。

「かわいい!」と手放しに言うことはできない、と思った。(でも会場のあちこちで、「かわいい!」と言ってる人がいた。ぎょっとしたけど、慎吾の「闇」を覗いてみたいと思ってチケットを買った私は、彼女らとなにが違うと言えるだろうか?)消費される香取慎吾。今の香取慎吾は、そのことを鳥瞰して、楽しんでいるような感じもする。

一つだけ間違いないだろうなーと思ったのは、慎吾は、創ることが心底好きなんだな、ということ。

コラージュって時間かかるけど楽しいですよね。

これは共同制作らしい(デザインは慎吾で、レゴでそれをつくったのは別の人とのこと)

おっきな刺繍みたいでかわいい。大きい作品は、それだけで楽しい。メキシコの壁画みたいで。横からみて面白い作品があると、実物をみられてよかった、と思う。

観終わったあと、ビールを飲みながら「どの作品がすきだった?」と恋人にきいた。「好きな作品か、いい作品かによって答えが違う」と恋人。これは、恋人が「いい作品」に選んだもの。

コラージュ。慎吾の、おそらく喉の。

「喉」の作品のキャプション。
こういうことを言いながら笑ってる慎吾、やっぱり怖いと思う。

これはたしかパリのルーブル美術館に飾られた絵。大きい。絵の具をもりもり使った絵を、私も描いてみたいと思った。たぶん、観る楽しみより描く楽しみのほうが大きい(苦しみも、ではあるけど)。

私はこの作品が好き。この作品の、額縁が。やっぱりなんとなくメキシコっぽいから、かな。

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