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目的別トレーニング ④ リカバリー

以前トレーニングについて最初にお話しした事を覚えていらっしゃるでしょうか。トレーニングとは「身体に対して一定の刺激を入れ続ける。それによって身体に変化を促す事。」と、手に作るマメやタコの事をご紹介したと思います。(※本格的なトレーニングを開始する前に 参照) 鉄棒の練習をしていると手のひらにマメが出来るという話です。普段強い刺激にさらされていない手のひらが鉄棒を握り、こすれ、その圧力と摩擦で水ぶくれが出来、気がつけば厚い角質になっていく、その過程をトレーニングにたとえてお話し

目的別トレーニング ③ エンデュランス

トラック競技におけるエンデュランストレーニングは一般の方が想像しているより短い時間で行われます。1セット辺り長くて20分〜30分、それを状況に応じてインターバルを取りつつ数セット繰り返します。実際のレースでは長ければ1時間に及ぶこともあるにもかかわらずトレーニングではそこまで長いトレーニングを行うことは殆どありません。 エンデュランスの能力つまりエネルギー代謝を向上させるためには"体内に酸素が不足している状態"を作りだしそれを改善するような刺激を与えることが必要です。※身体

目的別トレーニング ② パワー

目的別トレーニングの2回目はトレーナーズハウスではパワーと呼んでいる高出力かつ一定以上の持続時間を要求される身体的負荷の最も高いトレーニングメニューについてです。 トラックレースにおける最も重要な強化ポイントがこのパワーと呼んでいる高出力かつ持続時間を必要とする競技力です。低速域あるいは中速域からの加速力、トップスピード、そしてタイムに直結するスピードの持続力と、タイムレースでもバンチレースでもパワーにアドバンテージを持っている選手は常にレースを有利に進めることが出来ます。

目的別トレーニング ① トルクアップ

トレーニングプログラムを構築するための大枠が見えてきたら、個々のメニュー作りの為のポイントを考えて行きましょう。初回の今回はトレーナーズハウスでトルクアップと呼んでいるペダルを踏み込む筋力の向上を主たる目的としたメニューについてです。 自転車を速く走らせる方法を最もシンプルに考えれば、ペダルを踏み込む力を強くすることと、ペダルを速く廻すことの2点に集約する事が出来ると思います。重たいギアを踏んで速く廻せれば自ずと自転車を速く走らせることが出来るでしょう。 今回お話しするトル

効果的なトレーニングのための優先順位

トレーナーズハウスでは「トレーニングとは身体に対して一定の刺激を入れ続け、それによって身体に変化を促すこと。」と考えています。 ・筋肉を肥大させ筋力を上げる。 ・酸素の運搬能力を高めエネルギー代謝を高める。 ・神経プログラムを構築して運動スキルを高める。 これら全てが競技力向上の為に不可欠な要素であり、それぞれに適した刺激の入れかた、すなわちトレーニングの方法があります。それらをバランス良く取り入れて選手それぞれの現状に併せ目標に向かって最短でたどり着くために効果的なトレーニ

トレーニングの目的別分類

トレーニングプログラムを作成する上で理解しておかなければならないのが「何のためにそのトレーニングを行うか」という目的意識とその根拠です。ただ闇雲にキツい練習をしても思ったような効果は得られません。そこでトレーニングの目的別分類を運動生理学の観点から振り返っていきましょう。 トレーナーズハウスが普段行っているトレーニングの目的は大きく分けると2つになります。1つは選手の筋力やエネルギー代謝と言ったフィジカルの向上を目的としたトレーニング。そしてもう1つは自転車を操作する技術や

トレーニングの目的と効果

トレーナーズハウスでは指導依頼を受ける際に必ず行う2つの質問について以前お話ししました。Trainer's Houseのトレーニング理論 ① 1つは対象選手の競技力を知るための情報、そしてもう1つは対象選手の目標もしくはランドマークを共有するための情報です。それを踏まえてまず最初に行うのが動作解析による競技力の推察で、そこから目標に向けて必要なトレーニングプログラムを考えて行きます。 こういう形で書くとなにか仰々しいですが、簡単に言うと「指導する選手の競技力を把握し、何のた

身体の基本を知る ② 〜運動生理学〜

身体の基本を知る2回目は前回の筋肉に続いてエネルギー代謝についてです。 みなさんは日頃運動能力を言い表す言葉として"筋力"とか"パワー"と共に"持久力"という表現を良く耳にするのでは無いかと思います。それに対して今回お話しするエネルギー代謝という言葉は少し耳慣れない言葉かと思います。 <トレーナーズハウス的用語の定義> エネルギー代謝とは、本来は運動する際に筋肉に対してエネルギーを供給する、あるいは栄養素からエネルギーを産生する事を指して使われることが多く、運動では持久力に

身体の基本を知る ① 〜運動生理学〜

Trainer's Houseのトレーニング理論①〜⑤でバイオメカニクスをベースに考えるトレーニングについて少し難しい話をしましたが、それにも増して大人になってからはあまり関わりたくない学校の授業の様な話が始まります。なるべく分かりやすく説明していくつもりですのでお付き合い頂ければと思います。 競技スポーツをする上で避けては通れない学問と言えばこの運動生理学です。本格的な講義を受けようと思うと大変な労力を必要としますが、あくまで自転車競技に特化した内容ですので、かなり敷居は

本格的なトレーニングを開始する前に

前回までの5回にわたってTrainer's Houseがトレーニングの指導を依頼されたとき、まず最初に行うプログラムをご紹介しました。これはバイオメカニクス的見地から選手が自転車に対して力を正確に伝えられているかを確認するもので、正確に力を伝えられていないのに高い強度のトレーニングに移行しても筋肉のバランスやポジショニングを悪化してしまう事が多いため、まず最初に行っています。 こういったトレーニングの順番について何を優先すれば良いのかなとど大学のコーチや高校の教諭の方々と話

Trainer's Houseのトレーニング理論 ⑤

前回に引き続きポジション別の評価方法についてお話しします。 Ⅲ. シッティングポジションの評価 シッティングポジションでのポイントはスムーズなペダリングを行う為、グリップから背部、体幹部へとキネティックチェーン(運動連鎖)を繋ぎ骨盤のスタビリテイーを高める事です。その上で加速時、巡航時の必要な出力に合わせて骨盤の前傾角を調整し、膝関節および股関節の出力割合を変化させて行きます。 ここで行うトレーニングメニューはフライングダッシュからの600m,800mです。 ※ここでは4

Trainer's Houseのトレーニング理論 ④

前回に引き続きポジション別の評価方法についてお話しします。 Ⅱ. 中速域ダンシングポジションの評価中速域ダンシングポジションでのポイントは、ケイデンスの上昇と共に速くなっていく左右の重心移動をコントロールし、下死点での抜重の遅れによる加速の低下を防ぐことです。そこで左右の重心移動の幅やその動きの評価を行い易くするために軽めのギアを用いた中間速度域からのダッシュをインターバル形式で行います。 ⦿フライングダッシュインターバル 100m ・ギア設定     : ケイデンスが上

Trainer's Houseのトレーニング理論 ③

ここまで2回にわたり自転車を走らせるときの身体の使い方をダンシングポジション、シッティングポジション共にそれぞれ2つに分類し、それぞれのポイントについてお話ししてきました。今回から3回に分けてそれぞれのポイントの評価方法についてお話ししたいと思います。 Ⅰ. 低速域ダンシングポジションの評価 Trainer's Houseではポジション別の評価を行う為のトレーニングプログラムを動作解析と称して3つのメニューを行い、それぞれのポイントがわかりやすく評価できるように負荷、距離、

Trainer's Houseのトレーニング理論 ②

前回に引き続きTrainer's Houseのトレーニング指導についてお話ししていきます。 Trainer's Houseではトレーニング指導の依頼を受けた後、選手から提供された競技力の情報を基にある程度の競技力を推測します。その後動作解析用のプログラムを行いながらバイオメカニクス的な見地から選手の自転車を走らせる技術(スキル)や、それに必要な筋力や筋力のバランスについて確認して行きます。 ここで行うプログラムとは、目的とする身体の使い方を行いつつその動きが正確に行えてい