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メロンパンに熱を入れる

メロンパンラスクのとりこになりつつある。

久々の買い物に出かける直前、なんとなくレシピニュースを開いた。「簡単なのに本格♪〇〇」「卵不要!△△」「牛乳消費★□□」様々な文字が踊る中、ふと目に止まったメロンパンラスクのレシピ。

メロンパンラスクとは。メロンパンもラスクもそれぞれ食べたことはあるが、メロンパンラスクは食べたことがない。メロンパンは割と好きといった感じなので敢えて買うほどではないが、ラスクはかなり好きである。高校時代にお世話になった購買パンの人気ランキングでは1位が原宿ドックで2位がラスクであった。(個人調べ、調査人数1人)

メロンパンのラスク。どんな味がするのだろう。レシピを覗くと、市販のメロンパンを焼くだけでできることを知る。買い物リストにメロンパンが加わった。

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買い物から帰ると待ちきれなくて、早速まな板の上にメロンパンを置いた。包丁で薄く切る前に、レシピを良く見ておく。ふむふむ、厚さは7mm と。切れ味の良い包丁を使い黙々とメロンパンを切る。

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上部のクッキー部分に上手く刃が入れば、後はすんなり切り分けることができる。メロンパンをこんなに薄く切ることなどなかったので、不思議な感覚だ。これまでに一番多く切ったのは4等分にするために二回刃を入れた時くらいだろうか。厚さを全て7mm に揃えてもよかったのだが、せっかくなので 9mmの厚さと5mmの厚さで切ったものも1枚ずつ用意した。

次にオーブンを予熱する。ここはレシピ通りに150℃で設定。予熱完了のメロディを待ちながら、黒皿天板にアルミホイルを敷き、スライスしたメロンパンを並べた。レシピではクッキングシートを敷くと書いてあるが、クッキングシートは家に置いていないのでアルミホイルで代用。いざ並べてみると、1つの天板にメロンパン半量ほどしか乗せられない。2回に分けて焼く必要があるのだな。やることがもうなくなったので、シンクに置いたままだったお昼のパスタ皿を洗った。

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軽快なメロディがオーブンから鳴った。オーブンの扉を開けて、天板をそっと入れる。上手くできるか。この前試した簡単クッキー風レシピは失敗に終わった。扉を閉めて、スタートボタンを押す。あの時のクッキー風何かは、粘り気のある甘い砂を噛んでいるようだった。あんなに失敗したのも久しぶりだ。クッキー風のレシピではなく、クッキーのレシピを参考にするべきだった。簡単そうに見えるものに迂闊に手を出すから失敗してしまうのだ。

メロンパンをオーブンに入れてからしばらくは、忌々しいクッキー風何かで頭がいっぱいになっていたが、漂う甘い香りがそれをかき消した。この香りは、メロンパン…! メロンパンを焼いているのだから至極当然なのだが、私はこの香りに感動していた。出来立ての美味しいメロンパンを提供するメロンパン専門店でしか嗅げないはずのあの香りが、家で堪能できるだなんて…! キッチンの隅から隅までメロンパンの香りに包まれている。想像以上に幸せだ。メロンパンの生地をこねるところから頑張らずに、こんなに軽々しく幸せ気分を味わってしまう自分に後ろめたさを一瞬感じたが、今はこの香りを存分に楽しもう。

オーブンに近寄る。残り時間の表示を見て、既に13分経っていたことを知る。あと3分で完了のようだ。扉越しに中を確認してみると、切れ端のメロンパンの色が茶色くなっているのが見えた。大丈夫だろうか。このままあと2分焼き続けることで焦げて炭にはならないだろうか。レシピを見返す。

加熱時間はお持ちのオーブンの性能などで多少前後するので±2分程度加減してください。

レシピには私が知りたいことがきちんと書いてあった。安心しながら取り消しボタンを押す。オーブンの扉を開け、少し冷ましてから切れ端を箸で持ち上げてみると、メロンパンは立派なラスクになっていることが感触で伝わってきた。

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オーブンを再予熱し、残り半分のメロンパンも焼き上げた。加熱時間も初めから13分にセットして、念のため加熱終了2分前からメロンパンを注視した。おかげで2回目はより焼き加減の良いラスクが出来上がった。

タッパーにキッチンペーパーを敷き、粗熱をとったメロンパンラスクを立てて入れる。メロンパンのトレードマークである格子模様の溝が濃く色づいているのに気づき、心が躍る。

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さて、お味はどうだろうか。全体的に茶色に焼けた切れ端を選ぶ。固そうなので、勢い良く一口かじってみる。サクリ。想像よりはるかに軽やかな感触に驚いた。噛めば噛むほどふんわり舌の上でほどけていくのにも驚く。クッキー部分はザクザクとした感触だが、クランチのようなほどよい固さである。心は躍ったままだ。粘り気のある甘い砂を食べた時とは雲泥の差だ。

今度は表面に焼き色がついていない切れ端も味見してみる。先ほど味見したものよりさらに美味である。パン部分は控えめな甘さだが、所々砂糖のアクセントが効いている。クッキー部分はやはり美味しくて、この味わいはメロンパンラスクでしか楽しめなさそうだ。5mm や 9mm のラスクも食べてみたが、やはり7mm が個人的に良い。7mm の困ったところを敢えて挙げるとすれば、1枚だけでは飽き足らず、何枚も食べたくなるところだろうか。夫にも味見してもらう。「うまいなあ」と言いながらサクサク食べている。かなり好評のようだ。これで今後も堂々とメロンパンラスクを作れそうである。

メロンパン専門店には、大抵メロンパンラスクが売っている。しかし、きっと私はこれからも市販のメロンパンに熱を入れるのだろう。出来上がるまでのワクワク感や愛おしさは、作るからこそ得られるのだ。

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