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【旅行記6-2】サイコロきっぷで行く隠岐の旅〜知夫里編〜

【前回のあらすじ】
サイコロきっぷで「出雲市」を引き当てた私は,出雲大社には目もくれず,出雲市から一畑電車に乗り換えて松江観光に出かけた.松江からバスとフェリーを乗り継いで,いよいよ今回の旅の目的地・隠岐諸島に足を踏み入れることとなる.

4. 知夫里での一夜

1/30(月) 17:49 民宿なかはま

隠岐諸島・知夫里(ちぶり)島

フェリーが着岸した来居(くりい)港からループ橋を登って,少し進んだところに今回お世話になる民宿はあった.

過日の大雪で積雪の心配もあったのだが,道路に雪はなく,山の斜面にうっすら積もってるくらいだった.

宿に着くなり荷物を置いて,夕食の時間まで知夫里島を散歩することにした.

17:05 野生のタヌキ

民宿の裏山にはタヌキがいた.知夫里島には島外から持ち込まれたタヌキが大繁殖しており,人間よりもタヌキの数の方が多いんだとか.

17:07 保育園で飼われているヤギ

宿を出てすぐのところに保育園があったのだが,園内に黒ヤギがいて驚いた.

17:13 河井湧水

道路に出るとすぐに水汲み場が現れる.

17:23 知夫漁港

坂を下ると集落が見えてくる.知夫里島で一番大きな集落で,周辺には知夫村役場と小中学校,図書館が立地している.ちなみに,知夫村は島根県で唯一の村である.

17:27 天佐志比古命神社(一宮神社)

集落には神社がある.大きなしめ縄が美しい.

17:28 一宮神社からの眺め

後ろを振り返ると集落を一望できる.

17:34 知夫漁港

神社から再び漁港に降りてくる.漁港の周辺には村唯一の商店と焼肉店があった.周囲は徐々に暗くなってきており,夕食の時間も近づいてきたので民宿に戻ることにした.

18:44 夕食

民宿に戻ってお風呂に入ってから夕食をいただく.夕食は魚中心で,海鮮好きの私からするとご馳走だった.左上のコロッケは,めかぶとサザエを使ったもので,この民宿の名物だそうだ.来居港のお土産店で購入することもできる.

美味しく夕食をいただいた後,私には宿の人に1つだけ確認しておきたいことがあった.実はこの翌日,来居港の観光協会で電動自転車を予約しており,知夫里島の主要な観光地「赤壁」「赤ハゲ山」を巡る予定だったのだが,積雪の影響で自転車では行けないかもしれないと心配していた.自転車が無理なら,島内を走るバス(普通乗用車で運行されていたが…)や,タクシーを使う選択も考えていたのだ.

宿のお姉さんはとてもお喋りだった.雪についてはたぶん大丈夫だろうと言われてとりあえず一安心したのだが,「赤ハゲ山」は標高300mあり,そこに雪が残っている可能性は否めなかった.翌日の予定について伝えると,赤壁と赤ハゲ山への道順を事細かに教えていただいた.その他にも,綺麗な砂浜がある島津島や,隠岐で一番古い集落がある古海地区だったり,さらにはおすすめのタクシー運転手の情報まで教えていただいた.最後にはしまねっこのステッカーまでいただけて,ホスピタリティ溢れる優しい方だった.

その日の晩.1月末ということもあり外は寒かったのだが,暖房をつけていた部屋に帰ってもいまだに寒い.流石におかしいと思い暖房の温度を上げたり,風量を上げたりしたのだが,まだ寒い.どうやらこの宿の空調は調子がおかしいようだった.寒い部屋の中で毛布と羽毛布団にくるまって,一夜を明かした.

1/31(火) 7:31 朝食

翌朝.健康的な朝食とともに一日が始まる.朝食もとても美味しく,ご飯のおかわりを頼んでしまうくらいだった.

8:16 来居港付近

宿を出発し,いよいよ電動自転車を借りるために来居港に戻る.数日前までの隠岐の天気予報は雪だったのだが,この日は嘘のように晴れていた.


5. 青天の赤壁


8:35 観光協会で電動自転車を借りる

来居港の中にある観光協会で電動自転車を借りた.3時間で2,200円するのだが,その分自転車の性能はいい.大容量のバッテリーがついたe-bikeで,坂道もラクラク漕げる優れものだ.

8:45 知夫漁港にて

昨日訪れた漁港に出ると,空はすっかり晴れていて,気持ちの良い自転車日和だった.

8:48 集落を見下ろす
8:51 1つ先の集落

漁港からはアップダウンの激しい道が続くが,e-bikeならどうってことはない.

8:52 道端に現れた牛

坂道を下っていると,目の前に牛が現れた.知夫里島では肉牛の放牧が盛んだそうだ.そういえば前日,宿のお姉さんに道順を尋ねた時に,牛が平気で道路に立ってることや,道路に大量に牛糞が落ちていることを耳にしていた.さすが牛の島・知夫里である.

9:02 うっすら雪が積もる道路

集落をもう1つ越えた先,さらに坂道を登ると,道路にうっすらと雪が積もっていた.今後の行程に一抹の不安を覚えながらも先に進む.

9:14 大きな道から外れて農道を進む

大きな道から外れて農道を進んでいく.あたりには放牧された牛が何頭もいて,マリオカートのモーモーカントリーを進んでいる気分になった.若干雪が積もっていたが,気になるほどでもない.

9:18 さらに農道を進む

進めど進めど牛しかいない.牧歌的な風景に癒されながら,先に進んでいく.

9:26 赤壁付近にて

目的地の赤壁は,坂を下った先にあった.自転車を停めて,赤壁まで少し歩く.

9:28 赤壁

その名の通り,赤い壁が広がっていた.写真ではその迫力が伝わらないのが残念だが,赤く色づいた崖が,空の青と海の青と調和して,素晴らしい風景を作り出していた.

9:29 赤壁

写真では伝わりにくいが,すぐ下は崖になっていて,恐る恐る近づいて撮影した.

ここまでは雪の影響もなく,予定通りのサイクリングを楽しんだ.この後いよいよ標高300mの赤ハゲ山にアタックする.


6. カルデラを見下ろして

9:50 赤壁からは上り坂が続く

赤壁を後にして,来た道から左に逸れると,長い長い上り坂が続く.e-bikeの電動アシストをMaxにしてゆっくり登っていく.

9:50 上り坂が続く

坂を登ってきて,明らかに積雪が増えてきた.

9:56 放牧される牛に包囲される

道路を進んでいると平気で牛がうろうろしている.私の周りに牛が集まってきて一瞬包囲されたが,なんとか撒いた.

10:02 いよいよ雪が深くなる

さらに坂道を進むと,恐れていたことが起きた.日陰の部分で雪が深くなり,タイヤが空転し,ついに自転車で進めなくなってしまった.自転車を押して雪をラッセルしながら進んでいく.幸いにも途中から雪はなくなり,漕いで進めるようになった.

10:05 隣の西ノ島を望む
10:05 雪上をe-bikeで進む

さらに先に進むとまた雪が深くなり,自転車を押して進んでいく.

10:09 雪が残る斜面と野生のタヌキ

下を見下ろすと,野生のタヌキがいた.

10:09 少しズームして撮影

雪の残る山の斜面に野生のタヌキ.なんとも可愛らしい.

10:09 轍が見えるほど雪深い
10:10 e-bikeと撮影
10:13 坂を登り切った
10:18 赤ハゲ山山頂を望む

坂を登っていよいよ目的地の赤ハゲ山の山頂が見えてきた.しかし,ここから先は雪深く.自転車では到底進めそうにない.そこで,自転車を置いて歩いて進むことにした.雪をかき分けて慎重に山を登っていくこと約5分…

10:24 島前カルデラを見下ろす絶景

そこには,カルデラを見下ろす絶景が広がっていた.写真中央に映るのは焼火(たくひ)山.そこを中心にハート型に広がる島前カルデラ.右側には中ノ島,正面には西ノ島が広がる.島前の三つの島はカルデラの外輪山で,カルデラの部分が海に沈んで今の地形が出来上がっている.ここまで綺麗にカルデラを見下ろすことができるところは,日本でも珍しいだろう.

10:27 対岸に見える西ノ島
10:37 カルデラを進む隠岐汽船のフェリー
10:37 こちらは小型の漁船だろうか
10:39 来た道を見下ろす.雪深いのがお分かりいただけるだろう

少しすると雲が晴れ,あたりは少し明るくなった.

10:41 西側の斜面を見下ろす

船の時間も迫ってきたので赤ハゲ山を後にして,来居港に戻ることにした.西側の斜面を見下ろすと,右手の道は雪深く,進むのは困難だろうと判断したので,もと来た道を戻り,途中から近道を通ることにした.

10:54 深い雪と牛に行く手を阻まれる

近道はさらに雪深く,自転車を押しては漕ぎ,押しては漕ぎを繰り返した.途中で大きな吹き溜まりの山にぶつかり,自転車を押していくと,行く手の先に1頭の牛がいた.

10:54 番人のように立ち塞がる牛

なかなか牛はどいてくれない.どっしりと鎮座する牛の横を通り抜けようとすると,牛は少し前に進み,道を譲ってくれた.その隙に牛の横を通りぬけて,先に進むことができた.

この先がなかなかにスリリングだった.雪深い道路が続いており,自転車ではなかなか進めないと思ったが,幸いにも轍が残っていた.そこで,その細い轍の間を,まるでスキーのように滑り降りて行った.スキー未経験者の私からすると怖かったが,楽しかった.あっという間に雪深い道路を抜けて,ついに雪のない道路に出ることができた.

11:25 来居港を望むループ橋

30分ほどで来居港まで戻ってきた.こうして,大自然が広がる知夫里島を,積雪が残るなか,無謀にも自転車で回る奇行は無事に終了した.

無謀だったが,行ってよかった.観光客は誰もおらず,牛とタヌキしかいない,そんな冬の知夫里島の絶景を独り占めできた.それだけで大満足だった.

こうして知夫里島を満喫した後に,私は次なる島へ向かうのであった…

つづく

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