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【英語文法】時制の一致というルールはない

中学校から習う「ルール」に、時制の一致というものがあります。たとえば、「昨日僕は鉛筆が欲しいと言った」という文を「英訳」する場合:

Yesterday, I said that I want a pencil.

ではなく、

Yesterday, I said that I wanted a pencil.

にして、過去形でそろえましょう、というものです。ただ、これは、ルールでもなんでもなく、むしろそうしない理由が見当たらない、きわめて当たり前の話です。今回は時制の一致はきわめて当たり前で、別にルールでも何でもないという話をします。

前提:未来形は無い

今回の話を進めるうえでまず明確にしておくべきことは、英語に未来形というものは存在しないということです。will や be going to が未来形じゃないかという反論が飛んできそうですが、これらはいずれも、現在形です。

will は「そんときの意思」で、be going to は、「ある方向性に現在向かっているという状態」です。いずれも視点の向く先は現在であり、まぎれもない現在形になります。

以上の前提を踏まえて本題に入ります。未来形はないので、時制について考える場合は、現在と過去だけです。

動作としてできることと、ムリなことを考えればよい

時制の一致というかたい言葉を使うから難しく感じてしまいます。時制どうこうの話はひとまず置いといて、冒頭の鉛筆の例文で考えます。なぜ、

Yesterday, I said that I want a pencil.

はダメなのでしょうか。結論からいうと、このような動作はそもそも不可能だからです。

私が発言したのは昨日です。そのことを、現在から過去に視点が向く方向で、距離感をもって振り返っています。そして、欲しいという感情が湧いていたのも、昨日です。

もちろん、昨日欲しいと思っていて、結果的に今日も欲しいと思っている可能性もおおいにありますが、それは、昨日の時点ではまったく知りえない不確定要素です。昨日欲しいと思っていたけど、今日はいらないと感じている可能性もあります。

つまり、昨日の時点で、今日どうなっているかを説明できるはずがない、そのようなことはそもそも無理だという、ただそれだけの話です。ですから、

Yesterday, I said that I wanted a pencil.

のように、昨日私は何か言った。昨日という時点で鉛筆が欲しいという気持ちがあった、という形になるのは至極あたりまえのことです。

現在の動作で過去のできごとを参照する場合

前のセクションでは、過去の動作で現在の動きを参照することはそもそもムリだという話をしましたが、逆はどうでしょうか。これは可能な動作です。

たとえば、昨日ランチを食べたことを覚えているよ、と言いたいとして:

I remember that I had lunch yesterday.

という動作は、可能な動作です。つまり、昨日を振り返って、あのときランチを食べたなあ、と、今思考を働かせて説明することは動作としてできます。これも、別になんともないふつうのことです。

過去から今現在を参照する場合はどうなる

ただ、ここまでで、過去に今現在のできごとを参照する場合だってある、という意見を持った人もいると思います。たとえば、3日前に、その日の3日後(つまり今)になったら30歳になります、という発言をした場合はどのように英語で説明すればよいでしょうか。答えから先に書くと:

3 days ago, I said that I was going to turn into 30 in 3 days.

3 days ago, I said that I would turn into 30 in 3 days.

です。ただ、これは過去から現在を参照する形ではなく、過去のある時点で、そんとき(過去)の方向性を説明している形になっています。

ここで思い出してほしいのが、英語に未来形はないということです。3日前にその3日後に30歳になるという説明は、3日前の動作の方向性がどうなっているかという形で表現します。

まとめ

時制の一致とは、過去の時点の立場から現在のできごとを説明できるはずがないという、至極あたりまえのことをお固く表現しただけにすぎません。通常の発想で英語を組み立てる場合、時制の一致など考えずに正常な文になるので、「時制の一致のルール」など忘れてもよいと思います。

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