村松静枝 ワイン大好き英日翻訳者

英日(出版・実務)翻訳者。夢はワインに関するミステリー翻訳。訳書は『料理メニューからひ…

村松静枝 ワイン大好き英日翻訳者

英日(出版・実務)翻訳者。夢はワインに関するミステリー翻訳。訳書は『料理メニューからひもとく歴史的瞬間』『世界のワイン図鑑8』『土とワイン』『世界のウイスキー図鑑』等12冊(共訳・翻訳協力含)。実務は社内資料や広報が中心。仕事や日々の思いを記録。お仕事のご依頼お待ちしています。

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訳書の紹介をします(2023年11月現在)

はじめまして 英日出版・実務翻訳者の村松静枝と申します。 最初にこれまでの翻訳作品(共訳・翻訳協力含む)を刊行年の新しい順に紹介させてください。(2023年11月現在) ◆『カッティングボードスタイリングレッスン』(エミリー・ディレイニー著 グラフィック社刊) 2023年7月発売 ◆『料理メニューからひもとく歴史的瞬間』(ヴィンセント・フランクリン、アレックス・ジョンソン著、ガイアブックス刊)2021年7月発売 http://www.gaiajapan.co.jp/bo

    • タイトルを付けるほどの内容でもなく……

      たいしたことではないし、ましてやこうしてnoteに書く価値もないことだけれど、自分にとってはちょっとした出来事だし、記録するのは自由だから書いておく。 買ってきたお米を容器に移していたら少し床にこぼしてしまい、フローリングのすきまに数粒はいりこんでしまったので、掃除機を引っ張りだしてきてスイッチを入れた。 すると、年末の大掃除のときに気になった現象にあらためて気づいた。掃除機の吸引力がどうも弱いのだ。「ヴィーン」とモーター音をたてて米粒を吸いこみはするものの、床面にくらいつ

      • 読書の記録:『くもをさがす』読了

        読了 『くもをさがす』 西加奈子著 河出書房新社刊 1540円(税込み) 作家の西加奈子氏が居住先のカナダはバンクーバーで乳がんを患い、慣れない異国の医療事情やコロナ禍と闘った日々を綴ったノンフィクション。 こう書くと、ひたすら辛い内容だと思われそうだけど、けしてそうではない。彼女がバンクーバーで出会った、優しく頼もしい友人たちの心強い支援や、患者の名前をまちがえたりとやや雑ではあるけれど温かい言葉と行動で彼女を励ましてくれる医師や看護師たちの様子が明るく軽快な筆致で描か

        • No! I Don't Want to Join a Bookclub のレジュメ(翻訳出版企画書)を公開します

          こんにちは。英日出版・実務翻訳者の村松静枝です。こちらを訪問してくださり、ありがとうございます。10年以上前に本作のレジュメを作成し、数社の出版社でご検討いただきましたが、どのジャンルに入るかわからない、Chicklitの翻訳物は難しい、といった理由で邦訳出版に至りませんでした。 本作をひとことで言うなら、”ブリジット・ジョーンズの日記 その30年後”です。大人気を博した『ブリジット・ジョーンズの日記』と同じように全編が日記形式で書かれ、60歳を迎える女性の、加齢や交友関係

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          読書の記録:『終りなき夜に生れつく』アガサ・クリスティー 

           車の運転手や修理工、ホテルのウェイター、セールスマンなど転々と職を変えて気ままに生きている主人公マイクは、”呪われた土地”といわれのある「ジプシーが丘」と呼ばれる地所を気に入り、同時にエリーという大富豪の女性に出会い、恋におちる。エリーもジプシーが丘をいたく気に入ったため、二人はこの地を購入して結婚、マイクの友人である天才建築家に依頼して、夢の家を建てて暮らし始める。ところが……。  最初からなんともいえない違和感を抱えながらの読書だった。こんな読み方をしたのは初めてかも

          読書の記録:『終りなき夜に生れつく』アガサ・クリスティー 

          電車にて

          コロナ禍が収まりつつある昨今でも、電車内で会話することには少しためらいを感じる。以前なら、新幹線などで長距離を移動する際は、隣り合わせた乗客と少し会話を交わすこともあったけれど、件のウイルスが猛威をふるうようになってからは、「車内での会話は最小限におひかえください」などというアナウンスが当たり前のように流れるようになり、くしゃみや咳をしただけでもにらまれるご時世となった。 けれどつい先日、電車で隣り合わせた乗客と素敵なひとときを過ごした。 その日私が乗った電車は、車両の側

          ワイン会にて――先輩の言葉から学ぶ

          先日、知人宅で開かれたワイン会でジュヴレ・シャンベルタンを飲んだときのことだ。私よりふたまわりほど先輩の参加者Aさんがこう話していた。 「ジュヴレ・シャンベルタンといえば、昔はもっと力強いワインだったの。でもいまはずいぶんと軽くなって、これがあの産地のワインだと言われても、どうも納得できないの……。だけどワイン造りの流行がそちらに向かっているのなら、もうそういうものだってことよね」 この言葉をきいてハッとした。ワインエキスパート資格試験教本ではフィサンの項に「ジュヴレ・シャ

          ワイン会にて――先輩の言葉から学ぶ

          ワインエキスパートへの道 その5

          このところずっと投稿する時間が取れず、気づいたらワインエキスパート二次試験の前日になってしまった。昨年の今ごろは自分も対策に必死だった。とはいえ、ほとんどの飲食店がコロナ対策で店内での飲食を制限されてしまい、本来なら毎年この時期に試験対策として単一品種のワインをテイスティンググラスで提供してくれる店でも、ワインをいただくことはできなかった。 そのためオンライン講座に申し込み、小瓶に入ったワイン数種類のセットとグラス、テイスティングシートをパソコン前に並べて、画面のむこうの講

          ワインエキスパートへの道 その5

          ワインエキスパートへの道 その4

           そろそろ今年のワインエキスパート一次試験が始まる。去年の自分の心境を思い返すと、胃が痛くなりそうだ。この時期は教本から重要事項をノートにまとめ、問題集を何度もやり、記憶を定着させようと必死だった。これはお勧めできないやり方だが、ボルドーの格付けとドイツのワイン法については、何度教本を読み返しても、何度問題をやっても覚えられなかったため、時間をかけるだけ無駄と判断し、ばっさり諦めた。若い方なら脳がいくらでも吸収してくれるだろうが、私の年齢では無理だった。  試験は2回受験す

          ワインエキスパートへの道 その4

          ワインエキスパートへの道 その3

           今回は座学から離れた試験勉強について書こう。  昨年、つまり2021年の日本はコロナ禍2年めを迎え、好きなように外出してワインを楽しめる機会は少なかった。そんな状況でも、ときにはなじみのお店に出かけていって常連さんのワイン談義に耳を傾けたり、少人数で集まってワインを飲んだりして、憂さばらし、もといワインを味わう勉強を続けていた。  なかでも、既にワインエキスパートを取得された先輩が少人数で開催してくれたブラインド・テイスティングの勉強会では、自分の好きなブルゴーニュのピ

          ワインエキスパートへの道 その3

          ワインエキスパートへの道 その2

           ワインエキスパート一次試験の勉強は3月から8月まで毎月2~3回、毎回3時間ほどマンツーマンで講師の指導を受けた。分厚い教本から重要ポイントにしぼって解説してもらい、教本に蛍光ペンで線を引くというやり方で勉強を進めていった。ワイン書籍の翻訳時は不明な内容にぶつかるたびごとにネットや参考書籍で調べ、締め切りに追われながら訳していた。やや乱暴に言えば「つまみ食い」だ。そうした知識を、国や地域ごとに整然とまとめられたテキストでじっくり学んでいくのはとても楽しく、正直もっと早くから学

          ワインエキスパートへの道 その2

          ワインエキスパートへの道 その1

          「ヴィオニエ! これ絶対にヴィオニエだ」 。声を出すことはできなかったため、心の中で叫んだ。2021年10月18日、目黒雅叙園のバンケットルームでのことだ。  2021年の3月から、日本ソムリエ協会が主催するワインエキスパート資格の試験勉強を始め、老いた脳細胞を無理やりフル稼働させて、分厚い教本の内容を頭にたたき込んで約5カ月間を過ごした。  それまでに数冊のワイン書籍を翻訳する機会に恵まれてきたけれど、しっかりと系統立てた勉強をしていなかったことが、私にはコンプレックス

          ワインエキスパートへの道 その1

          ワインとドラマ

          ドラマや映画にワインが登場すると思わず身を乗り出してしまい、何を飲んでいるのか、ワインについて何か語るだろうかと気になり、肝心のストーリーが頭に入らないことがあります。 米ドラマ『メンタリスト』シーズン4第14話はまさにそんな展開。 『メンタリスト』の概要はこちらです。http://www.superdramatv.com/line/mentalist/story/ あらすじは、ナパ・ヴァレーと思われるワイン産地で小規模ワイナリーを経営する女性イヴに、彼女にダンスを教え

          甥っ子がやってきた

          1歳になる甥っ子がいる。 まだ正体のはっきりしなかったコロナへの不安に世の中全体がおびえていた2020年後半に生まれた。「無事に出産」の知らせを聞いた時は、よくぞ生まれてきてくれたと涙が出たのを覚えている。何よりも、母であるお義姉さん――といっても私よりひと回り以上お若い――は、ただでさえ初めての経験に心配でいっぱいなところに、コロナという恐ろしい敵との闘いを強いられながらの出産となった。どんなに神経をすり減らしたことだろう。そう思うと、コロナ禍が始まって以降に赤ちゃんを授

          いとしい古本

          あるエッセイの原書リーディングを依頼され、この2週間ほどかかりきりになっていた。リーディングとは、"reading"だ。ただし単に原書を読むだけでなく、著者の紹介、梗概(あらすじ)、感想、類書の紹介と比較、原書の文体の分析、訳す上での留意点、日本での受け入れについての予測など、その原書をあらゆる方面から分析してA4数枚にまとめる仕事である。正直に言うと、訳すよりも難しく、ときとしてつらい仕事になる。特に類書を探すのが大変だ。2週間という短い期間に対象の原書を読むだけでなく、類

          すべてはベイ・シティ・ローラーズから

          少しあいだがあいてしまいました。今日は英語を好きになったきっかけから訳書を初出版するまでについて、自分の人生をふり返ってみます。 小学校の5年生ごろと記憶していますが、姉の影響もあって、そのころ世界じゅうで人気を呼んでいたベイ・シティ・ローラーズに夢中になったのが英語との出会いでした。まだアルファベットすらまともに読めず、歌詞はまったく理解できなかったものの、軽快なリズムと甘いメロディとレスリーのハスキー・ボイス、女の子のようなルックスのパットやイアン、すべてに魅了されまし

          すべてはベイ・シティ・ローラーズから