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公共交通と徒歩だけで北海道を周遊したときの話&旅の注意点など

今更ながら、公共交通機関と徒歩だけで、北海道を周遊していた時のことを、記録がてら書いていきたいと思う。

旅行をしていた期間

2022年の春(4月下旬)から初冬(12月上旬)までの期間、北海道を旅していた。
といっても、その期間中ずっと旅行をしていたというわけではなく、
それぞれの旅行の前後には2週間~1か月くらいの休みを挟んでいたので、
実際に旅行をしていた期間は、約3か月間だった。

移動手段

旅行における移動手段は、公共交通機関と徒歩だけ。
公共交通機関には、飛行機や鉄道、バス、フェリーが含まれるが、
一連の旅行ではフェリーを使うことはなかった。

旅行でよく使う公共交通機関の筆頭は、やはり鉄道だろう。
鉄道利用はJR北海道の特急が多く、2022年当時発売されていた
HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」というお得な切符が役に立った。

とはいえ、北海道は国鉄末期~JR初期に鉄道が廃止された区間が多く、
鉄道だけで移動できない地域も多いため、
路線バスも重要な移動手段になる。

北海道の路線バスは、鉄道の「代替バス」として運行されている系統も多く、本州のバスでは考えられないほどの長距離を走るものもある。

昨今は人口減少などが原因で、代替バスの本数も減りつつあるが、それでもまだギリギリ利用できるくらいの本数は確保されている。

一連の旅行で利用した主な鉄道代替バスは、以下の通り。

  • 天北線(宗谷バス:稚内~浜頓別~音威子府)

  • 興浜北線(宗谷バス:枝幸~浜頓別)

  • 興浜南線(北紋バス:雄武~興部)

  • 名寄本線(名士バス、北紋バス:名寄~興部~紋別~遠軽)

  • 羽幌線(沿岸バス:留萌~羽幌~幌延)

  • 留萌本線(沿岸バス:留萌~増毛)

  • 深名線(ジェイアール北海道バス:名寄~幌加内~深川)

  • 標津線(阿寒バス:中標津~標津)

  • 士幌線(十勝バス:帯広~上士幌)

  • 広尾線(十勝バス:帯広~広尾)

  • 日高本線(道南バス、ジェイアール北海道バス:鵡川~様似)

  • 胆振線(道南バス:俱知安~伊達紋別)

  • 江差線(函館バス:木古内~江差)

  • 北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線(十勝バス、北海道北見バス:北見~陸別~帯広)

  • 歌志内線(中央バス:砂川~歌志内)

  • 上砂川支線(中央バス:砂川~上砂川)

  • 松前線(函館バス:木古内~松前)

  • 瀬棚線(函館バス:長万部~瀬棚)

書き出してみると、北海道における鉄道代替バスの多さが分かる。
しかしながら、これらのバスのうち、胆振線代替バスは一部区間が廃止、
天北線バスも一部区間がデマンド化される予定など、代替バスそのものが
廃止、あるいはデマンド化されることも珍しくなくなりつつある。

また、広い北海道を効率よく移動したい場合は、飛行機も重要な移動手段になる。

一連の旅行では、札幌の丘珠空港から、函館空港に行く路線と、新千歳空港から、中標津空港へ行く路線を利用した。
丘珠から函館、釧路へ行く路線は、25歳以下限定の「スカイメイト」を使えば片道5000円ちょっとで利用できるので、若者におすすめの手段と言える。

また、稚内や中標津、利尻、奥尻など、陸路やフェリーではアクセスに時間がかかる地域に行く際も、飛行機は大きな力を発揮する。

千歳から中標津、稚内へ行く路線に関しては、25歳以下運賃でも割とお高めではあるが、早割運賃を使うと安く済む。

宿泊

旅行に欠かせない宿泊だが、一連の旅行では「どうみん割」や「HOKKAIDO LOVE!割(全国旅行支援)」を利用して、ビジネスホテルに泊まることが多かった。

特に道内の主要都市には必ずある「東横イン」は駅から近く、その上宿泊料金も安く、予約もしやすいため、頻繁に利用していた。

しかしながら、東横インなどの大手ビジネスホテルがない地域もある。
そのような地域で宿泊する際は、当然ながら地元資本の宿を利用することになる。

地元ローカルの宿は、インターネット予約に対応していないところも多く、電話で予約をしなければならないこともあった。

私が一連の旅行で利用した、大手チェーン以外の宿は、

  • 浜頓ホテル(浜頓別町)

  • ビジネスホテルアルム(ARM)もみの木(中標津町)

  • ホテルいのう(岩内町)

  • スマートホテル俱知安(俱知安町)

  • クラッセイン木古内(木古内町)

  • 温泉ホテルきたひやま(せたな町)

  • ホテルねむろ海陽亭(根室市)

  • ホテルレウスアショロ(足寄町)

  • ホテルニューホワイトハウス(留萌市)

などだった。
利用した宿泊施設はいずれも過ごしやすく、「ハズレ」と思った施設はほとんどなかった。

食事

旅行における食事と言えば、その地域の特産を食べたり、そこにしかないお店に行ったりするのが一般的だろうか。

しかしながら、私の一連の旅では、特産品を食べることはあまりなかった。
基本的に、昼ご飯は地元のお店やセイコーマートで済まし、夕飯はセイコーマートで買って宿で食べることが多かった。

昼ご飯を地元のお店で食べることが多かったのは、もちろん地元のお店の方が「旅感」を味わえるからという理由もあるが、そもそもチェーン店がほぼない、あるいは全くないエリアが多い(車社会のため、国道沿いにしかチェーン店がなく、駅周辺は個人店が多いという場合も含む)からという理由もある。

セイコーマートを頻繁に利用した理由は、価格がリーズナブルで美味しいのと、「どうみん割」のクーポンを手軽に使えるからだ。
それに、セイコーマートは道内179市町村中、175市町村に店舗があり、北海道のほとんどを網羅している。
旅行で訪れる地域にはだいたいセイコーマートがあるため、安心感がとても強かった。

なお、セイコーマートがない自治体に行った時もあったが、その時は
ローソン(浦臼町)や、個人商店(神恵内村)を利用した。

旅費は合計でいくらかかった?

約3か月間北海道を旅した結果、旅費は約50万円ほどかかった
1日当たりに換算すると、5500円くらいになるので、安い方ではないかと思う。
「どうみん割」で宿泊費用を、「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」で交通費を抑えられたので、この額で済んだのだと思う。

公共交通機関でのアクセスが難しい自治体

北海道の179市町村の中で、特に公共交通機関でのアクセスが難しい自治体をご紹介する。

赤井川村(後志地方)

札幌市と隣接している地域だが、実際は小樽市を経由して行かなければならない。
中央バスの路線バスが廃止され、現在は村が運営するバスが運行されている。
JR余市駅から赤井川村までバスで移動できるが、本数は極めて少ない。

中頓別町(宗谷地方)

宗谷地方の内陸に位置する自治体。JR天北線の廃止代替バスが運行されているが、本数は極めて少ない。
旭川から高速バスでアクセスすることも可能だが、旅行者には使いづらいダイヤになっている。

日高町(旧日高町エリア:日高地方)

門別競馬場で有名な日高門別も日高町だが、そこはまだアクセスしやすい。
問題は、内陸部にある旧日高町のエリアである。
旧日高町には、占冠村や富川(日高町)方面から路線バスでアクセスすることができる。
占冠村からのバスは比較的本数があるが、そもそも占冠村に行くのがやや大変だ。
富川方面からのバスは本数が少なく、それでいて苫小牧から1本で行くこともできないため、かなり不便である。

北竜町(空知地方)

空知地方北部に位置する北竜町。
かつては中央バスによる路線バスがあったが、廃止され、現在は町営バスが運行されている。
町営バスの運賃は片道100円と安いが、運行本数は極めて少ない。
また、札幌と留萌を結ぶ高速バスの一部も北竜町内に停車する。
やや本数は少ないが、札幌から行く際はこちらを利用する方が便利だろう。

島牧村(後志地方)

後志地方西部に位置する島牧村。
島牧村には、寿都町から路線バスが出ているが、本数が少ない。
それに加えて、寿都町に行くのも若干の手間がかかるし、寿都や島牧には宿泊施設も少ないため、滞在する難易度も高めだ。
岩内町まで行けば、まだビジネスホテルがあるが、本数の都合上、岩内と島牧村を日帰りで往復するのは土休日を除き、不可能である。

佐呂間町(オホーツク地方)

北海道内、いや、もしかしたら日本国内で最も公共交通機関でのアクセスが難しいかもしれない自治体が、この佐呂間町である。
何を隠そう佐呂間町には、町外からアクセスできる公共交通機関がほとんどない。
平日には北見や網走、遠軽から「通院用」に運行されるバスに便乗する形で、町内にアクセスすることができる。
しかしながら、土休日は病院が休みのため、当然ながら通院用バスは運行されない。
つまり、土休日は町外から路線バスでアクセスすることが不可能になるのである。

ただ、佐呂間町には札幌からの高速バスもある。
これを聞くと、「札幌から直接行けるなら余裕じゃん」と思われるかもしれない。
ところが、実際はそれほど甘くはない。
佐呂間町に停車する「イーグルライナー」という高速バスは、
札幌を23:15に出発し、佐呂間町の「若佐」という地域に午前3:30に到着する。
つまり、たったの4時間ちょっとしかバスで休めないというわけである。
それに、佐呂間町の「若佐」は佐呂間町の中心部ではない、ただの集落の1つである。
午前3:30に降り立ったところで、周辺で時間を潰せる場所などなく、ただただひたすら夜明けを待たねばならないということだ。

以上の通り、佐呂間町は北海道内で最も公共交通機関でのアクセスが難しい自治体である。
あまりにもアクセスが困難なので、私は北見市の常呂町から徒歩で佐呂間町まで行った。

公共交通機関で旅行をする際の注意点

北海道は札幌圏や旭川、函館周辺などを除き、公共交通の便はあまり良くないことが多い。
そのため、公共交通機関で旅をする際は、あらかじめ注意しておくべき点がある。

①交通系ICカードは使えないので、現金(小銭)は必携

北海道内の鉄道で、交通系ICカードが使えるのは札幌近郊や函館市電のみで、他の地域では使えない。
(将来的に、JRの旭川函館近郊エリアで使えるようになる模様)

また、路線バスに関しても、札幌近郊や函館バス、ジェイアール北海道バスの日高エリアを除き、ICカードを使うことはできない。
そのため、現金はある程度持っておく必要がある。
特に路線バスでは、運賃を払う際、小銭を使うことも多いため、10円玉や100円玉を多めに持っておくと良いと思う。

②本数が極めて少ないこともあるため、時刻表を確認しておく

北海道の鉄道、路線バスの中には、運転本数が極めて少ないものもある。
「1時間に1本くらいはあるだろ~」と高をくくっていると、実際の本数とのギャップに驚かされるかもしれない。
人口の少ないエリアであればあるほど、本数は少なくなる傾向にあるため、
公共交通で北海道を旅行する際は、あらかじめ時刻表を確認することが必要だ。

③駅、バス停周辺に暇をつぶせる場所はあるか調べておく

公共交通を使う旅の場合、列車やバスが来る時間まで、時間を潰さなければならないことがある。
都市部ならともかく、集落レベルの地域になると、周囲に暇をつぶせるスポットがないことがある。
それでも気候が良い時期ならまだ問題はないが、冬期や、悪天候時など、長時間外にいるのが難しい場合もある。
駅舎やバス停の待合室がしっかりしていて、とりあえず身を隠すことができれば良いが、そうでない場合は周囲に逃げ込める場所があるかどうか、あらかじめ調べておくことが重要になる。

④通学時間帯は、学生による混雑に注意

北海道のローカル線やローカルバスは、基本的にはガラガラである。
しかしながら、学生が通学する時間帯と重なると、都市部も顔負けの混雑状態になることもある。

通学時間帯の列車やバスは、需要に対応するため増発されていることが多いが、それでも激混みになることがある。
とはいえ、通学時間帯を完全に避けて移動するのは難しい。
そのため、あらかじめ周辺地域に高校があるか、あるなら、高校の最寄り駅、バス停はどこかを確認して、混雑しそうな区間を予測しておくと対策がしやすくなる。

その他、注意すべき点

最後に、北海道旅行をする際(公共交通機関の利用にかかわらず)の注意点を書いていく。

①ヒグマの出没情報をチェックしておく

北海道ではヒグマの出没が頻発しており、人が住むエリアに熊が出てくる事も珍しくはない。
旅行をしていると、気づかぬうちにヒグマの出没エリアに立ち入ってしまうことがあるため、あらかじめ自治体や北海道のホームページなどを確認し、周囲にヒグマが出没していないかを調べておくことが必要だ。

②北海道民の運転には要注意(特に郊外)

私見が含まれるが、北海道民の運転はお世辞にも良いとは言えず、自分のことしか考えない粗暴な運転をする人も多い。
そのため、レンタカー等で北海道を移動する際はもちろんのこと、公共交通や徒歩の場合であっても、北海道民の運転に注意を払うことが必要になる。
具体的には、

  • 片側一車線の道路でも、急な追い越しをされる可能性がある

  • 急に速度を落とすと、追突されるリスクがある

  • ロードサイド店舗が集まるエリアでは、道路から突然車が店の駐車場に入ってくることがあるため、車の挙動に注意

  • 信号が青になっていても、信号無視をしている車がいないかよく確認する

  • 飲酒運転をしている車がいることを考え、夜間はなるべく外に出ない

  • 横断歩道を渡る際は、車が急に入ってくることを想定し、早歩きで渡る

  • 夜間、明かりの少ない場所を歩く際は、懐中電灯などを使って光を出し、車に存在をアピールする(気付かれないと、人がいないと思われて猛スピードで突っ込まれる可能性がある)

③悪天候時のリスクヘッジをしておく

北海道では冬季はもちろんのこと、夏季でも台風などの影響で、天候が悪化する場合がある。
悪天候によって、飛行機や鉄道が運休になったり、道路が通行止めになったりする可能性もあるため、旅行をする際はあらかじめ気象情報を確認することが求められる。
また、万が一悪天候に襲われたことを考え、旅行の代替案を考えておくことも大事になる。

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