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祝日徘徊:みどりの日は公園へ

本日は札幌市東区にある、モエレ沼公園方面に向かう。
札幌市営地下鉄東豊線の新道東駅前よりスタート。

新道東駅は名前の通り、札幌新道が通っているすぐ側に駅がある。
札幌市の中でも郊外寄りの地域で、駅前はマンションこそ多いが、飲食店はほとんど見られない。

札幌新道沿いであれば、バーミヤンや山岡家、半田屋などの飲食店、そしてニトリ等の小売店も充実していることから察するに、この辺の地域になると公共交通よりも自家用車が圧倒していることを見て取ることができる。

新道東駅前から北上し、市立栄南中学校の辺りで右に曲がり、そこからはひたすら真っすぐに進む。

丘珠空港

すると、だいたい20分ほどで丘珠空港に辿り着く。
丘珠空港と言えばトキエア。
今まで知らなかったが、トキエアの新潟~仙台便が4月下旬から運航されているらしい。
北海道に居る間に、みるみるうちに色々な変化が起きているな。

丘珠空港緑地

丘珠空港には寄らずに、そのまま空港通りを東へ進んで「丘珠空港緑地」に入る。

空港緑地を経由することによって、交通量の多い幹線道路を避けて歩くことができる。

青線を通ることで、幹線道路を避けて移動できる

空港緑地からは、丘珠空港を離発着する飛行機の様子を見ることができる。

私は以前、丘珠でアルバイトをしていたから、この辺の地理はそこそこ知っている。
毎日のように、駅から徒歩で丘珠まで移動していた。
もちろん路線バスも通っているが、高校生が多く混んでいたのと、冬季で遅延が発生しやすかったので、行きは基本的に徒歩だった。

丘珠は札幌の中でも特に冬が厳しい地域だが、歩いて通勤するのは意外と平気だった。
札幌としては珍しく、マイナス18度まで気温が下がった日もあった。
気象庁の記録ではないが、「さっぽろお天気ネット」ではそう表示されていたし、当時Twitter(X)ではマイナス15度以下になった気温計の画像をアップしている人が数人いたので、かなり寒かったのは事実だろう。

飛行機を模した遊具
セイコーマート丘珠店付近

丘珠空港緑地を抜けたら、苗穂・丘珠通りを北上する。

その後はグーグルマップの指示に従い、丘珠墓地付近から小路に入る。

札幌市の地下鉄沿線エリアは、ほとんど宅地化されて畑は見られないが、丘珠まで来ると、広大な畑を見ることができる。

幹線道路沿いは車やバイクの音が煩いことがあるが、ここなら快適に歩くことができる。

丘珠高校グラウンド

狭い道をひたすら歩き続け、北海道札幌丘珠高校まで辿り着いた。
以前「札幌の地名が分かる本」で知った(というか気づかされた)ことだが、札幌市内の高校は頭に「札幌」と付けられていることが多い。

「札幌」と冠されない高校は「藤女子高校」や「北星学園女子高校」「北海高校」など私立ばかりで、公立校は北海道有朋高校を除く全てが「札幌○○高校」という名称になる。

建築規制区域

丘珠高校は「北丘珠」という地域にある。
北丘珠は東区の中でも特に端っこに位置していて、「買い物難民」が問題になったこともある。
バスは1時間に1本くらいはあるので、スーパーが近隣になくてもそんなに問題ないのではと思ってしまうが、これは本州と北海道の意識の違いだろうか。

私の地元(新潟)の田舎は、最寄りのコンビニまで徒歩1時間くらいはかかるし、スーパーはさらに遠い地域だったが、買い物難民が問題になったことは聞いたことがない。
北丘珠や最近スーパーがなくなった夕張市末広の例を見てみると、なぜ私の地元では買い物難民問題が出てこないのか、不思議で仕方がない。

北海道以上に車社会だからなのか、若い家族と同居している人が多いから問題がないのか、そもそも人が少なくて問題が表出しないのか、突き詰めて考えてみると面白そうだ。

(若い家族との同居率や、問題が表出しづらい点が関係していそうだ。札幌はもちろん政令市だから当たり前だし、夕張もマスコミがこぞって取り上げるので問題が明らかになりやすい。さらに夕張のような地域は高齢者の独居率が高く、自分で買い物に出なければならないため、近くにスーパーの有無は死活問題に繋がる。)

丘珠高校を過ぎると、伏古・拓北通りが見えてくる。

たまゆらの杜

伏古・拓北通り沿いには、「たまゆらの杜」という温泉施設がある。
24時間営業だそうで、こんな郊外でも、深夜の需要があるのだろうか?
伏古から丘珠、中沼を通ってあいの里、当別へ抜けられる道だから、昼夜問わず利用があるのだろう。

苗穂・丘珠通りと伏古・拓北通りが交差

ようやくモエレ沼公園が近づいてきた。

モエレ沼公園に入る

新道東駅からモエレ沼公園までは、だいたい1時間10分ほどかかった。
幹線道路を避けながら来たので、安全かつ快適に移動できたと思う。

モエレ山

グーグルマップでは「通常と比べて混んでいます」となっていたが、公園内は人が少なく静かな雰囲気が広がる。

一応桜は咲いていたが、既に散り始めていた。

モエレ沼公園はイサム・ノグチによってデザインされた公園で、人工のモエレ山と「ガラスのピラミッド」が公園のシンボル的存在となっている。

イサム・ノグチと言えば、私の大学にも彼が設計した建物か何かがあったような記憶があって、授業で見せられた覚えがあるのだが、詳細が思い出せない。
早くも、大学時代の記憶が忘却され始めているようだ。

公園西口から「サクラの森」を通って、東口まで来た。

青い自動車がバス停に停まっている

今の時期(4月末から11月初め)は、路線バスが「モエレ沼公園」のバス停まで乗り入れている。

中央バス:モエレ沼公園バス停

それ以外のシーズンは、公園の出口に近い「モエレ沼公園東口」からバスに乗る必要がある。
なお、公園西口にも「モエレ沼公園西口」というバス停がある。

公園の景色だけを見ていると、バスが1時間に1本も来ないような田舎的風景であるが、周辺には中沼や丘珠、東苗穂など、そこそこ人が住んでいるエリアがあるため、バスの本数はある程度確保されている。

「モエレ沼公園」から麻生駅行きバスに乗車した。
残念ながら、ここからバスに乗ったのは私1人だけだった。
まだ午前中だから、帰る人が少なかったのかもしれないが、車だけじゃなくてバスも利用してもらいたいと思う。

バス停には、青色の自動車が停まっていた。
近くの駐車場はがら空きなのに、何でわざわざここに停めるんだか。
運転手も自動車を邪魔に思っていたらしく(当たり前だが)、公園の警備員に「あの青い車、何とかならないですかね?」と話していた。

麻生駅行きバスは東苗穂、伏古、丘珠を通って地下鉄栄町駅に入り、そこから引き続き丘珠空港通りを通って、地下鉄麻生駅に向かう。

バスのルート(青線)

札幌市東区では、鉄道から外れた郊外がかなり広範囲に渡って開発されており、そこでは自家用車だけで生活を完結させるという地方的な生活スタイルが定着している。

最近開発されるようになったエリアということもあり、住民の年齢層は若く、東苗穂の「札苗北」「札苗緑」小学校がともに北海道で最も児童数の多い小学校になっている点から見ても、将来性が高いことが窺える。

自家用車だけで生活できるエリアに勢いがあるというのは、公共交通にとって逆風のように思えるが、実際は必ずしもそうではないと思う。
なぜなら、公共交通(特に路線バス)の「お得意様」は学生であって、子どもが多いなら将来の客の数もそれだけ多くなると言えるからだ。

ローカル路線バスの末路を見ていると、高校が廃校になるなどして学生が利用しなくなった途端、減便から廃止につながるというパターンが非常に多いことが分かる。
(例:JR天北線代替バス 中頓別農業高校の廃校による大減便を経て、昨年秋で一部区間廃止)

政令市札幌の場合、学校の廃校を想定することは現実的ではないが、減便や路線廃止の波が現に来ていることを考えると、学生の存在が防波堤となることに期待するしかない。

学生と同様に、高齢者も路線バスにとって欠かせない存在である。
高齢者人口については、周知の通り年々増加することが予想されているが、2040年代にピークを迎え、それからは減っていくと考えられている。
(全人口に占める高齢者の割合については、2040年代以降も上昇し続ける)

つまり、若者だけでなく、高齢者の数が減り始める時代も、そう遠い未来ではないということなのである。
さらに、高齢者人口が減る一方で、人口に占める高齢者の割合が増加し続けるということは、路線バス運転に従事できる年齢に属する人の数、割合がともに減り続けることを意味する。
したがって、2040年代以降の公共交通事情は地方を中心に、今以上に厳しさを増すことになると容易に想像できる。


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