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【映画感想】オッペンハイマー

公開初日のオッペンハイマーを鑑賞。

科学技術のジレンマ

原子爆弾というかつてない大量破壊兵器が産まれた過程が詳細に描かれる。理論に傾倒していたオッペンハイマーにとって、ピカソやマルクスのような革命的なアイデアを夢見ていたようにも思える。爆弾としての現実が近づくと、「物理学300年の集大成が大量破壊兵器なのか」という問いが重くのしかかる。

賞賛と転落、そして嫉妬

オッペンハイマーの人間的な物語として、賞賛される立場から批判される立場へと転落する過程が描かれる。ありがちではあるが、成功すると足元をすくわれる。調子に乗った些細な発言や行動が、他人の嫉妬を買うことには注意したい。そして、全てを失いかけても、誠実に対応していれば、後に落ち着いて再び認められる。

複数の時間軸、多くの登場人物、爆破の表現

いくつか感想を見ると、分かりにくかったというコメントも散見される。たしかに複数の時間軸が行ったり来たりするし、多くの登場人物が出てくる。予め相関図を見ておくのも良いかもしれない

巻き込まれた的な日本

対ナチスで原爆の開発を急いでいたのに、ドイツが敗北しヒトラーが亡くなると、急に対日本がクローズアップされる。日本で育った立場としては、唐突に当事者的な気持ちに立たされる。複雑な思いではあるが、世界の中での日本という意味でも、見ておく価値があるのではないだろうか。

※写真は昨夏に訪問した広島の原爆ドーム

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