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豚バラ肉のリヨンの作り方

1今日はフランスの郷土料理の一つ「リヨン」をご紹介します。ロワール地方を代表する料理の一つで、フランス風の豚の角煮という感じです。

リヨンは豚の胸肉(日本で言うところのバラ肉)をラードで煮てつくります。本場の作り方ではスパイスとカラメル(フランスのスーパーではArome Patrelleという名前で売られています)が入りますが、今回は簡略化しています。それでも充分においしいですよ。

豚バラ肉のリヨン
 豚バラ肉 600g相当
 塩 肉の重量の0.5%
 白ワイン(辛口) 150cc
 水 500cc
 ローズマリー

豚バラ肉は脂と肉のバランスがとれたきれいな見た目のものを選びます。

スーパーで肉を買えば重量が書いてあるはず。塩の重量はこれを目安にします。

100gを目安に四角いに切った豚バラ肉に塩を振り、20分から30分置きます。 もしくは1%の塩を振って一晩おき、表面を洗ってつくる、 というアプローチもあるでしょう。どちらでも好みで、という感じ。

辛口の白ワインを使います。今回、使用したのは辛口のシェリーのFINOです。普通に 売られている白ワインでもちろんOKなのですが、ワインは保存が問題になるので、こういった料理の場合は長期間、保存が利くシェリーもおすすめです。肉にも魚にも合いますし、開封後も味の劣化が少ないです。

鍋に豚バラ肉を並べ、ワインを注ぎます。

冒頭の動画のように本家本元のリヨンは脂で煮ますが、この作り方では分量の水を張 ります。油を使うと温度管理が大変ですが、水なら100度を超えないため簡単です。水のデメリットは旨味が流出すること。しかし、最終的に水分は蒸発させてしまうの で、最終的には焦げとなってある程度は豚肉の表面に戻り、鍋肌にこびりついた部分はあとでソースにするので無駄なく使うことができます。

沸騰したらアクをとります。最初にアクをとったらもうとりません。この調理法は豚バラ肉自身の 脂で最終的には加熱するため、なるべく脂を残しておきたいからです。

肉の乾燥を防ぐために紙蓋をしました。紙蓋には蒸気が逃げるように穴を開けておけ ます。弱火で1時間から1時間半、水気がなくなるまで煮ていきます。

70分経ちました。水気がなくなると豚バラ肉自身の脂で焼いているような状態になり ます。

こうなったら焦げないように注意して、豚肉の全面にこんがりと焼き色をつけていきます。ローズマリーはこのタイミングで投入します。

全体が焼けました。なべ底が焦げないように注意。

出来上がり。サラダを添えてもいいでしょう。さて、この調理法。通常の豚肉のロー ストとはなにが違うのでしょうか。水が残っているあいだは肉が乾燥することはあり ませんし、加熱温度も100度までしかあがりません。この工程によって豚バラ肉のコ ラーゲンが分解され、とろりとした食感になるのです。
水がすべて蒸発すると今度は脂のなかで焼いている状態になります。表面はカリッと香ばしく、脂肪分は柔らかい。つまり この調理法はコンフィとローストの中間、いいとこどりというわけ。

この後はおまけです。
ちなみに鍋底が焦げていない場合は脂を取り除いた後、水や鶏ガラスープ、アルコー ル(マディラ酒やポルト酒)を加えることでソースに仕上げることができます。ワイ ンを使ってもいいですが、酸っぱくなりがちなのが難点。酒と醤油、みりんでテリヤ キ風に仕上げてもいいですが、おすすめは写真の蜂蜜酒(ミード)です。

蜂蜜酒を注いで、鍋底にくっついた成分を溶かします。

小鍋に移し、さらに煮詰め、バターで仕上げます。酸味と甘味が絶妙なバランスの蜂 蜜酒は肉料理のソースにぴったり。一般家庭ではあまり買わないとは思いますが、もしも手に入ったら試してみてください。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!