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ビーツの塩釜焼き

フランス、パリにあるレストラン、arpageは野菜料理の名店。いくつかあるスペシャリテのなかでも、見た目のインパクトが抜群なのが、このビーツの塩釜焼きです。今では世界中のレストランで真似されています。

シェフのalain passardさんはもともと、肉料理の名人として知られていました。肉料理の調理法を野菜に置き換えたのがこのビーツの塩釜焼きです。

今日はイエロービーツを使っていますが、普通の赤いビーツでも同様に作れます。

塩はオリジナルレシぷに習って、贅沢にゲランドの塩を使いました。ブルターニュの塩です。この料理における塩の役割は断熱材なので、極端な話どんな塩でもできます。しかし、いろいろと試作もしてみた結果、精製塩だとビーツに塩気がつきすぎてしまうのが気になりました。塩の粒子が細かいため、ビーツから出る水分で溶け、それが浸透すると思われます。おすすめはやはりゲランドの塩です。

よく洗って葉を落としたビーツを塩で包みます。

表面を手で抑えて、形を整えます。塩釜焼きというと普通は小麦粉や卵白を混ぜたりしますが、この場合はなにも加える必要なし。

170度のオーブンで1時間(ビーツが200gの場合)焼きます。300gの塊であれば一時間半が目安です。

塩で包んで焼くことのメリットはなんでしょうか。魚や肉、あるいはじゃがいもやビーツといった食材を塩に包んで加熱することで、食材の外側が強い熱にさらされません。塩が断熱材の役割を果たしてくれるからです。また、水分の蒸発を抑えて食材の水分を保つ役割もしてくれます。塩で包んで焼くことで肉や魚がしっとりと焼き上がるのはこのため。

塩は熱を伝えにくいのであまりにも分厚く塩で覆ってしまうと火が入りません。厚さは1cmほどにとどめたほうがいいでしょう。

焼き上がりました。このまま30分以上置いて、落ち着かせます。朝仕込んで夜に食べてもいいでしょう。

塩を砕いて、ビーツを取り出します。

いい感じです。

皮は手で剥けます。

低温でじっくりと加熱することでペクチンが硬化する時間帯を長く保つことができるため、完璧に火が入ります。オリーブオイルとバルサミコを振ってシンプルに仕立ててみました。タプナードを組み合わせるパターンもあります。

この塩釜焼き、客席で塩を砕いて、中身を見せて、キッチンで切り分けて提供すると、演出効果が抜群です。シンプルな料理で深い味を出せるのは塩のマジックですね。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!