四月十日前後(その12)

ダブリン9のリトルマラウイで春を迎えた。

ルームメイトのトーコーは26歳のナイスガイだ。俺と年齢も近くてすぐに仲良くなった。大柄でボビーオロゴンをいかつくした感じだ。見た目は35歳くらいだけど。

「呼びづらいと思うから、俺のことはTKって呼んでくれ! 」

TKか、良いな、かっこいいな。

挨拶がてら部屋でTKとビールをたらふく飲んだ。

ダブリンにマラウイ人は200人程いた。TKはその中でも結構な不良だった。誤解を恐れず言うとマラウイ人自体とても温厚で(俺が出会った人たちだけの印象だが)、不良と言っても強盗したり、人を殺したりはしないマイルドな不良だ。その不良のTKはマラウイコミュニティでもそこそこの顔役だったらしく非常に信頼されているようで、部屋には若い子達がよく遊びに来ていた。

尋ねはしなかったが、俺とルームシェアってことは相当に貧乏なはずだ。

貧乏不良のTKが何故ここまで信頼されているのか謎だった。(欧州圏に来ているアフリカ系の若い子は金がステータスという部分が多く見受けられたから)

マラウイコミュニティには大金持ちのボンボン不良息子の"リコ"という奴がいた。非常に偉そうにしているのだが金周りも良く、何だかんだ皆リコの家に遊びに行っていたらしい。よくある話だ。

で、あるパーティでの事だ。リコは可愛いマラウイギャル何人かに対して相当なゲスい事をしようとしていたらしく。(ここらへんは俺の英語力であれなんだけど、多分マジックミラー号的な事をして、それをショーにしようとしていたという相当な屑)

真面目スケベ不良のTKがこれに激昂し、大勢の人の前にリコを連れ出し、引っ叩き説教をしたらしい。これまで、リコの悪態に嫌気がさしていたマラウイピーポーが、TKに一目置くようになり、その後リコも改心し、立派な不良になったそうだ。

小学生でも、もう少しまともな話が出来そうだが、これ全て実話で大爆笑。

そんなヤンチャなTKとの奇妙な生活が始まった。

どうもありがとうございます。 今晩のおかずが増えまっす。