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ドンキーコング事件

こんにちは。

 今日は、任天堂のドンキーコングと映画のキングコングが似ていることが問題となったユニバーサル・シティ・スタジオvs任天堂1986年7月15日の判決(United States Court of Appeals, Second Circuit)を紹介したいと思います。

https://casetext.com/case/universal-city-studios-v-nintendo-co-ltd


1 どんな事件だったのか

 1982年に、アメリカのユニバーサル・シティ・スタジオは、自身が保有する「キングコング」の商標権を任天堂のゲーム「ドンキーコング」が侵害していると主張し、ロイヤリティの支払いを求めて提訴しました。これに対して任天堂は、ユニバーサルがキングコングのゲームのライセンスをタイガー社に与えたことで、ドンキーコングの著作権を侵害しているとして、ユニバーサルに対して損害賠償を求めて反訴しました。

2 アメリカ合衆国第2巡回区控訴裁判所の判決

 ニューヨーク州法では、原告の権利を故意または無謀に無視した場合に、損害を被った当事者は懲罰的損害賠償を請求することができる。
 懲罰的損害賠償の裁定は、今回の事実関係に照らしても妥当であった。
 第一にユニバーサルは自分たちにキングコングの商標権がないことを認識していたにもかかわらず、それでもなお、その権利を広く主張した。これは任天堂の権利を故意に、かつ無謀に無視した行為といえる。 
 第二にユニバーサルは、任天堂への権利の主張だけに留まらなかった。任天堂のサードパーティのライセンシー全員に対し、ドンキーコングの製品の販売を停止するか、ユニバーサルにロイヤルティを支払うように強制するため、意図的かつ組織的なキャンペーンを行った。
 最後にユニバーサルの行為は、司法手続きの濫用であり、その意味では一般の人々全体に大きな損害をもたらした。ユニバーサルは、当初はキングコングはパブリックドメインの一部であると主張し、後にキングコングはパブリックドメインではなく、ユニバーサルが独占的な商標権を所有していると裁判所に主張した。法廷におけるユニバーサルの主張は、その真実に対する誠実な信念に基づいていたのではなく、法廷を利用して利益を得ることができるという誤った信念に基づくものであった。
 地裁は、ユニバーサルが故意に任天堂のドンキーコングの著作権を侵害したと認定し、ユニバーサルがタイガーに与えたライセンスで得た利益、約57000ドルを任天堂に支払うよう命じた。また、これらの地裁の懲罰的損害賠償の裁定は裁量権の濫用ではない。よって、地裁の判断を支持する。

3 カービィ弁護士の活躍

 今回のケースで裁判所は、任天堂の『ドンキーコング』がユニバーサルの『キングコング』の商標権を侵害しているとの主張に対して、ユニバーサルがキングコングについて商標権を持っていないとして、訴えを却下しました。
 一連の裁判での功績をたたえられた任天堂のジョン・カービィ弁護士には、ドンキーコングと名付けられた3万ドル相当のヨットが贈られ、またヨットにドンキーコングという名前を付けられる独占権が与えられたようです。
 任天堂には、星のカービィというゲームがあるのですが、元々「はるかぜぽぽぽ」という名前で開発が始まり、「ティンクル★ポポ」という名前で販売予約を開始していたことを知って驚きましたね。
 では、今日はこの辺で、また。


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