落日のケンカ番長。
智明はその地域でケンカ負けなしの不良だ。
中学の頃から名を馳せた筋金入りの不良である智明も高校三年にもなり、可愛い後輩にも恵まれてだんだんと丸くなっていた。
ある日、智明と友人の不良三人が駅の近くのコンビニの裏でタバコを吸っていたときだ。
隣町の高校の制服と思われるブレザーを着た女子が数人でやってきて、「ねえお兄さんタバコちょうだい?」と言ってきた。
智明は「ウルセエ。お前らにやるほど持ってねえよ。」と言って女子たちにすごんだ。
まだ空が暗くなってそれほど時間はたっていなかった。秋風が着崩した制服の隙間を縫って体を冷やしていた。
女子たちはニヤニヤしながらその場を去った。
「何だよあいつら俺の顔もしらねえのによくこの辺うろつけんな。」
智明のケンカ負けなしの意地がそういわせたのだろう。一緒にいた友人や後輩もそうだそうだとうなずいていた。
その内の後輩の1人が「でもアレッすよね、みんな滅茶苦茶可愛かったですよね。」と言った。確かに、みんな顔は整っていて不潔感もなければ、ピアスを外しさえすればその辺にいる清楚なお嬢様といっても通用する程だった。
「うるせえばかやろう!」智明は軟派なことを言った後輩、ツトムにげんこつを落とした。
次の日、ツトムは学校に来なかった。
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