錆ネジまきびし

雑草の髪の少年は
火吹き岩から逃げながら
そこら中に落ちている
錆ネジを拾い続けた
どうしてこんなものが
落ちているのか
皆目検討もつかなかったが
何か良い作戦が
思いつきそうだった
拾っては手のなかへ
拾っては手のなかへと
繰り返して
少年は
握られた錆ネジの
ひとつひとつに
願いを込めた
片手が錆ネジで
溢れ返りそうなくらい
集め終わると
迫る火吹き岩たちの方へ
一斉に錆ネジをばら撒いた
錆ネジは一瞬
銀色の新品のネジに戻って
荒地の地面すれすれに
ひとつひとつが静止した
まるで木材か
何かを繋ぎ止めるように
火吹き岩がその上を
通り過ぎようとした瞬間
ネジは火吹き岩の下から
上へと突き抜けて
瞬く間に石ころの破片へと
変えてしまった

◆ 戦利品 ─【火吹き岩の破片】

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