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【救急疾患を知ろう】 アナフィラキシー

新年一発目はアナフィラキシーです。
アナフィラキシをなんとなくでしか知らない人が多いのではないでしょうか?
正しく理解することで、正しい対処が取れるようにしましょう!

さて、去年までの傾向や反省も踏まえて、文章のテイストやフォーマットを変えていきながら投稿しようと思っています。
今まで読んでくださった方には少し違和感を覚えられるかもしれません。
指摘や質問などあれば、どしどし受け付けていますので、よろしくお願いします!

では早速いきましょう!


結論

アナフィラキシーを疑ったら、
救急車を呼ぶ or 早期の受診を!
一旦落ち着いても再発のリスクあり!


アナフィラキシーとは?

アナフィラキシーは重篤な全身性の過敏反応であり、通常は急速に発現し、死に至ることもある。

アナフィラキシーガイドライン 2022

これだけでは説明不足ですし、そもそもアレルギーとアナフィラキシーがどう違うのかを説明しないといけません。

アレルギーとアナフィラキシー

アレルギーとアナフィラキシーの違いを考えたことは普通ありませんよね。
結論からいいますと、アナフィラキシーはアレルギーの一種です。
アレルギーとは簡潔に言うと、蕎麦や小麦などのアレルギーの原因となる物質を摂取することで体が過剰に反応して、蕁麻疹や鼻水などの症状がでるものです。花粉症もいい例ですね!
アナフィラキシーはそれがひどくなったもの、生命に関わるほどになったものをいいます。アレルギーの一種ではありますが、診断するための基準があります。
(基準は2個ありますがわかりやすいように1つだけ示します。)
下記の1、2を同時に満たすものと定義されます。

  1. 皮膚症状(全身の蕁麻疹、皮膚のかゆみ・赤くなる、唇などがふくれる)が急速(数分〜数時間)に発症

  2. 以下に示す症状のうち一つ以上満たすもの
    A. 気道:呼吸困難、ゼーゼーする、咳が出る、喘息っぽい症状など
    B. 循環器:筋緊張低下、失神、失禁、顔色が悪いなど
    C. その他:下痢、腹痛、嘔吐

つまり、
「蕁麻疹や肌が真っ赤」
+「咳やゼーゼー」 または 「顔色悪くぼーっとしている」 または 「お腹の症状」
これを満たすとアナフィラキシーとなります。

なので「蕁麻疹が出たから」、「全身が赤いから」だけではアナフィラキシーといえません。


どのような原因があるのか?

アナフィラキシーはアレルギーの一種なので、原因物質はアレルギーを引き起こすものと同じです。以下に例をいくつか示しておきます。

原因物質(アレルゲン)

  • 食べ物(大豆、卵、果物、乳製品、魚、甲殻類など)

  • 天然ゴム

  • 虫刺され(多くは蜂、まれに蟻でも報告されている)

  • 造影剤(病院の検査で用いるもの)

その他のアナフィラキシー(ややステップアップの内容)

これはちょっと豆知識程度で、知りたい方だけでも良い内容です。

食べたり、触れたりしても普段はなにも起こらず、食事+運動などによりアナフィラキシーが起こることがあります。
それを食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)といいます。
代表的なアレルゲンは小麦、甲殻類などです。
このFDEIAはまだ発展中の言葉で名称が変わるかもしれません。
というのも運動が要因としておきながら、実は他にもアルコール飲料・疲労・生理・温度変化など様々な要因で起こることも示唆されているからです。
また、必ずしも上記の基準を満たすアナフィラキシーではなく、いわゆるアレルギー症状に留まることも多いです
ふだんは特に食物アレルギーがなくても、アナフィラキシー・アレルギー様の状態になったらこれを考えてみても良いかもしれません。


アナフィラキシーと考えたらどうする?

まずどうすればいい?

結論で示したように、アナフィラキシーを疑ったらすぐに受診してください。
アレルギー症状だけかもしれなくても、自信がないのなら救急車利用も厭わないでください。

なぜそこまで急ぐことが大事なのか
「急速に進行し、死の恐れもあるから」

また、治療はアドレナリンという薬剤の筋肉内注射(太ももの外側に刺す)ですが、30-60分以上経過してからだと次に示す二相性反応を予防できなくなります。
つまり治療のスピード感も大事になります。

アナフィラキシーは実は自然消失していくこともあり、危険に至らないこともありますが、それは結果的にしか知ることができません。
診断基準は示しましたが、実際に診察してから診断に至ることも多いため、疑ったらまず受診してください。

一度治っても知っておくこと 「二相性反応」

フライングしましたが、アナフィラキシーは治療が遅くなった場合や治療しなかった場合に、二相性反応が起こりえます。
二相性反応とは、アナフィラキシーが消失して一定の時間経過し、再度アナフィラキシーの症状が出てくることをいいます。
主にアナフィラキシーが生じた人の5-10%に発症すると言われていて、最初の反応から数時間後に起こることがほとんどですが、3日ほど後になることも報告されています。
対応は通常のアナフィラキシーに準じます。

アナフィラキシーショック

アナフィラキシーショックという言葉を聞いたことがある人もいるでしょうか。
アナフィラキシーが重症化するとショック状態になることがあります。
本筋からズレるため詳細は言いませんが、これはかなり致死的です。
いずれにしても、アナフィラキシーは重症化自体が多くないとはいえ危険を含んでいるため悩むようなら受診してください。


以上がアナフィラキシーの概要・救急対応です。
いかがでしたか?
わかりやすいかった、いやいやわからんかったわーなど感想があれば励みになります♪
それではお疲れ様でした!

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